「……こいつッ!!」
思わず笑ったグリーンの足元には倒れ込んだバンギラスがいる、既にバンギラスは限界寸前、数字で体力を表せと言われたら2か3程度しか残っていなかった事だろう。だからこそバンギラスは動かさず、可能な限りエクスレッグの情報を引き出すことに専念しようとした―――その瞬間だった。
「エクスレッグ、自慢の技、飛び掛かるだ!!」
「イイイイイイイイッガアアアア!!!!」
エクスレッグには第三の脚という物がある。それを使用した決戦モードという全力全開の戦闘スタイルが最大の特徴―――だが
「(だとしても――――速すぎんだろ……!?)」
繰り出された位置からバンギラスまで十何メートルはあった筈なのに、それを瞬時に縮めただけに飽き足らず、バンギラスの顎を砕かんばかりの閃光のような一撃が放たれていた。しかもこれは―――
「おいどういう育て方した、そんなエクスレッグ、見た事ねぇぜ!!」
「へへへっ一緒に沢山特訓したんです、こいつは誰にも負けたくない負けず嫌いですから、勝てるように一緒に努力したんです!!」「ピカッ!!」
「レイッ!!!」
サトシと共に隣のピカチュウが声を上げた。ピカチュウがやっている事を只管にエクスレッグは繰り返して来た。その結果としてサトシのエクスレッグはエクスレッグとして異例の能力を手に入れる事に成功した。
『サ、サトシのエクスレッグ、決戦モードから戻りません!!通常、体力の消費が激しく短時間しか使わない筈なのに……』
『あの人、なんだかんだでとんでもないなぁ……』
「いや全くだよ……」
思わずラビもそんな言葉を言い放った。ラビもエクスレッグを持っている、彼の場合は決戦モードの能力が高すぎるが故に更に短時間しか使用する事が出来ないという制限が課されているのだが……サトシのそれは―――常に決戦モードを維持する事が出来るというとんでもない状態になっているのである。しかもそれに至ったまでの内容は、毎日走り込んでスクワットをいっぱいやったという極めて単純且つ基礎的な物。
「(それだけじゃねえな……それによって基礎体力が向上しつつも体力の消費を抑える為の使い方を学習、それを繰り返し続けたからこそ生まれた状態……だとしてもそんな事は多くのブリーダーや研究者がやった筈だろ)」
育てる者としての目がエクスレッグを捉える。第三の脚どころか通常種に身体が一回り二回りガッチリしているし上半身の状態も良い……良い育て方をしてやがる、と思わず手を握り込んでしまっていた。トレーナーだけとしてだけではない、育て方としても俺を超えて行ってくれるのか、嬉しいねぇ……だったら先輩として、一人のジムリーダーいやトレーナーとして!!
「全力で、テメェを潰す!!!行くぜ、行けっハッサム!!!」
「ハッサムッ!!!」
『グリーン選手の二体目のポケモンは赤い閃光の異名を取るハッサムです!!虫タイプ同士の対決となりましたぁ!!!』
『NEXT BATTLE ハッサム VS エクスレッグ!!3、2、1……BATTLE START!!』
「ハッサム、すばや「エクスレッグ迅く―――飛び掛かる!!」
「イイイエエエレイッ!!!」
は、早えっ!!!」
即座にハッサムへと蹴りを入れるエクスレッグ、ハッサムはガード出来ずに顔面を蹴り飛ばされる。ダメージこそ軽いが、圧倒的なスピードに舌を巻く。
「素早く―――剣の舞!!力強く―――飛び掛かる!!」
「これ以上好きにやらせんな!!素早く―――鉄壁!!力強く―――バレットパンチ!!」
「イ~レイレイレイレイレイレイレイレイレイレイレイッ!!!!」
「ハ~サムサムサムサムサムサムサムサムサムサムッ!!!!」
『これはなんというラッシュの激突でありましょうか!!パルデアではキックの名手と名高いエクスレッグと赤き閃光と名高いハッサムのバレットの打ち合いです!!』
『こりゃすげぇ見物だな!!というか、エクスレッグなんか宙に浮いてね……?いやなんかハッサムも浮き始めてねぇか!?』
互いが互いのラッシュを支えとしていると言わんばかりに空中でのラッシュを演じるエクスレッグとハッサム。蹴りとパンチの速さ比べなんて早々みられるものではない、やるとすればエビワラーとサワムラー位だろう。それでも決め技がお互いに気合パンチな事が多かったりするが……
「レイッガァァッ!!!」
「サムァァアアアッ!!!」
ラッシュから一転、今度は互いに助走をつけて一気に加速し互いに必殺の一撃を浴びせ合うという一撃重視の決闘へと移行していた。まるでギャロップに騎乗した騎士が槍で一撃を浴びせ合うかのような光景に観客の熱は更にヒートアップしていく。
「レエエエガアアアアアアッ!!!!」
「ハッサアアアアアアッ!!!!」
再び互いの一撃が到達する、互いの身体に傷が入り、姿勢の維持にすら支障が来す程のダメージが及び始めて来た頃合に互いに自らのトレーナーへと瞳を向けた。
「分かったっお前がやりたいなら俺も付き合う!!」
「なら、やってやろうじゃねぇかハッサム!!俺達も最強の一撃を放つぞ!!!」
「レイッ!!」「ハッサムッ!!」
そう言うとサトシとグリーンは同時にZリングを露わにし、そこへクリスタルを装着して構えを取った。
『こ、これはもしや、ひょっとしてひょっとして!!?本選トーナメント初となります!!?』
『Zワザの構え!!!』
「行くぞエクスレッグ!!これが、俺達のゼンリョク!!!」
「イイイイレイガァッ!!!」
「ハッサム、決めるぞ!!!」
「ハッサムッ!!!」
互いに拳を腰だめにし、それぞれのZワザのポーズへと入った。グリーンはハガネZ、サトシはムシZのポーズを。
「人とポケモンが、心を一つにして放つ」「究極の一たるそのワザ―――」
「「Zワザッ!!!」」
「絶対捕食回転斬!!!!」
「エクァァァァァレイッガアアアアアアッ!!!!」
「超絶ッ螺旋んんんんっ……連っ!!!撃ぃぃぃぃっ!!!!」
「ハァァァァァァッ……サアアアアアムッ!!!!」
両者が取ったポーズ、それらは別々でありながらポケモンには同じ力を齎す。ただ性質が異なるだけの事、そして注がれたエネルギーを使って放たれる究極技、それこそがZワザ。虫タイプのZワザと鋼タイプのZワザ、何方も凄まじいまでの回転の力を放つ一撃が同時に激突する。
「いっけええええええええっ!!!!」
「負けるなぁぁああああああ!!!!」
「レエエエエエエエエエエエエイッ!!!!」「サアアアアアアアアムッ!!!!」
周囲の空気を巻き込んでいくようなそれらは臨界を超えたかのように互いのワザが砕ける。そしてその奥から飛び出した両者は互いに自慢の武器である脚と鋏が減り込むように入った。互いにラッシュで競い合った武器が、遂に届いた。互いの一撃が、確かに両者へと届いている……そして……二匹は全く動かなくなった。審判が確認へと向かうと大きな声を張り上げた。
『ハッサム、エクスレッグ両者戦闘不能!!!両者、新しいポケモンを同時に出してください!!』
『ひ、引き分け!!互いの必殺のZワザの威力は互角!!その先にあった自慢の一撃のクロスカウンター!!それらは互いの魂に響き渡りました!!倒れる事無く、両者ともに負ける事無くこの勝負を終わらせました!!これで互いに一対一、残るはラストのポケモンに掛けられましたぁ!!!』
『Zワザでこんな事起きんのかよ……マジでとんでもねぇ事になりやがった……』
「エクスレッグ有難う。ゆっくり休んでくれ」
「よくやってくれたぜハッサム、マジでカッコ良かったぜ」
ボールへと戻し、同時にボールを向け合う。そう言えばマサラタウンで会った時はこうしてボールを向け合ったバトルをした事もあったなぁと互いに思い出しながらも当時を思い出しながらも、二人は最後までこのバトルを楽しむことにした。
「行くぜ、ピジョット!!!」「ピジョットオオオオオオオオッ!!!!」
「ソウブレイズ、君に決めた!!」「ソウレイッ!!!」