『対戦ルールは3対3、メガシンカ、Zワザ、テラスタル、ダイマックスは各選手一度ずつのみ、ポケモンの交代は両者自由となります。オニオン選手 VS センリ選手。それでは両者、最初のポケモンをフィールドへ』
『本日もお相手は貴方の魂にブレイブバード、シンイチロウが実況をさせていただきます。そして解説は先日と同じく此方のお方です』
『貴方の魂にドリルライナー、砂の貴公子のラバイでお送りします』
「行くぞ、ムクホークゥッ!!!」「ムクホオオッ!!!」
「行くよ―――ゴルーグ!!」「……ルッグ」
『センリ選手は空の番長とも言われるムクホーク、オニオン選手はゴルーグであります!!高機動且つ高火力が自慢のムクホーク相手にパワーこそあるが鈍重な印象がありますゴルーグは対応出来るのでしょうか。ラバイさんどう見ますか?』
『ムクホーク最大の売りというのはその飛行能力と格闘適性の高さです。獰猛且つ勇猛な性格でどんな相手にも恐れる事もなく突っ込んでいきます。その筋力は巨漢ですら易々と持ち上げてしまう程に発達しており、それらから繰り出される攻撃の威力は油断なりません』
『しかしこの場合は』
『ええ、ムクホークが得意とするインファイトやノーマルタイプの技はゴルーグには通じません。故に飛行タイプをメインにして攻めなければいけませんが、対するゴルーグですが決して不利ではありません。何せゴルーグは鈍重ではありますが空を飛ぶことも出来ますから』
両者への解説が聞こえてくるが、オニオンはそれ以上に鋭い視線である物を見つめていた。それはセンリの指……結婚指輪ではなく、その隣の指輪、あれは―――キーストーン。という事はメガシンカをしてくるつもりだ。
『ゴルーグ VS ムクホーク!!3、2、1……BATTLE START!!』
「悪いがオニオン君、私は容赦も加減も出来る程器用な男ではないのでね、最初から全開で君を潰させて貰う!!!」
そう言いながらも隠すようにしていたメガリングを見せつけながら言って来る、ならば此方とて―――容赦もする必要がないと分かって安心出来るという物だ。そう言いながらもメガネックレスを取り出した。
『こ、これは両者ともにキーストーンを構えている!?ムクホークは鶏冠の中に、ゴルーグは掌に埋め込まれるようにメガストーンがあります!!』
『ムクホークとゴルーグがメガシンカ?!聞いた事ねぇ……ってなんだよ兄さんからメール?何々、近年発見されたばっかりのメガシンカの中にあるぞ、ってそういう事は先に教えろよあの人絶対知ってたろ!!?』
情報弱者な方が悪い、と返って来たラバイは更に頭を抱えそうになるが、メガシンカの煌きが巻き起こってそんな事をしている暇などはなかった。
「羽ばたけムクホーク、何処までも高く!!私達の夢舞台で、雄々しく、猛々しく!!メガシンカァ!!!」
「ムクホオオオオオオオオオッ!!!!!」
メガシンカの繭を突き破ったムクホークは、更に逞しい姿になっていた。年月重ねたかのように体毛には灰色が混ざり、三日月を思わせるような模様が浮き出ている。自慢の翼や鶏冠や爪も大きく鋭い物へとなり、黒白目となった瞳、嘴に傷跡を思わせる非対称の模様が増えている。これが、新発見されたメガムクホークだと言わんばかりにムクホークは胸を張っていた。
「……お前の本性を暴く、その上で、力を貸せ―――メガシンカ……!!」
「……ルッルグガァアアアアアア!!!!!」
繭を破ったそこには、全身から異様にエネルギーを溢れ出させているゴルーグがいた。そのエネルギーは身体を包み、胸の前でX字を描き、翼を思わせるようなエネルギーが背中から噴き出している。胸元には自身の封印をしているという部位が垂れ下がっており、メガシンカの影響で封印が完全に解かれた事を思わせる、メガゴルーグがそこにいた。
『メガシンカ、メガシンカです!!近年発見されたばかりのメガムクホークとメガゴルーグが我々の目の前におります!!なんという貴重な瞬間でしょうか!!?』
世間的にはまだまだ未確認に等しいメガシンカ、それを投入してきたセンリとオニオンに観客は大歓声を上げた。メガシンカ同士のバトル、これにテンションが上がらないトレーナーがいる訳がないのだ。
「ムクホーク、ブレイブバードだ!!!」
「ムクホオオオッ!!!」
「素早く―――鉄壁!!そして力強く―――爆裂パンチ!!」
「ウウウウグッ―――グアアアアアアアアグッ!!!」
ブレイブバードの指示を受けた瞬間には、ムクホークはブレイブバートの体勢に入っていた。技への入りが極めて速い、そこへ鉄壁で身を固めつつも真っ向勝負のムクホークに対して爆裂パンチを放つ。本来なら当たる大砲ではないが、ムクホークは此方へと迫ってきている、ならば当てようもあると言わんばかりにゴルーグは思いっきり地面を踏み込むと、なんと右腕をそのまま射出して、突っ込んで来るムクホークへとぶち当てた。
「ムクホッ!!?」
「狼狽えるなムクホーク!!そのまま突っ込めェ!!」
「ホオオオオオオオオクッ!!!」
まさかのロケットパンチにムクホークも仰天するが、センリの声を受けて全く引かない。爆裂パンチを押し切るが、直後に飛んできた二発目を咄嗟に回避してしまった為に技が途切れてしまった。
「素晴らしいタイミングでの二発目だ」
「……この威力、そして……ゴルーグシャドーパンチ!!当てる必要はない、ばら撒け!!」
「ルッグゥッ!!!」
「いかんバレた!!ムクホーク、叩き落とす!!」
即座にゴルーグは腰を入れて連続でシャドーパンチを放ち始める。最初こそ遅かったそれは、わずか数秒で猛烈なラッシュでシャドーパンチの弾幕を生み出していった。それらを叩き落とすで直撃弾のみを正確に弾き飛ばしていく。弾幕に翼を閉じて潜り抜けるように突破するムクホーク、その飛行能力に誰もが舌を巻くが―――
「そこだ本命、雷パンチ!!」
「ルウウウグッ!!!」
それはゴルーグによってそうするように誘導されていた、翼を閉じて回転してしまったが故に一時的にその機動力は著しく落ちる、そこへと雷パンチが直撃する。だがムクホークはまだまだやれると言わんばかりに改めて翼を広げた。
「爆裂パンチの効きが悪い、ムクホークは飛行ノーマル、ではないんでしょ」
「その通りだ。メガシンカした事でノーマルが格闘タイプへと変化した、だからと言ってこれで君が有利になった訳ではないだろう」
「大分楽にはなったよ、力強く―――重力!!」
「ルウウグウウッグアァァッ!!!」
掌を合わせ、再び開くと両の手の間に紫色の光が溢れ出していた。それはゴルーグが力を込めると一気に収縮していく、そしてそれを一気に開放するとフィールド全体にそれが干渉し始めた。先程まで悠々と空を飛んでいた筈のムクホークの顔色が明らかに悪くなり、高度が徐々には下がってきている。
「ムク、ホォォッ……!!?」
「大丈夫かムクホーク!!重力の力業か、どのような効果が……」
「ゴルーグ、素早く―――爆裂パンチ!!!」
ゴルーグは再び腕を構えた、そして腕からメガシンカエネルギーを噴出しながらも殴りつけるように打ち出した。それは凄まじいスピードでムクホークの顔面捉えるが、弧を描くように反転するとそのままムクホークの背中へと炸裂した。
「ムクホーク!!」
「ムクホオオオオッ……ホオオオクァァァッ!!!!」
爆裂パンチの影響か、目を血走らせながらもそのまま一気に加速するとその身体を青い炎へと包み込んでいく。ブレイブバードだ、センリはそれを見て叫んだ。
「遠慮はいらんぞムクホーク!!!全力だ!!!最強の一撃を放て!!!」
「ホオオオオオオオオオックッ!!!!
蒼い流星となって襲い掛かって来るムクホーク、到達までにもう何秒もない、ならば此方は―――!!!
「ゴルーグ!!―――!!!」
「ルグッ!!」
簡潔に指示を出した、そしてゴルーグがそれを実行しようとした時―――フィールドを眩ませるような眩い光を辺りが包み込んだ。これが本当にブレイブバードなのかと言いたくなるような光景がそこには広がっていた。フィールドにはまるで隕石でも落ちたかのような巨大なクレーターが生み出されていた、幾らムクホークが優れた攻撃能力を持っていると言ってもこれだけの事が出来る、とは到底思えないが……ムクホークがゆっくりと身体を揺らして倒れ込んだ。そしてメガシンカが解除されたその先でじっとそれを見つめていたメガゴルーグの姿があった、その身体には生々しい傷があったが、尚も健在だと言わんばかりに立っていた。
『ムクホーク、戦闘不能!!ゴルーグの勝ち!!』
『メガシンカ対決を制したのはゴルーグです!!ムクホーク渾身のブレイブバードを耐えきったのか、ダメージこそ負っているように見えますが尚も健在です!!』
『最後に繰り出した技が何なのか、ですね。それゴルーグはダメージを負いつつも尚も健在だったわけですし……ゴーストダイブで逃れたのか……?』
ラバイの推測は正しい。ゴーストダイブで回避を試みたが、流石にムクホークのスピードに対応しきれずに僅かに直撃してしまった。だがそれでも地面に向って激突した事実は変わらない。ムクホークの主なダメージはそちらだ。
「よくやってくれたムクホーク、お前は私の誇りだ、ゆっくり休んでくれ」
新たなボールを手に取りながらも矢張りゴースト使いは侮れない事を実感する。だからこそ、勝ちたいのだ!!
「行くぞ、ムーランドぉ!!!」
「ムウウンラァッ!!!!」
『センリ選手の二番手はムーランドです!!メガゴルーグ相手にどう戦うかぁ!!?』