「今日のおやつはホイップクリームをサンドしたワッフルだぞ~お好みでココアパウダーを振りかけるのもアリ、粉砂糖や黄粉もあるよ」
「おっ頂き、んじゃオレ様粉砂糖」
「貴方黄粉にしなさい、被るじゃない」
「んだよ減るもんじゃあるまいし」
「一緒っていう一点が嫌なのよ」
「あっごめんなのです、別にするのです」
「あっ違うのよアンシャちゃん、キバナと一緒なのが嫌なだけでね」
「どうして嫌なのです?仲良くしないと、めっ、なのです」
「ううっ……はい……」
「流石子供は最強だな」
そんな風にわちゃ付いたおやつタイムを楽しんでいると画面では遂にゴウカザルのフレアドライブ、イダイトウのウェーブタックルが炸裂した。激烈な猛火を帯びたフレアドライブに対してイダイトウは雨乞いと力業を組み合わせてウェーブタックルを発動、だがそれはコーディネーターミクリの技量がフル活用された技。本体は真っ向からフレアドライブを受け止めるが、ゴウカザルを包囲するようにイダイトウがゴーストタイプの力で作り出した幻影達が全方位からウェーブタックルを仕掛けた。前後上下左右から襲い掛かって来るウェーブタックルに流石のゴウカザルも耐え切れなかったが蠟燭の最後の一燃えだと言わんばかりにフレアドライブの火力を限界まで引き上げた。それによってウェーブタックルの水を大量に蒸発、そこにフレアドライブが引火して大爆発を引き起こし、両者ダブルノックダウンという結果となった。
「なんて繊細で大胆、そして力強い力の操作……しかもイダイトウ本体はフレアドライブと激突してるんでしょう?並の特訓じゃこんな事出来ないわ……」
「ミクリ氏、指示を飛ばしまくってイダイトウの誘導をしてるんだよねこれ……」
「どう見てもこれ、アドリブだよな……制御の訓練はしてたけど此処までの超精密はやろうとは思わねぇだろ」
あのフレアドライブと激突しながらも遂行したイダイトウには全く以て感嘆の息しか出ない。あのゴウカザルを持っていくだけでもとんでもない……そして遂に最後のポケモンになった訳だが……此処で投入されたポケモンに驚きしか出なかった。
『行くぜ―――活動開始だ、いけぇっ!!!!』
繰り出されたポケモンにミクリも驚いてボールを投げるのが遅れてしまった、同時と言ってもその時点で選択、握ったボールを使えば違反にはならないので問題はならないが……オーバが繰り出したのは……
『ヒゥゥウドラアアアアアンッ!!』
『なんという事でしょう!!オーバ選手最後の砦は火口ポケモンのヒードランです!!伝説のポケモンの一角にして炎と鋼タイプを併せ持つヒードランです!!これにはミクリ選手も思わず手が止まる程の衝撃!!最後の一体これ程の隠し玉が出てくると誰が予想したでしょう!!?』
「……うっわぁ……」
ラビは想像以上に呆れたというかそんな感じの引いた声が出た。まさかのヒードラン……エンテイでも出てくるのかなと思ったら外れた。
「おっきいポケモンさんなのです!!」
「ヒ、ヒードランって……ああいや、レジアイスとザシアン使う私が言えた台詞じゃないか……」
「此処で伝説のポケモン投入かよ……」
「またとんでもないのが出て来たね……ナンジャモさん、どう思う?」
「ええっ~……ボクならゴローニャで突破を狙うしかないかなぁ……」
それぞれの反応を見せる中でラビは本気でうわぁ…と言いたげな顔をしてしまった。ヒードランという想像を超えた切り札を出して来た。これは色んな意味で分からなくなって来ている、相性こそ悪いが、ヒードランは第一線級の力を有している怪物、これを突破するのは容易ではない……と思っているとミクリはボールを構えた。
『君が取って置きを準備したというのであれば、此方も取って置きを準備しよう!!さあ相反しあうモノをその身に宿したからこそ編み出せる極地をご覧あれ!!!』
『ヴォオオオヴォッ!!!!』
「お前もかいいいいいいっ!!!?」
思わずラビが全力でツッコんだ。何故ならばミクリが繰り出したポケモンはある種、ヒードランにも負けず劣らずの激レアポケモンだからである。そのポケモンは奇しくもヒードランと同じく火山に由来する存在、背中に背負った特徴的なホース状のアームが目を引くポケモンの名前は―――
『さあボルケニオン、存分に戦おうじゃないかぁ!!!』
『ヴォオオオオオオオッ!!!!』
『いや俺も人の事言えねぇけど何処で見つけてきてんだよ!!?』
「ホントだよ!!!」
「お兄ちゃん気持ちは凄く分かるけど落ち着いて、というかラティオスとか持ってる兄さんも確実に人の事は言えないわ」
ミクリが繰り出した切り札はなんとボルケニオン、幻のポケモンとも言われる存在である。出して来るにしてもスイクン辺りかなぁ……スイクンだったらミクリにもピッタリだからまあいいかな、と僅かばかりに思っていたそれを裏切ってきた。
ヒードランとボルケニオン、伝説と幻のポケモンの激突という事になった第十五試合だが……その結果として、バトルはこれまでのどの試合よりも熾烈且つ苛烈を極めたバトルとなった。
『マグマストーム!!!』『スチームバースト!!!』
両者の攻撃が激突する度に激しく艦は揺れる、地震や大地の力を使わずにここまでこの艦を揺らすのは流石伝説と幻のポケモン故のパワーだと言わざるを得ない。道理で自分の試合の開始の前に、バトルフィールドの緊急整備が行われたわけだ。因みにその間の尺稼ぎにはナンジャモが出て来て急遽ドンナモンジャTV緊急生配信が行われていたらしい、ラビは控室でのんびりしてたので知らなかったが……。
『ストーンエッジだヒードラン!!!』
『打ち落とすんだボルケニオン!!!』
無数の石の鏃を飛ばすヒードラン、それを即座に打ち落としていくボルケニオン。互いが互いを刺激して両者のボルテージは著しく上昇していく、そして周辺の温度を上昇させる文字通りの熱戦が繰り広げられた。
『噴火だヒードラン!!!』
『ゴボボボゴボボボボボオラァアアアアッ!!!!』
『ハイドロポンプ!!』
通常は覚えない筈の噴火すらも使いこなすヒードラン、飛来する火山弾をハイドロポンプで迎撃しながらも落ちてきたそれをアームで殴り飛ばして攻撃するボルケニオン。正に一進一退であった。
『気張れやヒードラン!!!根性見せたれ!!!』
『ヒゥゥウダアァ!!!』
『さあ更に熱く、滾らせようボルケニオン!!!』
『ヴォオオオオオオオオオオオゥッ!!!!』
火山の大噴火のようなマグマストームと空気を全て押し出すかのような水蒸気爆発染みたスチームバーストが激突し、艦が大きく揺れて観客が悲鳴を上げた。さながら絶叫系のアトラクションのようだった……その果てに勝利を掴んだのは―――テラスタルが、砕け散った。
『ヒードラン、戦闘不能!!!ボルケニオンの勝ち!!!BATTLE OVER!!よってこの試合、ミクリ選手の勝利となります!!』
『熱戦を制したのは―――水のイリュージョニスト、炎すらも自らを際立てせる舞台装置と化し、美しさを生み出す幻想のスペシャリスト、ミクリ選手だぁぁぁ!!!』
『僕を沸騰させるには、まだまだ熱さが足りなかったね……!!』
『~っ……ソオオオオオオ……!!!』
悔しさを滲ませた唸り声を上げながらも天に向かって吼えてしまったオーバ、弟の力を借りて、このヒードランをゲットしたというのに、それがこのザマか……だが結末は告げられた通りである。勝者はミクリ、ラビの次の対戦相手が……水のイリュージョニスト、ミクリ。
「オ、オーバさん負けちゃったのです……」
「どっちが勝っても可笑しくなかったが、最後にはタイプ相性が響いたって感じだったな……」
キバナの言う通り、オーバが勝つ可能性も大いにあった。だが、炎と鋼というヒードランの最大の火力を半減以下にしてしまうボルケニオンは極めて分厚い壁だったという事。それだけ、苦手なタイプを突破するのは難しい事という証明でもあった。
「あいつが負けた、か……」
不思議と、ラビは何処か残念がっていた。自分でも何故か分からなかった、心のどこかでリベンジをしたいという思いもあったのかもしれないが……こうなったのであればミクリに勝つ、それだけ……と思っているお客がやって来たらしい。
「あっあたくしが出るのです~」
「私も行くよアンシャちゃん」
とてとてと玄関に向かっていくアンシャの背中を追っていくサザレ、そんな可愛らしい姿にカルネがまた親馬鹿を炸裂させているとサザレがラビに用があるお客さんだというので出迎えに行ってみると……
「……よ、よぉ」
「今バトル見てたぞ負け犬」
「グッテメェ……」
そこにいたのはオーバであった。何処か気まずそうな顔をしながら、訪ねに来たらしい。
「悪い……あんだけ大口叩いといて負けちまった……」
「気にするな、俺は気にしてない。そもそもお前と戦いたいとか思ってない」
「……少しは俺を慰めるとか思わない訳?」
「???」
「マジで意味分かんなそうな顔すんな!?」
如何やらオーバも思った以上にショックを受けている訳ではないようだ、勝つ気ではいたがあれだけ全力でやって負けたのだから悔い自体はないらしい。
「ラビ、PWCS後、二次会此処でやるんだろ?」
「俺の意思ガン無視で決まったけどな、まあやるけど」
「そこでバトル、して貰えるか?このままじゃ俺は燻り続けちまうからよ」
「……気が向いたら」
「それでいいさ、んじゃミクリ戦頑張れよ」
そう言って去っていくオーバの背中を見送りながらも同時に、あのオーバを破ったミクリへの炎が燃え上がり始めた。必ず勝つ、そんな思いが滾ってきた。
「……勝つさ、必ずな」
これによって次のバトルが明らかとなる。
第二回戦第一試合 キバナ VS シロナ。 第二試合 デンジ VS レッド。
第三試合 ナンジャモ VS アイリス 第四試合 グルーシャ VS ダイゴ
第五試合 サトシ VS ダンデ 第六試合 ハッサク VS オニオン
第七試合 カルネ VS アラン 第八試合 ミクリ VS ラビ
この組み合わせで競われる事となる。
PWCS本選トーナメント第二回戦、貴方の注目カードは?
-
第一試合 キバナ VS シロナ
-
第二試合 デンジ VS レッド
-
第三試合 ナンジャモ VS アイリス
-
第四試合 グルーシャ VS ダイゴ
-
第五試合 サトシ VS ダンデ
-
第六試合 ハッサク VS オニオン
-
第七試合 カルネ VS アラン
-
第八試合 ミクリ VS ラビ