『おい兄さんどうせ見てんだろさっさと教えてくれ!!』
『あのさ、仮にも解説が出場者に意見求めるって流石にあかんと思わないの?』
『全然!!どうせ兄さんなら分かる事だろうからな!!』
『……分かったよ教えてやる』
『というか、分かるんですねラビ選手……』
『教師より博識な自信はありますから』
『うわすげぇ腹立つ』
出場者なのに、スマホロトム越しに解説席に座るような事態になって来たラビは呆れつつも、確かにこれを的確に解説しろというのは極めてハードルが高いなぁとも思う。というか、本当に色々と問題はないのだろうか……。
『あれはレジドラゴ、お察しの通りにレジ系の一体でドラゴンタイプのレジシリーズだ』
『レジドラゴ、確かガラル地方の古い文献にそのような記述があったような……すいません見たのが随分昔なのでうろ覚えなのですが、確かドラゴンエネルギーの結晶から生まれたというのしか覚えていません』
『ええ、それで合ってます。大昔、レジシリーズを作り上げたレジギガスが希少な結晶で作り上げたとされていますが、結晶が希少すぎて頭しか作れなかったという説があります』
『なんでそんな希少なので作っちまったんだよ、って現代人からすると思っちまうな』
『だが、同時に古代の人々は全身が完成してしまうと国を滅ぼされてしまうと恐れて神殿に封印されたという伝説がある。それだけの力を持っているのがレジドラゴだ』
ラビの語るレジドラゴの概要に会場は震えを感じずにはいられなかった。ポケモンにはそういう存在は珍しくはない、強力なポケモンとして有名なバンギラスだって山を崩す、場合によっては村処か街が消える事もある。だが……国ともなればレベルが違って来る。
『まあ希少な結晶が足りなくなったから、急遽頭にする筈だった上顎と下顎を腕にして小さい足をつけたした感じがするのは面白いな』
『成程……それは確かにそこはかとなく愛嬌を感じますな』
『ンで兄さんはなんでそんなこと知ってんだ?』
『調べただけ、んじゃこの程度でいいよな、俺は寝る』
『いや寝るなよ!?』
『ギャグよ~ギャグだってば~まあ兎に角解説頑張って~』
『……い、言いたい事だけ言って切りやがった……』
『まあ此方も出場選手であるはずなのに協力を求めておりますし……さ、さてそれでは改めてレジドラゴ対クレセリアのバトルへと目を向けましょう!!』
「(絶対ラビ君の持ってる資料を全部暴いてやるわ)」
心で誓いながらもシロナはレジドラゴを見た。古代の歴史上のカギを握るとも言われている存在とされているのがレジシリーズ、現時点で発覚しているのはレジギガス、レジロック、レジアイス、レジスチルの四体であったのに新たな存在が判明した。考古学者としての血が騒いでしょうがないのだが……今はバトルで打倒しなければならない。
「(レジ、という事は特性はクリアボディかしら……いや希少なドラゴンエネルギーの結晶から生まれたなら……ドラゴンタイプの技を強化するのもあり得るわね)」
様々な考察をしていくシロナ、一体どんなバトルが待っているのかと思いながらも危機感を感じているのは危機管理能力が高さ故だろう。瞑想を幾重にも積んだ上にチャージビームで特攻が上がっているクレセリアのアシストパワーには大抵のポケモンは太刀打ちが出来ないと分かっているが……それでも何者か分からないポケモンの相手はプレッシャーが掛かる。
「さあ行こうじゃねぇかレジドラゴ!!やったれ、素早く―――研ぎ澄ませ……ぶちかませ、ドラゴンエナジー!!!」
「ドッドッドッドッドッドドドッドドドドドドッドォォラァァァッ!!!!」
レジドラゴは浮き上がりながらも腕の位置を変えていく、右腕を頭の上、左腕を下へと持って行き正しく龍の頭部の形へとするとその間から尋常ではないドラゴンエネルギーの収束させる。その矛先は同然クレセリア。それを見たシロナは危機感を最高潮にまで高めた。
「素早く―――瞑想!!力いやそのままアシストパワーよ!!」
「ルナァァアンッルナァアアン、リリリリナァンッ!!!」
力業にせずにアシストパワーを発動させるクレセリア、その光はフィールドを飲み込んでいく。そしてそれは届こうとする時に、レジドラゴはニヤリと笑って見せた。
「ドラゴンエナジー、発射ぁ!!!」
「ドオオラアアアアアアアアアアアッ!!!!」
真っ向から勝負だと言わんばかりに発射されたドラゴンエナジー、それはクレセリアのアシストパワーと激突する。圧倒的にアシストパワーが押し切ると思われたが……なんとドラゴンエナジーはアシストパワーを押し返し始めた。
『ア、アシストパワーと拮抗しております!!瞑想を四度、そしてチャージビームで特攻が上がっている筈ですのでその破壊力は途轍もない筈ですが……!!』
『レジドラゴってのはこんなにパワーがあるのか!!?』
「はっはぁっユウリの言った通り、良い特性してやがるなぁ!!」
アシストパワーを完全にとは言えないが、拮抗する程の破壊力の力を発揮するレジドラゴ。完全な育成が終わっている訳でもないのにこのパワー、本当に素晴らしいな。自分の相棒にも勝るとも劣らないポテンシャルを感じる、こいつさえいればダンデにも勝てるのは……いや違う、こいつらと一緒に勝てるようにするのがトレーナーの仕事なのだから。
「アゲて行きな、レジドラゴォ!!」
「ざっくっど!!!」
その言葉でドラゴンエナジーはアシストパワーに罅を入れた、そしてその罅は全体へと伝播していくと―――アシストパワーを粉々にした。研ぎ澄ますで急所に当たりやすくなった影響で貫通力が増したのか、兎も角ドラゴンエナジーはアシストパワーを越えていき、クレセリアへと迫るが―――それを間一髪で回避すると……
「素早く―――瞑想!!力強く―――アシストパワー!!!」
同じ手は避けるようとする心理を真逆に突くと言わんばかりにシロナは叫んだ。再度の瞑想からのアシストパワー、だが―――そこへ龍の舞をしながらも突撃してきたレジドラゴが懐に飛び込んで来た。
「ドラゴンクロー!!」
「ドオオオラアアアア!!!」
上顎のような腕の牙を爪に見立ててのドラゴンクローがクレセリアの身体を揺さぶる、瞑想する事は出来たが、これではアシストパワーを放つまでの溜が作れない、既にクレセリアは大きなダメージを負っているのだ。決着は急がなければならない。
「素早く―――影分身!!そこから月の光よ!!」
一瞬でレジドラゴを包囲するクレセリア、そして月の光での回復。早業での変化技は変化しない、素早く出せるという性質を上手く利用している。だが……
「ならドラゴンエナジーだ!!今度は、拡散だ!!」
「ざっくっど」
周囲を取り囲んでいる影分身のクレセリア、それに対してレジドラゴは自らの周囲にドラゴンエネルギーを放出、それを球体のようにすると―――それを一気に弾けさせて全方位へと無数の光線を放出した。それは全ての影分身を捉えるとその中に隠れていたクレセリアをも捉えてみせた。
「これはっ悠長な事は出来ないわね―――素早く―――瞑想、力強く―――アシストパワーよ!!」
再度の指示にクレセリアは再び瞑想を行う、それをキバナとレジドラゴも最後の一撃だと理解した。恐らくこれはドラゴンエナジーでも迎撃しきれないのだと悟った、例え研ぎ澄ます併用の貫通力上昇でも無意味だろう、ならばすべきことは一つ!!
「レジドラゴ、大爆発!!」
「ドオオオザッ―――クッ―――ドッ!!!」
迷う事もなく、レジドラゴはフィールドを飲み込むほどの大爆発を行った。瞑想を終えたばかりのクレセリアも飲み込まれていき……爆発の光が収まった時、フィールドにはクレセリアとレジドラゴが倒れ込んでいた。
『レジドラゴ、クレセリア、共に戦闘不能!!両者、新しいポケモンを同時に出してください!!』
『あ、相打ちです!!キバナ選手、即座にレジドラゴで大爆発を使う決断を下しました!!』
『いやこれは大正解でしょう。あの威力のアシストパワーは最早どんなポケモンでも一撃で持って行きかねません、それを阻止する為にも一撃で持って行った……良い判断です』
「つっても、ユウリの真似だけどな」
「参ったわね……流石に大爆発をして来るとは思わなかったわ」
お互いにポケモンをボールに戻しながらも、労いの言葉を掛ける。これで1対2という状況になったが、キバナからすれば瞑想を積みまくったクレセリアを落とす事が出来た事への意味は極めて大きいのでレジドラゴへの感謝の念は大きい。そして―――ここからが本当の勝負。
「さあ行くぜ―――相棒、勝ちに行くぞぉ!!!」「ジュラアアアアスッ!!!」
「天空に舞え、ガブリアス!!!」「ガアアブァアアア!!!」
『キバナ選手最後のポケモンは、ジュラルドンではありません!!その進化形たるブリジュラスです!!そしてシロナ選手はガブリアス!!互いに最強の手札を切って来たぁ!!!』
ドラゴンエナジーの収束と拡散は、剣盾とSVのモーション変更から持って来ました。