「レエエエエエエッ!!!!」「ノオオオクアァ!!!」
相対するレントラーとオノノクス、互いに威嚇し合う両者。レントラーは特性の威嚇でオノノクスの攻撃を下げるが、それ以上にオノノクスは意地を張っているかのように見える。これまでの仲間の敵を打ってやると言わんばかりに熱くなっているように映る。
『ナンジャモ選手の二体目はレントラー、アイリス最後の砦は相棒たるオノノクス!!これは何方が有利でしょうか』
『ナンジャモ選手ですね。数だけの話ではなく、レントラーは特性の威嚇でオノノクスの攻撃を下げている、攻撃力が最大の武器であるオノノクスからするとこれは厄介な相手です』
「オノノクス、サトシたちにも特訓手伝って貰ったんだから簡単に負ける訳にはいかないよ!!」
「ノオクスッ!!」
「さあてレントラー、作戦をいつも通りに回していくよ!!」
「トゥラ!!!」
『NEXT BATTLE レントラー VS オノノクス!!3、2、1……BATTLE START!!』
「素早く―――電磁波!!力強く―――円らな瞳!!」
「ェェェェンッ……?」
「ンオクサァッ!!?」
身体が痺れたかと思ったら、レントラーの潤んだ瞳と愛嬌のある表情から来る上目遣いにオノノクスは思わずどうしたらいいんだ……!?と脚が止まってしまった。アイリスも思わずか、可愛い……と呟いてしまう程度にはナンジャモのレントラーは可愛さがあった、オノノクスはオス、レントラーがメスなのも大きく関係している事だろう。
「いいよいいよ~カルネさんに指導して貰った甲斐があったね!!誘惑!!」
『なんという戦術、レントラーというポケモンの良さを完璧に引き出しております!!というかあのレントラー絶対に自分が可愛くなれるという自信があるからこそやってますよね!?すっごいあざといですもん!!ですが技を出している時にはそのあざとさがみじんも感じられません!!』
『こういうバトルもあるんですねぇ……』
完全にペースを乱されまくっているオノノクス、こんなにやりにくいバトル初めてだ……アイリスもそれは同様でなんて攻め辛い……と思っていたらレントラーはその隙を見逃さなかった。
「素早く――高速移動!!力強く―――フラッシュ!!!」
「レエエエエントゥッ!!!!」
「ノクサァッ!!?」
一転して懐へと飛び込んで来たオノノクス、そのスピードは感嘆の域にまで至っているが、生憎、スピードならばカイリューの神速で慣れていると言わんばかりに確りと捉えている、そう捉えていてしまったのである。その瞬間、まるで灯台の明かりのような眩い光が視界を焼いてきた。相手を捉えようとより深く視線を相手に向けていた事が仇となってしまい、オノノクスの視界が完全に白く染まった。オノノクスは目を抑えて思わず引いてしまった。
『だぁあああっとここでフラッシュです!!超至近距離での力業フラッシュ!!オノノクス強烈な光に目をやられてしまったか!?目を抑えながらも動けません!!』
『な、なんつうコンボだ……精神的に揺さぶりを掛けて来たかと思った直後に懐に飛び込み、これが狙いかと思って確りと捉えて来た相手の目を焼いてきた……』
「ノ、ノオオオクォォォッ……!!」
超至近距離であんな強烈な光を浴びせられたら暫くは視界が効かない、だがアイリスは慌てない。
「レントラー、じゃれつく!!」
「トゥゥゥウッ!!!」
「オノノクス、5秒後に正面からレントラー!!アイアンヘッド!!!」
「オノッ!!!ノオオクサァッ!!!」
アイリスがやる事は簡単、オノノクスの目になる事。オノノクスの視点で本来は何が見えてくるのかを感じ取ってそれを正確にオノノクスに伝達してやる、それをオノノクスは信じて真正面にアイアンヘッドを放つとドンピシャでレントラーに激突し、吹き飛ばした。
「ヒュゥッやるねぇい!!だったら、電光石火から力強く―――影分身!!!」
「「「「「トゥラァッ!!!」」」」」
全方位へと分身するレントラー、あっという間にオノノクスを包囲する。オノノクスからすると、気配で周囲を実体の有る分身が取り囲んでいる事だけが理解出来るのでこれは相当な心理的な負担が掛かって来る。
「大丈夫だよオノノクス、私がサポートするから!!」
「―――ノクスッ!!」
「だったら、これは捌けるかな!!?スピードスター、雷の牙、チャージビーム!!」
遠距離、近距離、中距離と分けられた分身レントラーの同時攻撃、これを捌くには―――
「龍の舞をしながらダッシュ!!」
「ノックスッ!!!」
正面突破しかない。駆け出していくオノノクス、まだ視力は戻らない、それでも駆け出して行くしかない。真正面から複数のレントラーが噛みつかんと迫りながらも後方からはチャージビーム、様々な咆哮から放たれるスピードスター。
「地面に向ってドラゴンテール!!」
その言葉を信じて地面にドラゴンテールを放って高々に跳躍する、空中ならと思ったがアイリスは思わず言葉を失った。同じように跳んできたのだ、レントラーは分身を足場にして跳躍して追いかけて来た。
「オノノクス、上に向ってドラゴンテール!!」
「遅いよ素早く―――じゃれつく!!」
「トゥゥゥラァァァ!!!!」
「ノックサァァァッ……!!!?」
撃墜されるように落ちるオノノクス、此処でオノノクスは漸く視力を取り戻したのか瞳を開くと視界には自分を完全に包囲しながらも攻撃の準備を澄ませているレントラーの群れとその奥に控える本体のレントラー。自分は安全圏に居ると言わんばかりの行動にオノノクスは苛立ちを覚えてしまった。
「目、戻っちゃったかぁ……もうちょっと攻撃したかったけどしょうがないね。さて続けようか」
「勿論!!オノノクス、素早く―――龍の舞!!力強く―――ドラゴンクロー!!」
「オオオノオオオオッ!!!」
「来るよレントラー!!素早く―――高速移動、力強く―――アイアンテール!!」
「レァアアアアアトゥッ!!!」
真っ向からの力比べだが、真横から分身レントラーが体当たりしてオノノクスの体勢を崩すとそのままレントラーが押し切ってオノノクスを吹き飛ばすが、そこへと雷の牙を発動させたレントラーらが飛び掛かってその牙を突き立てていく。
「ノォッ……クサァァァァッ!!!!」
牙が身体に突き刺さりながらも無理矢理に立ち上がってそれを振り払う。だが直後にスピードスターの嵐が降り注いでくる。ナンジャモではなく、レントラー自身が分身に指示を下す群れの長として機能している。
「ノオオオオオッ……クアアアアアアアアアアッ!!!」
雄叫びを上げながらもオノノクスは口からドラゴンのようなエネルギーを吐き出して分身を薙ぎ払っていく、それはアイリスとずっと練習してた技、龍の怒りだった。周囲を焼け野原にしながらもオノノクスは吠えた。まだまだ終わっていない!!と言わんばかり。
「うん、行こうオノノクス!!三界を統べる龍王になる為に!!煌めいちゃぇ!!!」
テラスタルオーブが輝き、オノノクスに力を与えていく。発現したのはドラゴンタイプのテラスタル。オノノクスのポテンシャルを最大限に引き出すテラスタルだった。それを見たナンジャモは静かに言う。
「力強く―――エレキフィールド円らな瞳だよ」
「ゥゥゥウウトゥッ!!!!」
奔る電流が音を立てる、電撃が支配する大地に立ったレントラーはその電力を受けて僅かに浮き上がっているように見えた。そしてそれとは相反するような瞳を浮かべるが、直ぐにオノノクスの姿を見て笑うのであった。
「行くよオノノクス!!!素早く―――剣の舞!!!力強く―――逆鱗!!!」
「ノオオオオオオクサアァァァアアア!!!!」
怒れる暴龍と化したオノノクスは一気に駆け出して来る、ドラゴンタイプのエネルギーが身体から溢れ出して、最早ドラゴンダイブのようになりながら突撃してくるその姿にナンジャモは笑った。
「迎え撃つよレントラー!!素早く―――充電!!!力強く―――ライジングボルトォッ!!!!」
「トゥゥゥゥゥッ!!!レラァアアアアアアアアアアアアッ!!!!」
充電を行い、パワーを上げたレントラーはエレキフィールドの影響も受けてかレールガンの弾頭のような凄まじい加速をしながらも一気にオノノクスへと突っ込んでいく。怒れる龍と眩い電光が激突し、天へと上りながらもドラゴンと電気の双方がぶつかりながらも天を貫いた時―――巨大な雷となって大地を穿った。
「レレゥト……ラァッ……」「ノ、オオオオオオクサァァアアアア!!!!」
『レントラー戦闘不能!!オノノクスの―――』
「ノ、クサァ……」
『オノノクス戦闘不能!!両者戦闘不能!!BATTLE OVER!!よってこの試合、ナンジャモ選手の勝利となります!!』
『決着がついたぁ!!!オノノクス、大軍を率いるレントラーを遂に下すも、自身も限界が来てしまったぁ!!!ですがナイスファイトでした!!そしてこれによってナンジャモ選手、遂に準々決勝へと進出です!!業と変化技を組み合わせた見事なタクティクスでした!!』
『最早変化技が攻撃技と同等の域にまで高まっていましたね、これは業変化技の研究も進めなければいけないでしょうね』
「う~ん悔しい!!でもそれ以上に楽しかったよ!!ナンジャモさんまたバトルしようね!!」
「勿論いいよ、だけどあそこまでオノノクスの目になれるのはビックリしたよ」
「ううんサトシなんてもっと凄いから私なんてまだまだだよ~」
「う~んサトシ氏ってやっぱやべえわ」