週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ:小悪魔系クレッフィ

「あっラビちょっと待ってね……はい、これで大丈夫」

「悪いサザレ」

「良いの良いの、このぐらいさせて」

 

エリアゼロの一件以降、気付けばラビはサザレと同棲生活を送っていた。宿が決まるまでの間、という事の筈だったのに当たり前のように彼女との生活は過ぎて行くようになっており受け入れている自分も居て驚きを隠せなかったが、心地よさが勝っているのだから不思議だ。

 

「今日はイラストの引き渡しだっけ?」

「ああ、大手の会社だからこうしてスーツ着てるって訳」

「それで私にネクタイを直されてるって訳ね」

「むっ……」

「嘘嘘、気にしないで、それじゃあ頑張ってね―――チュッ」

 

そのまま流れるように頬にキスを落とされる、少しだけ朱が掛かった頬が少しだけの初々しさと何処か妖艶さを醸し出している。自分達はディアルガに認められた仲、そうサザレは言っていた。自分があの二柱からの試練を受けている最中に彼女もディアルガからの啓示を受けていた。その内容が―――

 

―――汝が想い人、大事にするがいい。

 

という物だったらしい。あの神はそんなに俗物的だったのか……とも思ったりもするが、兎も角自分はサザレの頬にお返しのキスを返した。

 

「行ってくる」

「うんっいってらっしゃい」

 

潤ませた瞳の彼女から顔を反らした、自分も顔が熱くなっているのが分かっているから。早く行こうと脚が急いでいる。そんな彼を見送ったサザレは……

 

「っ~……!!い、幾らなんでも積極的すぎるかな、で、でも今更止めちゃったらラビを嫌っちゃってるって思われるかもしれないし、でもこれ以上続けるなんて私の心臓が持たないよぉ……ううっラビの顔が直ぐ傍に……キャアアアアッ……!!」

 

ソファのクッションに顔を埋めて乙女な咆哮を打ち上げるのであった。

 

「で、でもディアルガ様の後押しがあるんだし頑張らないと……で、でもこの先って……キャアアアアッ!!んもうそんな事になっちゃら、ああダメ、ダメだってばぁ……!!」

 

羞恥心やら興奮やら様々な物でぐちゃぐちゃになっている心を抑えつけようと必死になるサザレを専用のベッドで横になりながらもまた始まったと言いたげな目で流すガーディと主人達に春が来た事に喜ぶウインディ、そして……その視線の先には

 

ガタガタガタガタガタ!!!!!

 

激しく揺れているラビのモンスターボールがあった。ウインディは往生際が悪いなぁと思いながらもそのモンスターボールを銜え、自分のベッドの下においてからその上に横になって眠り始めた。

 

「へっ……しゅん!!」

「ラビ、風邪か?いかんぞ、絵を描くというのは集中し自らと向かいあう事だ。その為には何より健康で常に自分の最高の状態であることが肝要なのだからな」

「ハイすいません……でもなんか急に鼻がむずむずして……」

「フム……そう言えば最近ポケモンの花が開花したと聞いたな、その花粉かも知れぬ。後で薬を手配しよう」

「すいませんコルさん……」

 

 

「あっそうだ、ラビ、配信の時は私がカメラ持つよ」

「良いのか?下手したら映るかもしれないぞ」

「その位回避する方法は心得てるよ、これでも現役カメラマンなんだから」

「あくまで写真のだろうに、まあ任せるよ」

「お任せ!!」

 

そう言ってカメラをサザレに任せながらの配信を始める事にしたのであった。

 

「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。本日ご紹介するポケモンさんは此方」

「レレレレレッレフィ」

「クレッフィさんでぇっ!!?す……あのお願いですからUFO軌道で迫るのやめてください、後回りながら来るのも」

 

・おおっクレッフィが主の頭に当たったぁ!?

・痛い、これは痛い!!

・そしていつもの事らしい

・ホント癖強いな。

・どいつもこいつもな。

 

「いったぁ……え、ええっとクレッフィさんはフェアリーと鋼タイプの複合タイプです。クレッフィさんは人里でよく目撃されるポケモンさんですが、元々は鉱山などに生息していました。その理由として食料となる鉄などが豊富だからです」

 

・ココドラ系統と同じで鉄食うのか。

・えっんじゃ鍵も喰うの?

・えっうちの家の鍵持ってんだけど

・結構クレッフィ持ち多いな。

・結構身近だしな。

 

「クレッフィさんの食料というのは鉄分、金属イオンです。頭の鍵のような角を金属の隙間に突っ込んでそこから金属イオンを摂取するという生態をしております。それ故に人里でも姿を見る機会が多いです。そしてどういう訳か鍵を収集する生態もあり、鍵にはかなりの執着があるので防犯の一環で彼らに鍵を預ける方も多いですね。あとマスターキーじゃないと嫌らしいですよ」

 

・金属イオン⁉

・ンなもん食ってんのか……

・それで時折古い電灯に刺さってるクレッフィがいるのか……

・なんかシュールだなおい。

 

「気性は基本的に大人しく、人にも懐きやすい上に寿命も長いので貴族には金庫番としてクレッフィを用いた上で代々受け継ぐ風習もあるそうです。因みに金属イオンを吸い取った後の金属には興味がないそうですがお気に入りの鍵は絶対に手放さないという彼らなりの基準があるそうです」

 

・はぇ~結構人間社会に溶け込んでるな

・というかウチも鍵番として活躍してるぞ。

・子供が鍵忘れても家のクレッフィに声掛ければすぐに開けてくれるし安心なんだよ

・あ~成程、そう言う活用もあるのか

・面白。

 

「そんなクレッフィさんの特性は悪戯心、そして夢特性がマジシャンです。マジシャンは自分が道具を持っていない時に相手を攻撃すると、相手のアイテムを奪うという面白い物です。が矢張りクレッフィさんといえば悪戯心でしょう」

 

・んじゃ木の実使った後に相手の木の実を、とか出来るのか。

・トリッキーだなぁ、安定して使うのは難しそうだ。

・でも公式ルールだと強いぞ。

・まあ悪戯心がメジャーだろうけどな

・サウィンで役に立つ特性?

・なんでハロウィンの原型を出した

 

「悪戯心は変化技を優先的に繰り出すことが出来る、つまり相手よりもずっと素早く繰り出すことが出来ます。電光石火並の速度で行動して変化技を繰り出せるようになるという特性です。クレッフィさんはこれを応用したリフレクターと光の壁の両壁を張る動きが主流とされています」

 

・えっマジで?

・これがマジでやべぇんだよなぁ……

・この特性だけで一気に強いポケモンになるもんなぁ……

・これ、相手が攻撃した技によって張る壁も変えられるからホント汎用性がやばい。

 

「加えて電磁波や威張る、身代わりと言った技も覚えることが出来るので状況と運次第で変化技だけで相手を完全に完封してしまうという事も可能です。フェアリーロックという黒い眼差しと同じような性質の技も覚えるので相手を逃がすことなく絡め取って文字通り錠をかけてしまいます」

 

・キッチィ!!?

・マジでキツ⁉

・対応ミスったら終わりやん!!?

・ダメージも減らして状態異常で妨害……うわ完結してやがる。

・強いて言えば攻撃能力が低い事位か……?

 

「と言ってもこの悪戯心にも抜け道というか弱点があります。まず悪タイプのポケモンにはこの特性が発動しないどころか無効化されてしまいます、加えて変化技にのみ作用するという特性上、挑発に滅法弱く挑発を使われるだけで何も出来なくなるクレッフィさんも多いです。ですので確りと攻撃技も覚えさせる必要があります」

 

・結構、抜け道あるんだぁ

・そうか、悪タイプなら……

・つってもクレッフィフェアリーだしなぁ……

・挑発が一番楽か

・それでもキツいには変わりねぇなぁおい……。

 

「私はそこにマジックルームとトリックルームをプラスして更に相手の動きを縛る戦術も頭に入れてますよ?マジックルームは暫くの間、道具の効果を消すという技ですね。相手からの泣きが入りましたね、まあそのまま続行しましたけど」

 

・うおい!!更に素早さと道具まで奪うんじゃねぇ!!?

・鬼かよ!!?

・化け物め……

・俺が化け物?違う、俺は悪戯好きな悪魔だぁ!!

・あ、悪魔たん……

 

「逆に、この悪戯心を警戒する相手の心理を利用して高火力技をぶつけるという戦術もあります。これが意外と嵌るんですよねぇ……」

 

・そりゃ悪戯心なんてトラウマ生み出すからな。

・こわ、こんな可愛い外見なのに……

・これは、対策必須だ

・悪タイプ入れるの考えよ……

・よし、アブソルにしよう。

・おう、顔面ペロペロ目指せ。

 

今回の配信は此処まで、サザレは配信終了のボタンを押した。それが確りと行われている事を確認してOKサインを出した。

 

「ハイカットッ!!お疲れ様ラビ」

「そっちもな、あんなに不規則に動き回るクレッフィさんを捉え続けるとか流石だな」

「フフンッもっと褒めていいのよ?」

「ベッドの上でか?」

「ふぇ?」

 

唐突過ぎる言葉にサザレは間抜けな声を上げてしまった、ラビは少しだけ笑いながら冗談だよと言いながら家の中へと入っていくが、サザレは顔を真っ赤にさせてそれどころではなかった。そして

 

「ぁぁぁぁぁっ……悪戯心で不意打ちしないでよぉ……」

 

蹲って暫く動けなくなってしまったのであった。一方のラビは……

 

「ぁぁぁぁぁっ俺は何言ってんだぁぁぁぁぁ……」

 

サザレと同じように自室のベッドの枕に顔を埋めながら悶えていた。

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