「アギャッ!!」「ギャッスッ!!」
ブルーベリー学園のリーグ部部室、ラバイの手によって設置された大型モニターにはPWCSの準々決勝が映し出されており、そこに登場したポケモンに二匹のポケモンが反応するように声を上げながらも威嚇するような、今度は負けない!!と言いたげに声をあげる。
「ダメだよコライドン、あれは違うんだから」「ミライドンも落ち着いて」
そう、アオイとハルトのコライドンとミライドンである。すっかりブルーベリー学園にも馴染んだ二匹は溢れ出るその可愛さからはあっという間に学園の人気者になり、今ではリーグ部のマスコット的な存在へと落ち着いている。その為か部室内でも平然とボールから出て来てトレーナーに甘えたり、おやつを貰ったり昼寝をしたりしている。
「ミライドンとコライドン、シロナさんとレッドさんが持ってるのと同種のポケモンねぇ……こいつらが数いるって事が相当にオイラ恐ろしく思うんだが、オイラだけかい?」
「それは分かる……この二匹、強すぎだべ……」
カキツバタの言葉に同意するスグリと周囲の四天王たちも同意した。ライドポケモンとして親しまれてこそいるが、実際どの位強いんだろう?どんな特性でどんな能力が優れているのか知りたくなったので、アオイとハルトの許可を得て能力把握目的のポケモンバトルを行ったのだが……その結果、バトルフォルムの二匹は凄まじい力を発揮して、カキツバタが全力になって漸く互角の戦いを繰り広げて大変な事になった。
「しかも、それを学園のチャンピオンとかじゃなくて、地方チャンピオンが持ってるって事だから……更に強くなってるって事でしょ」
ゼイユの言葉にリーグ部の面々が一斉に凍り付く、それが激突し合う……一体どうなってしまうのだろうか……。
「ギャアアアアアアアアアアアアスッ!!!!!」
「アギャアアアアアアアアアアアスッ!!!!!」
互いに牽制しあうような唸り声をあげる古来と未来の化身。
太古の昔、原始の時代に力の頂点を極めていたと考えられるゲンシグラードンの力を自らの物とする為に適応していた当時のポケモンの中でもその力の一部を我が物とする事に成功した事で躍進をしたと推測されている翼の王たるコライドン。
遥か未来、最早魔法と比べる事も出来ないレベルに到達した科学を支える電気、それを自ら莫大な電力を生み出す事に成功。それを活用して更なる次元へと到達する事に成功していると推測されている鉄の大蛇たるミライドン。
過去と未来が現代で激突するのはこれで二度目……前回はエキシビジョンマッチ、その時はシロナとミライドンの奮戦によって僅差で敗北を喫しており、その時の敗北によってコライドンは著しく自信を失ったのか憔悴してしまった。
『食べるんだ、食べなきゃ持たない』
『……アギャ』
コライドンは敗戦がショックだったのか食べたくても食べられない程に、激しく落ち込んだ。だが、そんな姿は消え去り、胸を張り、堂々としながらもミライドンに挑もうとしている。その姿は以前の物とは違い、明確に全身の筋肉がバルクアップしており、尾を含めた全身の各部が明らかに巨大化している。以前と段違いの存在感を放っている。
その姿を見た一部の人間、ハルトのコライドンを知っている人間からすればそれは明確な異質なものとして映った。それを最も感じ取っているのはシロナとミライドンだった。
『NEXT BATTLE コライドン VS ミライドン!!3、2、1……BATTLE START!!!』
開始と同時にコライドンの心臓が脈動した、鼓動の音が周囲にすら響く渡りそうな程に力強い鼓動が響き渡った。それと同時に天の太陽は一段と輝きを増して光が降り注いでいく、それによって、コライドンは古代活性を発動させる……緋色の鼓動、日照りと古代活性を併せ持つコライドン固有の特性。ミライドンのハドロンエンジンと似た特性である。
「一気に決めるわよ、素早く―――毒電波!!力強く―――マジカルシャイン!!!」
「迅く―――挑発、猛々しく―――スケイルショット!!!」
毒電波を放とうとしたよりもずっと早く、挑発がその身に掛けられると毒電波が不発に終わる、それによって早業の恩恵を受ける事が出来ずにマジカルシャインの発射は遅れる、そこへ降り注いでくる異常な速度で撃ち放たれてくるスケイルショット。瞬撃の影響もあるが、重撃によって鱗を打ち出すパワーが上がっているので発射速度が過剰に上昇する。
「ギャ、ガアアアッ……!!」
「素早く―――ビルドアップ!!力強く―――ローキック!!!」
「アギャッスッギャアアアアアアアスゥッ!!!」
「ギャアアスッ!!?」
素早くビルドアップを済ませると地面を蹴って勢いよく接近するコライドン、そしてスライディングをしながらもミライドンの推進器の役割をする片足を潰すように蹴り飛ばした。ミライドンは回転するように打ち上げられるが、咄嗟に体勢を整えながらも空中へと逃れる。
「良い判断よ!!変化技を封じられても貴方にはまだまだ技がある!!素早く―――放電!!力強く―――マジカルシャイン!!」
「アアアギャアアアアアアアスゥ!!!」
エレキフィールドも利用した放電を行いながらもマジカルシャインを打ち放つミライドン、電撃と光の同時攻撃がフィールド全体へと降り注いでいくが、コライドンはレッドの指示を待っていた。情けなくも苦しんで自分に寄り添ってくれたこの男ならば自分の全てを預けられる、そう言いたげな雰囲気がそこにある。
「力強く―――ビルドアップ、そのまま―――高速移動!!」
「アギャアアアアアアアアアッ!!!!」
雄叫びを上げるとコライドンは疾走形態へと姿を変えながらも高速移動を開始、降り注いでくる光や地面を伝って襲い掛かって来る無数の放電を潜り抜け、駆け抜け、飛び越えていく。それでもマジカルシャインは地面を広範囲を焼くMAP兵器のような物、次第にコライドンの逃げ道を塞ぐかのような放電が巻き起こっていく。そして遂にコライドンは足を止めた、フィールドの端に追い込まれた。
「そこよ!!一点集中!!」
「ギャアアアアアアアアアアアアスッ!!!!」
遂に追い詰めたと言わんばかりにシロナとミライドンの意志が一つになってそこへ攻撃が集中させる。ミライドンは放電しながらもエレキフィールド全体の電圧を強めており、幾らドラゴンタイプを持つコライドンでも駆け抜けるのを躊躇するような電気が走っている。それを利用した膨大な電力のごり押しが開始されようとした、がレッドは笑った。
「十分、最大加速だコライドン。素早く―――ビルドアップ、力強く―――アイアンヘッド!!!」
「アギャッアギャアアッ―――ギャアアアアアアッ!!!!」
十二分に駆け巡ったコライドン、駆け抜け続けた事で高速移動を持続的に使い続ける事が出来た。これこそがレッドの狙い。以前のバトルで最も苦労したのがミライドンのスピードと小回りの良さだった。車輪を使って移動するが、所々で足を地面に伸ばす事で無理矢理姿勢を変えてコースを変えたりブレーキングを行ったりと本当に厄介だった。だったらどうするか、更なるスピードと地上ではなく空中に打ち上げている間に押し潰す。
マジカルシャインの一点集中、全方位ではなく方向を絞る事で収束させたビーム染みたマジカルシャインを放射するそれ、まるでメテオビームのようなマジカルシャインにコライドンは真正面から突っ込んでいった。アイアンヘッドを発動させながらも全力のマジカルシャインへと飛び込んでその奔流を逆に突き進んでいくという離れ業を突き通そうとする。
「アギャアアアア!!!」
「ギャアアアアアスッ!!!?」
マジカルシャインを突破したコライドンはそのままミライドンへとアイアンヘッドをぶち当てた。大きくのけ反ってしまったミライドンの喉元を鷲掴みにするとそのまま笑いながらも更に天高くへと投げ飛ばす。
「確かに未来は俺達の先を行く、だけど―――太古は積み重なる、今と結びついてな。圧倒するぞコライドン!!!」
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」
その言葉を受けたコライドンは頭部の窄めていた翼を大きく広げ、翼の王たる所以を見せつけながらもそれを大きく振るわせると自らを上空へと打ち上げるように上昇していく。
「自力で空を……!?ミライドンも推進力と大ジャンプを併用しないと出来ないのに!?」
「俺達は、進化する!!行けコライドン!!アクセル、ブレイク!!!」
「アギャアアアアアアアアアアアッ!!!!!」
その言葉を聞くと更に加速するコライドンはミライドンへと体当たりしながらも更に、上を取って太陽を背にした。自らの力の源である太陽の光を受けてその身体を緋色に輝かせながらもコライドンは雄叫びを上げ、その身をホイールのように丸めるとそのまま高速回転を始めながらも重力を使った急降下をしながらも超高速でミライドンへと突撃していった。
「受けて立つわよミライドン!!!イナズマドライブッ!!!」
「ギャアアアアアアアアアアアアスッ!!!!」
分かったと言わんばかりに咆哮を上げるとフィールドのエレキフィールドのエネルギーを全て吸収するかのようにミライドンへと電力が収束する。同じようにホイール状へと変形しながらも電力で自らの身体を打ち出すようにコライドンへと突撃していくミライドン。天から古来、地から未来が打ち放たれて激突する。
「アギャアアアアアアアアアアスッッッッ!!!!」
「ギャアアアアアアアアアアアアアアスッッッッ!!!!」
それぞれの最強の激突、空気を切り裂き、大気を押し退ける程の衝撃がパルデアへと伝播していく。その中で古来と未来の両者は何度も空中ですれ違い、互いをぶつけ合う。重力に従って落ちながらも互いの威信をかけるかの如く争いが続いていく。咆哮が艦を包みながらもフィールドへと炸裂したその結末は―――
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアスッ!!!!!!」
ミライドンを踏みつけながらも自らが勝利を誇示する太古の翼の王、その威光は大地を支配していた電撃を四散させ、自らの緋色の光で染め上げた。
『ミライドン、戦闘不能!!コライドンの勝ち!!!』
『決着ぅぅぅっ!!!古来と未来の対決は、コライドンに軍配が上がりましたぁぁぁ!!!歴史の深さという意味合いでは現代での戦いでは未来は分が悪かったのか!?現代を生きるという意味合いでは古来の方が強いのだと言わんばかりにリベンジを果たしましたぁぁぁ!!!』
『なんつうバトルだ……まるで伝説のポケモン同士の激突だ……』
「ミライドン、戻って。本当に有難う、よく頑張ってくれたわ」
シロナはミライドンをボールに戻しながらもコライドンを見つめた。あの敗戦からコライドンはあれだけ強くなったのだ。自分達は勝利に奢っていたつもりはなかった、だが彼方は臥薪嘗胆、あの敗戦の悔しさを忘れずにいた。だからこそあれだけの成長をしていた……本当に凄い…これで3対3……本当に勝負が見え無くなってきた。だからこそ燃えてきてしまうじゃないか……!!
「行くわよ、ならば次は……悪夢を祓え―――クレセリア!!!」
「リィィイィルナァン」