昼下がり、ラビが絵を描いている様子を見学しながらもこれまで撮った写真を整理しているサザレ。こんな日常が当たり前になりつつある最近、ラビはある事を考えていた。
「なあサザレ」
「何~?」
「いや、なんでもない」
「何よ~ハッキリ言っていいんだよ?」
後ろから抱き着くサザレの身体の柔らかさに筆が狂いそうになるのをぐっと堪える、温かくて甘美な感触が背中に触れるが平常心を崩さない。サザレがキャンパスを改めてちゃんと見るとそこには神の姿が描かれていた。
「これが、ディアルガ様……?」
「ああ、これがサザレのご先祖様たるコンゴウ団が崇めたシンオウ様、ディアルガ。そしてもう一方がシンジュ団が崇めたシンオウ様、パルキア。シンオウ地方における神だ」
エリアゼロで遭遇したディアルガとパルキアの絵だった。目を閉じていても描けてしまう程に鮮烈に焼き付いたあの体験をどうしても形にしたかった。二柱の資料は文献や先祖からの言葉としての物程度しかなく、こんなハッキリとした形で表現されることはない。だが―――自分はどうしても描きたくなってしまった、あの神々を。
「凄い、本当にそこにいるみたい……」
「俺はこのディアルガ様とパルキア様に試されたからな、それらも表現出来るように描いてみてるんだよ、そう言って貰えて光栄さ」
「本当にあったんだよね……?」
「あったつうかバトルしたというか……」
今思い出してみても本当に信じられない出来事だ、神々に遭遇して神の試練を受けて自分はそれを乗り越えてしまったのだから。この後の人生に色々とありそうで正直怖いという思いもある。
「でもさ、如何して描こうと思ったの?ラビって伝説のポケモンとか幻のポケモンのスケッチとかってかなり厳重に保管してたよね?」
「ああ、見せた事があるのはお前位だよ」
サザレはラビが飛び抜けた知識を持っている事を知っている、だがそれを隠している事も知っている。なのでそれについてちゃんと黙っている、騒がれたくない気持ちは分かるから。だがこれはそれに反する事なんじゃないかなと思う。
「描くべきだと思ったんだ、俺が体験した事を伝える為にも。伝説は誰かが語り継いでこそだろ」
「それは……うん、そうだね。ディアルガ様、私も会いたかったなぁ……」
「実際会ったら腰抜かすと思うぞ」
「でも写真家としてはこの手でフィルムに収めてみたいんだよねぇ~、フリーザーを収めたカメラマンってのもいるしさ」
伝説のポケモンや幻のポケモンを描いた絵や写真は高い評価をされることが多い、希少なポケモン故にである。だが絵の場合は審査が厳しい、何せ絵は描き手の望むままに描けてしまう故の独自の解釈なども含まれる事がある。なのでそれらを評価する為にポケモン界の権威に評価を依頼する場合が大半である。
「この絵を、ある場面で使いたいんだ」
「ある場面って?」
「完成したら教えてやるよ、この絵はまだまだ完成が先だからな」
「じゃあ楽しみにしても良い?」
そんな風に笑うサザレの額にキスをしながら言ってやる。
「勿論、最初に見せるさ」
キスをされるサザレは呆然としながらもその言葉に静かに頷いた、そして静かに額を撫でながらも顔を真っ赤にさせつつもラビの背中に顔を預けつつもその背中をポカポカと叩くのだった。
「(……や、やばいついやっちまった……くそディアルガ怨むぞ……どうしてこんなにもサザレに心が動かされるんだよ……)」
「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。本日ご紹介するポケモンさんは此方」
「―――」
「ってうおっ!!?」
| ・ボ、ボールから白髪の赤目の女の人ぉ!? ・えっなんで!? ・なにこれ事案!? ・マジでどうなってんの!? ・通報!? |
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「はぁ……全く、脅かすのもいい加減にしてくださいよゾロアークさん」
「コキョオ~ン!!」
「キュウキュウオ~ン!!」
「貴方まで何時の間に出てたんですか……?はいという訳で今回はゾロアークさんです」
| ・ナ、成程ゾロアークが変化してたのか…… ・いやいやいや何なの!?ポケモンが人間に!? ・人間がポケモンになったあぁ!!? ・ああそうか、ゾロアークを知らん人からしたらそう見えるのか。 ・紹介したって~ |
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「はい今回紹介するゾロアークさんは強力な幻影を作り出すイリュージョンという特性を持っています。この特性は一度に数百人の人間を化かしてしまう程の物でして、これを使って自分の群れや自分を守る為に使います。熟練した個体は人間に化けた際には喋れるほどです、試しにさあ」
「コキョン、キョ~ン!!」
| ・おおっ!?白いゾロアークがさっきの女の人になったぁ!! ・じゃあ、これは幻なのか ・カ、カメラ越しでも幻見せるって凄くね? ・こういうのってカメラ越しだと分からない事も多いもんなぁ ・じゃあ熟練した個体って奴なのか |
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「皆さん初めまして、私はゾロアークのエアと申します」
「いやいやいやそんな名前つけてないです」
「挨拶はこうでしたか、やっぴ~♪」
「いや誰ですか」
「私です、ラビ」
「違うそうじゃない」
「キュアアアアアキューク!!」
| ・面白すぎwww ・隣でゾロアークが爆笑してるしwww ・すっげぇて叩いてるwww ・コントすんなやwww ・あっ戻った ・というか白いゾロアークって聞いた事ないぞ ・色違いでも聞いた事ないな |
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「はい、黒いゾロアークさんが所謂原種で此方はリージョンフォームのゾロアークさんです。此方も旅の途中で出会ったんです。タイプも変わっていて悪単タイプからノーマルとゴーストという面白い組み合わせになっています」
| ・これもリージョン!?は~奥深いわぁ ・にしてもノーマルゴーストなんて聞いた事ない組み合わせだな ・面白いなぁ ・色んな事出来そうだ。 |
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「キュアアアアアククク!!」
「いつまで笑ってるんですが貴方は」
「静かにさせて貰えると助かります」
「いや今回の紹介は此方……黙らないとおやつ抜きです」
「キュオオッ!?」
| ・そんな殺生な!?と言いたげな顔になったwww ・表情が豊か過ぎて笑うwww ・というかリージョンゾロアークさんが辛辣で笑うwww ・声的に、女の子なのか? ・いやそっちに化けてるだけかも。 ・つまり、女装ゾロアーク!?捗るな ・帰れ |
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「ゾロアークさんはその特性、イリュージョンを活かすべきですね。ゾロアークさんはかなり素早いので敢えて遅いポケモンに化けさせて素早さで意表を突いて強力な技を叩き込む、というのが主流ですね。相手がドータクンだと思ったら火炎放射撃ってきた、みたいなサプライズも可能です」
| ・あっそっか、相手を惑わせるのが本領か。 ・ドータクンが火炎放射とか確かにビビるわ ・ゾロアークの知識なかったら大混乱不可避だなwww ・相手の対応力が問われるって訳か ・別の側面で面白いな |
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「他にもありますよ。例えばコジョンドさんやルチャブルさんに化けて貰ったとします、この時に相手は飛び膝蹴りを無効化しようとゴーストタイプを繰り出してきた、さあ無効にしてやるぞという所に強力な悪タイプの技を叩き込む事も可能です」
| ・タイプ相性を上手く使うって訳か!! ・は~こりゃ面白いトリックスターだわ ・特性の使い方が思った以上に大事だわ。 ・他にはどんなタイプが良いかね ・悪タイプの弱点をカバー出来るタイプとか、敢えて悪技を撃たせる目的もいいかも |
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などなどとコメント欄は想像以上に白熱していった。ゾロアークは実際使い手次第で七色の活躍が出来る面白さがある。相手を幻に陥れ翻弄する幻影のトリックスターなのだから。
「全く……どうしてそんな姿に変身出来るってあいつら何処に行きやがった――――」
「シャアアアアアアアア!!!!」
「アブソル、何を怒ってるんだ」
「サザレ気にするなよ」
「ラ、ラビ~大変だ~!!!?」
「何やってんだテメェらぁぁぁ!!?」
ゾロアークコンビが自分とサザレに化けて、アブソルを勝手にボールから出して煽るように抱き合ってる姿を見せ付けている。アブソルはゾロアークが化けている事は分かっているだろうが、たとえ幻影であったとしても許せないのか怒髪天になっている。そんな状況を何とかするためにラビはこの後、アブソルを必死に宥めるのであった。
ラビの名前の元ネタ、AC6のC4ー621が使用する番号、rbー23から。ガチメンバーにアーマーガアを入れたのもそれが理由。着☆剣!!