「ユ~レイ……」
「頑丈だなぁ……」
ロトムとユレイドルのバトルが続くが、状況は極めて膠着していた。ユレイドルは開始と同時に早業蓄えると力業根を張るを発動、その直後に挑発で変化技を封じられこそしたが、ダイゴはこれだけでも発動させようと思っていたので悪くないと思っていた。防御特防が上がりながらも、根を張る、常時体力を回復する技且つ強制交代を封じる技でもあるそれに、ナンジャモは少しばかり考えてしまった。何せ力業の根を張るだから。
手始めに熱湯で攻撃してみたが……直ぐに体力が回復していく、ダメージは決して低くない。此方は悪巧みを三積みしている、だが……ユレイドルはみるみる元気になって行く、こうなると挑発は本当にしておいてよかった……根を張るの効力が倍増している……。
『こりゃ根を張る回復量が異常に高い……ダイゴさん、何か持たせてるな?』
「正解だよ、流石ラビ君の弟さんだ。ユレイドルに持たせているのは大きな根っこ、ドレイン系の技の回復量を上げるだけではなく、根を張るでの体力回復量も増強する」
「成程、それで異様に回復するわけだよ……面倒な事をしてくれる」
通常の1/16で回復する根を張るで力業で強化した場合、回復量は1/8になるが、大きな根っこでそれが更に増強される事になる。これは間髪入れずに攻撃して削り切るしかないが相手は耐久自慢のユレイドル……幾ら悪巧みで特攻を上げてるといえど楽な作業などではない。
「それだけじゃないけどね、ユレイドル!!」
「ユ~レイ!!」
「さあサプライズだ、力強く―――ソーラービーム!!!」
「ユユユユユ~レイッ!!!」
「嘘ぉ!!?素早く―――守る!!」
「ロットッムッ!!!」
ナンジャモの驚きも当然である。力業のソーラービーム、本来溜めも必要なソーラービームを力業で撃つ。日差しが強ければ運用を考える技ではあるが通常の天候でそれを行う事は―――と思っていた直後、ユレイドルは僅かなパワーチャージをしただけでソーラービームをぶっ放した。慌てて守るを指示をしてロトムは防御に成功するが、ナンジャモの肝を冷やすには十分すぎる。
「今の、私知ってる!!あれ、ラビさんのオリーヴァがやってた奴と同じ!!」
残念ながら席が取れなかったが、皆と観戦するという楽しみがあったリコは皆でブレイブアサギ号のモニターで観戦していたのだが、突如として大きな声を上げた。今やっていたダイゴのソーラービームには覚えがあったのだ。
「オリーヴァって……六英雄の代理でバトルして貰った時のあれか?」
「うん、あの時はグラスフィールドだったけど、地面からエネルギーを補給してるのは一緒だから理屈的には出来る筈……!!」
「そうか、力業で地面からの吸収ペースを上げる事で即座に打てるようにしたんだ!!」
ドットの推理は正しい。だが、補足するならばこれはダイゴの言葉通りのサプライズ。ダイゴ本人もこの場でぶっつけ本番でやったのである。少しはパワーチャージ早まるかな、程度の気持ちでやってみたらまさかの大成功である。
「さあユレイドル、ソーラービーム連射だ!!」
「だぁぁぁっバカすか打てばいいってもんじゃないでしょその技!?ロトム素早く―――怪電波!!力強く―――光優先で両壁!!」
「ロトットトトトトッ!!」
「怯むなユレイドル!!撃ちまくれ!!」
「ユレレイレイレイレイレイレイレイッ!!!」
まさかのソーラービームの連射という草タイプジムリーダーなどでも滅多に出来ない芸当をやってのけるダイゴとユレイドル、しかもそのソーラービームの太さも尋常ではない。それを連続で照射してくる、敢てし続けるではなく、一定間隔で終わらせる事で此方のペースを乱す事を狙ってきている。
「トム、トムッロトオオオオッ!!!?」
「やべ遂に当たっちゃった!!?」
『遂にソーラービームがクリティカルヒット!!効果は抜群だぁ!!!』
回避し続けていたロトムだが、遂にペースが乱れてしまい、ソーラービームをまともに食らってしまう。怪電波を一度だけ浴びせる事が出来た、それでもダイゴのユレイドルは攻撃の面での育成が確りとされているのかロトムにも大きなダメージを喰らっている。
「さあ追い打ちだ!!」
「マズイっ!!」
「ユ~レイイ!!!」
「「……あれ?」」「ユレイ?」
ソーラービームを放とうとしたユレイドルの口からポヒュ……という弱弱しい音が出ただけでソーラービームは全く発射されなかった。思わずナンジャモもダイゴと一緒に首を傾げ、ユレイドルもつられるように首を揺らしてしまった。
『こ、これはソーラービームが発射されません!!どうしたのでしょうか?』
『あ~……まさかこれって……』
「……マズいかもしれない、フィールドの土壌分を全て吸いつくしてしまったか!?」
「ユ、ユ~レイ~」
「そんなのありぃ!?」
そう、ユレイドルはフィールドに張られた根を張るを起点にし、そこからエネルギーを調達してソーラービームを連射していたのである。が、力業で根を張っている関係で通常以上の吸収力になった事がソーラービームを力業のまま早業に迫る速度で発射こそ可能になったが……艦のフィールドの土壌エネルギーを枯渇させてしまったのである。つまり発射するには、土壌エネルギーではなく、太陽エネルギーを吸収する方向性に切り替えるしかないのである。
「い、いやこれはチャンス!!ピンチはチャンスとはよく言ったもんだね!!素早く―――電磁波!!力強く―――熱湯!!」
「ロットオオオオオッ!!!」
これはチャンス!!と言わんばかりに浴びせ掛ける電磁波と熱湯、根を張るの影響で元々機動力がないユレイドルは益々行動が出来なくなってしまい、それらをまともに受けてしまう。
「ユ、ユレ~……」
「これはマズい、根を張るの回復も機能していない……!!ヘドロ爆弾!!」
「押し流しちゃえ~!!」
発射されたヘドロ爆弾を真正面から熱湯で洗い流し、そのままユレイドルへと浴びせかけてしまう。毒も混入した事で威力が上がったのか、ユレイドルは大きく目を回して身体を揺らして倒れてしまった。
「ユレイ~……」
『ユレイドル、戦闘不能!!ロトムの勝ち!!』
『ロトム二体抜きです!!根を張るで思わぬ出来事が、ダイゴ選手の勢いを覆そうとする流れを絶つ事になってしまいました!!ですがロトムはソーラービームのダメージがあります、まだまだ逆転の余地は残されています!!』
『まさかの事態が起きましたからね……流石のダイゴさんもこれには参ったでしょう』
「いやはやまさかこんな事も起きるとは……大きな根っこが仇になってしまうとは……」
「こればっかりはボクも吃驚だよ~……あるんだねこういうのって」
「全くだ、だけどこういうハプニングも楽しいバトルの醍醐味だ」
「ダイゴだけに?」
「あはははっその通り!!」
自分にとって不利な状態になっているというのにダイゴは笑顔を崩さなかった。展開が分かる物よりも、常に状況が流動している方が予測がつかなくて面白く感じられる。そんな中で勝ちを目指すのも粋というものだ。今、ダイゴは楽しくてしょうがない。
「さあ行くよ、アーマルド!!」
「ァァアアアアアルドォオ!!!」
書いてて私もユレイドルが勝つと思ってたんす、でもなんかこうなった。
どこまでアニポケ脳何だ私は。