「ララララァ~イ!!!」
「なんて元気なライチュウなんだ……」
ダイゴは思わずそんな言葉を口にしてしまった。バトルは開始されて、早業のロックブラストや力業の岩雪崩を繰り出した。それをライチュウは満面の笑顔で回避するのではなく、なんと真っ向から向かっていって、それらを掠める様に躱すという事を連続で行う。度胸が異常にある、という事ではない。あのライチュウは何かが可笑しい。
「調子はいいみたいだね、ライチュウエレキフィールドもう直ぐ切れるから張り直してね!!」
「ラララララ~イ!!!」
そう言いながらも早速エレキフィールドを展開し直すライチュウ、エレキフィールドはライチュウにとっても生命線だ。アローラライチュウの特性はサーフテール、エレキフィールドが展開されていると素早さが2倍になるという物でアローラ地方のライチュウのフルスペックを出そうとするとエレキフィールドは必須となる。
「全く本当に元気なんだから、そりゃラビ氏もボクに預けるよね」
「ラララララララ~イ!!!」
「アアアマァァッ……!!」
「アーマルド!!」
既にアーマルドはエレキブルとのバトルでダメージが蓄積しすぎているし火傷も負っている、確実に取られる……だから戻すべきか、そう思うよりも先にダイゴは指示を飛ばしていた。
「アーマルド、素早く――ステルスロックだ!!」
「させないよ―――素早く――ライジングボルトォッ!!」
「ララララララララララァ~イ!!!!!」
力を振り絞ってステルスロックを展開しようとしたアーマルドへと飛び込んで来た満面の笑みのライチュウのライジングボルト。壮絶な電撃でアーマルドは黒焦げ一歩手前にまでなるが、それでもまだ立っている。そして―――
「アアアアアアアマアアアアアアアアアアッ!!!!」
絶叫を上げながらも、駆け出した。最後の一太刀を、せめて少しだけでも削る!!主人の勝利の為に貢献するのだと叫んでいた。ダイゴはその気持ちに応えるべく、指示を出そうとした……が
「草結び」
「アァマァッ―――」
ライチュウによって行われた技によってアーマルドは躓き、大地に叩き付けられた。そして動かなくなった。
『アーマルド、戦闘不能!!ライチュウの勝ち!!』
「アーマルドよくやってくれた……!!」
最後の最後まで足掻こうとして懸命に動いたポケモンに感謝しか湧き上がらない。そしてアーマルドが必死に引き出したライチュウのデータは無駄にならない。そして次のポケモンがメタグロスの次に自分が信頼するポケモン……これで勝負に出る。
「行くぞ、大地を揺るがせボスゴドラぁ!!!」
「ドオオオゴラアアアアア!!!!」
『ダイゴ選手の4番手はボスゴドラ、これは勝負を掛けに来たか!?』
ダイゴのボスゴドラと言えばメタグロスに並ぶエース級ポケモンとしても有名。そして特性がヘヴィメタルでもないのに体重が700キロオーバーの怪物、ラビのラグラージとの真正面からの殴り合いは今も人気が高い。
「ララライッ?ライラ~イ!!!」
「ゴ、ゴド?ゴウド~ウ」
「ライライライラ~イ!!!」
ライチュウはボスゴドラを見ると直ぐに近寄っていき、その身体の大きさに憧れるようなキラキラとした瞳を向ける、ボスゴドラも悪い気がしないのか拳を差し出してグータッチを促してみると、ライチュウは目を更に輝かせてグータッチに応じる。此処だけを見ると本当にPWCSの本選とは思えない程にほんわかした空気がある。
「こらライチュウボスゴドラを困らせないの~!!ダイゴ氏ごめんなさい~この子、凄い人懐っこくてどんな相手にも物怖じしない所か仲よくしようとしちゃうの」
「ははっまるでサーフゴーみたいな子だね。気に入ったよ、バトルが終わったら遊ぼうね」
「ララライ!?ライラ~イ!!」
「あ~もうわかったから今はバトルに集中しよう、ね?」
「ラララララ~イ!!」
素直でもあるのか、ナンジャモに言われてラジャー!!と言いたげにビシッ!!と決めて位置に着く。その光景に観客席からはライチュウを応援する声が増えていた。ダイゴもなんだか少し気が抜けてしまったが、頬を叩いて切り替える。あのスピードのライチュウをどう捉えるか……それだけを考えるんだと……。
『NEXT BATTLE ライチュウ VS ボスゴドラ!!3、2、1……BATTLE START!!!』
「ライチュウアゲていくよ!!素早く―――悪巧み!!力強く―――10万ボルト!!」
「ララライ?ラララライ!!ラララ~イチュウウンウウウン!!!」
先手必勝と言わんばかりに悪巧みから10万ボルトを発射するライチュウ、それをまともに受けるボスゴドラだが……ダメージは受けているようだが悪巧みを積んでいるにしては妙にダメージが薄い気がする。
「ライ?」「ボスゴドラってこんなにタフだっけ?」
「さあ、見つめてみなよ答えを!!こっちも行くぞ、素早く―――鉄壁、力強く―――ラスターカノン!!」
「ゴッドゥッ!!ラアアアアアッ!!!」
流石にサーフテール発動中のライチュウに接近戦を挑みはしないとかラスターカノンの回避を指示するナンジャモ、だがナンジャモはどうしても10万ボルトの効きの悪さに気持ち悪さを感じてしまった。特防が高くなるような訓練をしただけではない気がしてならない……。
「(ダイゴ氏のボスゴドラと言えばなんだろ、ラビ氏とのバトルだと確かタングステンとか食べさせて体重を増やしたって事しかボクは知らない……体重を、増やした?)まさか……ライチュウもう一発さっきのコンボで!!」
「ララライ!!」
言われたとおりに悪巧みからの10万ボルトを放つが、それに合わせるように鉄壁が発動させる。鉄壁でも一応特殊技の防御は可能、だが半分程度の効力の筈……それでもボスゴドラは十二分と言いたげなダメージに抑えられている。これは、予想が当たっているのかもしれない。
「ダイゴ氏、またやったね?ブルジョワ式の食育でボスゴドラの強化!!」
「やれやれこんなにも早くバレるとはね」
ダイゴはバレたかと言いたげに笑う、そうラビの時にも披露したブルジョワ式の食育を今回もやっていたのである。
「ボスゴドラにはニクロムをよく食べて貰ったのさ、知ってるかな?」
「え~と確か……ニッケルとクロムの合金……ンなもん食べさせてたの?」
「フフフッお陰でボスゴドラの歯茎も丈夫になったさ」
「え~……」
金属でも伝導性が低い金属はステンレスなどがあるが、その中でも一番電気を通しにくいとされるのがニッケルとクロムの合金であるニクロム。ヒーターやトースターの熱源としても使われる金属、しかも岩タイプが複合されているのでボスゴドラは熱に強い。これ以上ない電気対策の金属だと言える。
「ボ、ボクに勝つ為にそこまでするの……お、お幾ら万円かかったの?」
「……本当に知りたいかい(ニッコリ)」
「いえ結構です!!」
『怖いです!!ダイゴ選手の笑顔が酷く黒く輝いているように見えます!!』
『これだから金持ちは怖いんだよなぁ……兄さんが怖いのもそれか』
『ラバイ、後で面貸せ』
『どっから声が!?』
「さあボスゴドラ、更に行こうか!!矛盾してる気もするけど素早く―――鈍い、力強く―――岩雪崩!!」
「ゴド~……ラァアアアアアアアア!!!!」
「それはぶっちゃけボクもラビ氏のヤドランからそう感じてたよ!!こっちも行くよライチュウ!!素早く―――高速移動!!力強く―――気合玉!!!」
「ラララララアアアラ~イ!!!」
最早土砂崩れのような勢いの質量攻撃となっている岩雪崩、そこに真正面から飛び込みながらもそれらをギリギリで回避しながらも躱していくライチュウ、それにはダイゴも思わず息を呑んだ。他にも回避の使用はあった筈、スピードを生かして真上に上昇などが一番簡単で、ダイゴもそれをして来ると思っていたのに……このライチュウは―――それを一切しない。
「ララララララアアアイッ!!!」
「アイアンテール!!!」
「ゴオオオドオォオオラッ!!!」
アイアンテールで気合玉を弾き飛ばすが、ライチュウはニコニコし続けている。ダイゴは理解の埒外に居る何かと相対している気分になってしまった。このライチュウは、一体何なのだと、思わざるを得なかった。
現在の状況
ナンジャモ ダイゴ
×ロトム ×ドリュウズ
×エレキブル ×ユレイドル
ライチュウ ×アーマルド
??? ボスゴドラ
??? ???
??? ???