「ゴアアアアアアアアアアア!!!」「ギラアアアアアアッ!!!」
真正面から攻撃しあう太古の暴君と砂の暴君、その取っ組み合いは極めてスピーディ。ガチゴラスが龍の舞をしてスピードを補強、バンギラスはダメージで動きが鈍り始めているとはいえ、それでも互角の取っ組み合いをしている。相手の急所を咬み千切らんと大顎を開けて喰らい付こうとするガチゴラスのそれを躱したり、カウンターで一撃を入れんとするバンギラスのそれを同じように回避するという攻防が繰り返されている。
「(このガチゴラス……勘が鋭いな、かなり厄介だ)素早く―――怖い顔!!力強く―――地震!!」
「ギラアアア、ガアアアアッ!!!」」
「怯んじゃ駄目よガチゴラス!!素早く―――龍の舞!!力強く―――氷の牙!!!」
「ゴアアアアアアアアアアッ!!!」
怖い顔に怯む事もなく飛び込んで来たガチゴラスはそのまま、跳び上がろうとしたバンギラスの喉元へと喰らい付いた。冷気を纏った牙は容赦なくバンギラスの身体を凍て付かせていく。
『氷の牙が炸裂ぅ!!バンギラスの身体が喉を中心に凍て付いていきます!!』
『タイプ相性こそ等倍だが、あの位置はマズい。呼吸もまともに出来なくなるし一気に身体が凍結しちまう!!』
同じくバンギラスを持っているから故に少々贔屓めいた言葉が出てしまったが、これはご愛嬌という奴だろう。だが、氷タイプの技の恐ろしさは分かり易くその冷たさ。生物である以上冷えると一気に活動のパフォーマンスというのは激減していく。それを喉元で炸裂されてしまったら……氷タイプのポケモンでもない限り、ここからの復帰は厳しい。
「ゴアアアアアッ……!!」
「ギ、ィィイラァァァ……」
徐々に凍結していく身体、喉から身体、身体から腕と足へと広がっていく冷気。徐々に冷たくなっていく身体にバンギラスは意識が遠のくのを感じる、これは戦闘不能になるのは避けられないな……というのを彼も感じていた。だが―――
「バンギラス!!」
ラビは強く強く呼びかけた。それを受けたバンギラスは瞳を大きく開くと……
「ゴアアアッ!!?」
「ギィィッ……ラァァァァアアアッ……!!!」
『な、なんと!?バンギラス、ガチゴラスの喉元を掴んだぁ!!?』
凍結していく身体、顔にも氷が走って半分以上覆われている中で身動きなど出来るようにも見えないのにバンギラスの腕は動いた。そして的確に噛みついてくるガチゴラスの喉を的確に掴んだ。
「そのまま冷凍パンチ!!」
「ギラアアアアアアアアアアッ!!!」
自分を凍らせるんだ、テメェのその覚悟はあったんだろうなぁ!!?と言いたげな叫び声と共に喉を掴んでいる手で冷凍パンチを発動させてガチゴラスの身体を凍結させに掛かる。しかもガチゴラスのタイプ相性の関係でバンギラスよりも遥かに凍結のスピードは速い。
「っいや此処で引くのは負けたのも同じよ、更に強く、深く!!」
「テメェの意地を見せつけてやれ!!!」
「ゴアアアアアアアアアアアアアッス!!!」「ギラアアアアアアアアアアッ!!!!」
互いを凍らせているにも関わらずの熱い叫び声が木霊する中、遂に両者が完全に凍結してしまった。これは、審判がどういう判断を下すか……審判は注意深く両者を見つめながらも判定を下そうとした瞬間に、氷に亀裂が走った。音と共に走っていく亀裂は徐々に大きく深くなっていき、遂には――――
「ゴアアアアアアアアアアアアアアッスッ!!!」
太古の眠りから覚めたような雄叫びを上げながら覚醒した。ガチゴラスは息も絶え絶えになりながらも氷を突き破り、身体を下ろす程に疲労しながらも遂に氷を破った。そしてバンギラスは―――
「―――……ギラアアアアアアアアッ!!!!」
やや遅れながらも自らも氷を破って覚醒した、バンギラスは雄叫びを上げながらもガチゴラスへと目をやる。全身で息をしていてもう戦闘不能状態と言っても過言ではないそれ。
『(判断が難しすぎる……如何するべきだ……!?)』
氷が完全に振り払い切れておらず、あちこちに残る氷と白い息、それはバンギラスのダメージを物語っている。カルネからすればまだやれるのか……という言葉を漏らしそうになった、此方のガチゴラスだってかなり危うい所まで追い込まれているのに……ガチゴラスも唸り声を上げて懸命に威嚇をする。一歩、また一歩と足を踏み出すバンギラス。
『―――……こういう事を言ってしまっていいのか分かりませんが、私は今、バンギラスを恐れています。此処で見ているだけなのに、背筋が凍ります。血の気が引く、というのはこういう感覚なのかという事を今自分で味わっております……』
実況がそう言うという事は、観客はもっと、そしてバトルフィールドに立っているカルネとガチゴラスは更に恐ろしい物を感じている。目を血走らせ、白い息はまるで極限にまでアクセルを踏まれたエンジンが吐き出す排気煙、身体ごと揺らすさまは理性もなく、今にも此方の喉元を喰いちぎらんとする怪物を連想させてしまった。
「ギラァァァァァッ……!!!!」
「バンギラス、よくやった」
あと一歩進撃しようとしたバンギラス、それを止めたのはラビの声だった。その言葉で完全に動きを止め、それ以上の進撃をやめた。
「もういい、ゆっくり休め。今はそれが、お前のすべき仕事だ」
「……ギラァ……」
何処までもラビの言葉に忠実なのか、それ以上の進撃を取りやめるとバンギラスはゆっくりと崩れ落ちて行った。そしてフィールドに落着する前にバンギラスはラビの手によってボールへと回収された。
「審判、バンギラス戦闘不能だ。俺の判断に間違いは?」
『いえ私も正当だと判断します、それをコールする前に回収されてしまいましたが……では改めて、バンギラス、戦闘不能!!ガチゴラスの勝ち!!!』
審判よりも先に動いてしまった事に謝罪しつつもラビはボールを撫でる、全く以て無茶をする者だと思いながらもよくぞ意地を見せてくれたと心から賞賛する。お前の意地は絶対に無駄にはならない……そう告げながらも次のボールを手に取る。
「砕け、GO!!ウーラオス!!!」
「ベエエアアアアアアアアクァァァッッ!!!!」
ラビ カルネ
×フォレトス ×ルチャブル
ペンドラー ×ヌメルゴン
×バンギラス ガチゴラス
ウーラオス ???
??? ???
??? ???