「遂に出て来たかサーナイト」
「ラァァァッ……」
渦巻を思わせる演武を行いながらもウーラオスはサーナイトを見た、ラビのサーナイトとはまた違った雰囲気、凛としつつも何処か日本刀のような冷たい鋭さを醸し出している。そして首から下げているメガストーン入りのネックレスが煌めきながらも揺れている。
「サーナイト、最高のパフォーマンスをお見せしましょう……そしてアンシャに私達の、いえ……トレーナーとしての先達として、未来を見せて上げましょう!!」
「サアアアナァァァッ!!!」
「メガシンカぁぁぁ!!!」
言いかけた言葉は親としてだった、だが違う、そうじゃない。自分が魅せて上げるべきなのは母親としての姿ではない、アンシャが何れ辿り着くであろう未来の姿を見せて、それを目指し超えて貰う為のエール。それが娘へと送れる最高の贈り物!!!
お揃いのネックレス、キーストーンとメガストーンが反応し雷光のような閃光が互いに手を繋ぐかのように結びついていく。それによって生まれるメガシンカエネルギーが繭を形成しその中で新たな次元へと旅立った。まるでウェディングドレスを纏っているかのような姿のサーナイト……メガサーナイトが爆誕した。
『遂に登場メガサーナイト!!矢張り優雅で―――』
『あれ、カルネさん更になんか取り出してる』
『『ってテラスタルオーブだ!!?』』
「更に―――見る人に夢と希望を、そしてそれを世界へ……サーナイト、新たなステージへ!!」
「サアアアナアアアッ!!!」
そこに重ねられるテラスタルオーブ、それによって発現したテラスタルはフェアリー、フェアリーテラスであった。それを見てラビはやっぱりそれかぁ……と溜息を洩らした。サーナイトにとってはエスパータイプの弱点でもあるゴーストを消せる上に特性がフェアリースキンで更にテラスで火力の増強を行える超火力特化型のテラスタルである。
「これが私の切り札、テラスタル込みのメガサーナイトよ。流石のラビ君でも簡単には突破出来ないわよ」
「でしょうな、そこまでやられると俺でも苦労します」
と素直に認めるラビにカルネは少し意外そうな顔をした。
「相手が強くなる?上等じゃないか、全力を出してくれるっていうのは光栄の極みだ……それに、俺が弱くなるならまだしも相手が強くなった所で俺の勝率は落ちない。ウーラオス、相手がカロス地方チャンピオンカルネの相棒メガサーナイト、そしてフェアリーテラス込み、相手にとって不足なし!!!勝鬨を上げるぞ!!」
「ベアアアアアアアアアアアアアアアアアアクァアアアアアア!!!!」
勝つ気でいる、この状況で、本当に彼はトレーナーとしての心意気を分かっている……どんなバトルでも最初から勝つ気で挑む、そうしてくれる相手と戦う事が本当に楽しいんだという事を。
『NEXT BATTLE サーナイト VS ウーラオス!!3、2、1……BATTLE START!!!』
「サーナイト!!素早く―――瞑想!!力強く―――ムーンフォース!!!」
「いきなりかっ!!素早く―――挑発!!力強く―――滝登り!!」
一度の瞑想を許しながらもその後の変化技を縛るが、直後に飛んで来るムーンフォース。テラスタルの影響もあってか、バカでかい、だが弾ける、水を纏いながらも一気に飛び上がるようにムーンフォースを真下から蹴り上げ、真上に弾く。艦の真上で大爆発するそれはとんでもない破壊力を物語っていた。雨が降っていなければ弾けなかったかもしれない。
「流石ね、だったらこれは避けられる!!?素早く―――サイコショック!!力強く―――10万ボルト!!」
「サアアナアア、ナアアア!!!」
地面からサイコパワーを纏わせた小さな破片や石などが浮き上がっていく、だがそれはウーラオスの周辺を囲い込むだけでそれ以上の事はしない。何をするかと思った直後に放たれた10万ボルトはサイコショックによって浮かんだそれに直撃すると無数に分裂しながらも反射を何度も何度も繰り返し始めた。
「おいおいチャンピオンともあろうものがパクリですか?」
「リスペクト、と言って欲しいわね。貴方のサーフゴーに感銘を受けたのよこれでも。そしてこの牢獄にはポケモンをずっと入れて上げられるスペースはないわ」
そう、カルネがやったのはラビがサーフゴーで行った戦闘向きではなくコンテスト向きだと語った電気技の連続反射、あれの時はチャージビームだったが、10万ボルトで代用している。特攻こそ上がりはしないがダメージは初撃よりもずっと高いし、安定している為に反射は長い間続く事をラビは知っている。
『フィールドを駆け巡る電撃の牢獄、ラビ選手自ら使った技を自分で味わう事になってしまったぞ!!ホミカ選手を苦しめた技を突破出来るのか!!?』
『いや多分そこまで意味ないと思います』
サラッと語るラバイ、何故ならばあの兄は自分のポケモンとバトルするなんて事は頻繁にするのだから。あのサーフゴーの技だって自分で受けている筈だ。その証拠だと言わんばかりに、ウーラオスは次々に襲い掛かって来る電撃を回避する。しかもそれはラビの指示によるもの。
「右足、左足、右側頭部、右大腿部、右上腕、左踵、丹田、右後頭部」
「ラスラスラスラスラスゥッ……!!」
「やるわね、だけど―――!!」
「左上腕!!雷パンチ!!」
「ベアアアアクァ!!」
「命中!!」
遂に命中する電撃、それを自らも電撃を発して防ぐ。何度も反射しているのに全くパワーが落ちていないのは流石というしかない、そしてこれを制御しているサーナイトも流石という他無い。
「確かに全てを避けきるのは無理だな、だが―――これで後は突っ込むだけでいい!!!」
「ベエエアクァ!!!」
「(っしまった、今ので完全に反射のペースとコースを見切ったのね……たった一度の被弾、いやそれだけで済むように……可愛くない位に合理的な判断ね)」
ウーラオスも既に目が慣れているのか、コースを理解したのかラビの指示なしで突き進めるようになっている。ウーラオスがまるでスライド移動でもしたかと錯覚するような移動をしながらも、遂に懐に入り込むと、震脚と共に拳が振るわれるのだが―――
「サアナアァッ……!!」
「ベエエエァアクッ……!!」
『サ、サーナイトが拳で、拳でガードしました!!!』
雷を纏った拳でウーラオスの一撃を受け止めている、エスパータイプでもこういう事はしない訳でもない。分かり易い代表例としては三色パンチを操るフーディンなどは寧ろ近接戦を得意とする場合が多い。だがこのサーナイトの場合は……
「ルーちゃんとの特訓が役に立つとはね」
アンシャのラルトスことルーちゃん、ラルトスのみでありながらも既に三色パンチを自在に操り、身代わりとのコンビネーションを練習しているという将来が色んな意味で楽しみ過ぎるラルトスの特訓付き合った結果だという、まあラビはやっぱりか……と言いたげな顔をする。
「だがっ!!」
フィールドを踏み抜くような勢いで震脚を行いながらも一気に拳を押し込む、雷パンチの電撃が身体に流れようともお構いなし。
「純粋なパワーとパンチでウーラオスに勝てると思うな!!素早く―――ビルドアップ!!力強く―――水流連打ぁ!!!」
「ベアアアアッ……クアアアアアアアアア!!!!」
武術ポケモンとしての沽券に掛かると言わんがばかりに震脚と共に放たれるビルドアップ、そして流れるようなパンチとキックのコンビネーションでサーナイトを吹き飛ばしてしまうが、サーナイトは寧ろその勢いを使った完全にウーラオスの頭上を取った。
「今よサーナイト、最大パワーでハイパーボイス!!!」
「サアアナアアアアアアアッ!!!!」
それは最早声ではなく、音の滝。降り注いでくるそれは超重力のようにウーラオスを一瞬のうちに押し潰しながらフィールドへと叩きつけた。何処からか整備班のぁぁっ!!という悲痛な声が聞こえそうな程にめり込んでいくフィールドの中央部に大の字になって倒れこみ、目を回しているウーラオスがいた。
『ウーラオス、戦闘不能!!サーナイトの勝ち!!』
『サーナイト強い!!!これがカルネ選手の相棒!!メガシンカにテラスタル、この二つの相乗効果は矢張り侮れません!!格闘タイプでありながらも真っ向から立ち向かったウーラオスも見事です!!観客からの拍手が雨のように降り注ぎます!!』
『実際格闘タイプでありながらも本当によくやりましたよ』
「よくやったウーラオス、流派マスタードの名に恥じぬ戦いだった……俺もお前に恥じないバトルをしないとな」
これで自分の手持ちは3体、いやペンドラーはダメージがデカい。もう一度バトンタッチをするにはリスクが高いし、カルネは確実に潰して来る筈だ……ならば次は―――
「GOギルガルド!!」「ギ~ルド!!!」
ラビ カルネ
×フォレトス ×ルチャブル
ペンドラー ×ヌメルゴン
×バンギラス ×ガチゴラス
×ウーラオス ×パンプジン
ギルガルド ×アマルルガ
??? サーナイト