週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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PWCS:準々決勝第四試合 カルネ VS ラビ 10th

『悪いなダイケンキ、今回は休みで頼む』

『ケエン』

 

ダイケンキはただ一言、分かったとだけ答えて最近そわそわし出している番であるバクフーンの所へと行った。どうやら卵が孵りそうなのだ、それを考慮して、という訳ではない。今回のカルネ戦においてはハッキリした事を言えばダイケンキは刺さっていないのだ。

 

ルチャブル

アマルルガ

ガチゴラス

ヌメルゴン

パンプジン

メガサーナイト

 

カルネのパーティ編成はこのようになっているが、部分的に刺さっているだけで全体的にはハッキリ言って微妙という他無い。有効と言えるのはアマルルガ、そしてガチゴラス位だろう。ヌメルゴンにおいては寧ろ辛い。故に今回は留守番をして貰う事にしたのである。そこで選抜したのが―――

 

『ルカリオ!!』

『クオオンッ!!』

 

御呼びとあらば即参上、という訳ではないがやってきたルカリオは跪いて頭を下げる。最近騎士ムーブに磨きをかけている気がする……まあ少し揺さぶると剥がれる程度の物なのだが。

 

『今回の準々決勝、総大将はお前だ。メガシンカもお前に切るつもりでいるからな』

『―――……クオンッ!!』

 

 

 

素早く―――サイコショック!!力強く―――マジカルフレイム!!!

素早く―――剣の舞!!力強く―――高速移動!!

 

周囲へと浮かび上がる無数の破片、それが襲って来るがルカリオは波動でそれらのコースを全て把握すると舞いながらもその中を突っ切っていく。そして火炎放射のようなマジカルフレイムを高速移動で真上へと飛び上がって回避する。だがそれを待っていたと言わんばかりにサーナイトは空いていた片手で第二撃のマジカルフレイムを放った。

 

「クオオオ……ラァァッ!!!」

「サナァッ!!?」「何とぉ!?」

 

思わずカルネでさえもそんな声を出してしまった理由、それは空中でルカリオが更に跳躍したからである。ゲームなどである二段ジャンプを平然とやってのけて攻撃を回避するなんて誰が思うだろうか。

 

『これはルカリオが空を飛んだ、いや跳躍したのでしょうか!?ですが飛行テラスでもないのにどうやって……ラバイさん分かりますか!?』

『……恐らく、が付いてしまうんですが……波動でしょう』

『波動、ですか』

『メガルカリオは極限にまで波動が高まった姿と言われています。波動を扱う能力とその出力は通常時のルカリオとは比較にならない程に高まっています、それを利用したんじゃないかと思います……例えば、足から波動を放って推進力とする、とか……』

 

「流石俺の弟、正解だ」

 

波動弾として放たれるなら、手や足から波動自体を放出して加減速を行ったり、極短時間の飛行や跳躍だって可能の筈だとラビは考えていた。これはカロス地方のメガシンカ親父ことコンコンブルにも驚かれたほどだった。

 

「ルカリオ、どうだ気分は」

「―――……」

「あっやべ、もう来た」

 

ラビは想定以上よりも早く来たそれに思わず素で変な声が出た。

 

「カルネさ~ん」

「何かしら?このタイミングでハプニングでも起こ―――」

「ルカリオ、テンション上がって来たんでキレます」

「―――いやテンション上がってキレるって何よ!?いやその子のあれこれ知ってるけどそういうのもあるの!?」

「キレるというか厳密に言うと―――極度の興奮状態入ります」

「グルルウガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!」

 

艦を超えてパルデア全土へと広がる程の爆発的な波動の高まり、それは爆風と衝撃波を生み出してサーナイトとカルネを襲う、ダメージこそないがとんでもない重圧にサーナイトは言葉を失った。カルネはこれが話に聞いていた奴か……と汗を流した。

 

「グルウウウガアアアアアア!!!!グアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

 

「あ、あれってルカリオが暴走した時と……」

 

それを見つめていたカロスのジムリーダーたるコルニは未熟だったが故に暴走を招いてしまった自分のルカリオを思い出してしまった。理性が完全に飛び、目の前のポケモンへと凶暴性を剥き出しにして襲い掛かる狂戦士。

 

『ル、ルカリオが吠えています!!とんでもない波動を放っております、何が起きているんでしょうか!!?』

 

「サーナイトの強さの波動を感じて、ルカリオのテンションはMAX。自分を抑える理性は縛る鎖に過ぎない、それから解き放たれたって事ですよ」

「グルウウウウウグググッ……!!!」

 

唸り声を上げながらもサーナイトを血走った瞳で見つめるルカリオ、波動の勇者と異名を取るポケモンとは思えぬほどの迫力がそこにある。いや迫力というには凶暴すぎる殺気がある。だがそれを制御する手立てはある、メガシンカポケモンはトレーナーと繋がっている、ルカリオはそれが特に顕著になる。

 

「ルカリオ!!!」

「グオオオンン!!!」

「考えるのは俺がやる、お前は唯真っ直ぐ―――サーナイトをぶっ飛ばす事に集中しろ!!!」

「グオオオオオオオオオンッ!!!!!」

「来るわよサーナイト!!!素早く―――サイコショック!!力強く―――10万ボルト!!!

 

刹那、ルカリオの周囲を包み込もうとした破片の包囲網。そしてそこへ放たれようとする電撃はウーラオスを閉じ込めようとしたあの技、だが―――ルカリオは即座にサーナイトの懐に飛び込んだ。力業によって4段階上がった素早さと地面を蹴ると同時に波動を放出して初速を上げた結果、神速並の速度でサーナイトへと接近した。

 

「チェンジ雷パンチ!!!」

「サアアナアアア!!!」

「コメットパンチィ!!!」

「グウウウガアアアアア!!!」

 

10万ボルトを咄嗟に雷パンチに変更するという無茶を平然と通しながらも繰り出された拳に合わせるかのように彗星の拳が突き刺さった。

 

「サァァ、ナァァァッ……!!!!」

 

異様なまでの拳の重さと一瞬でも気を抜くと拳が吹き飛んでしまいそうな勢い、その時サーナイトの瞳がその秘密を見た。肘、肘から波動を放出して推進力にしている。だからこんなバカみたいなパワーが出るんだと思う。それに気づいたのが幸いだと言わんばかりにサーナイトは拳を起点にするように身体を回転、激流のようなそれを見事に受け流しながらも抜ける事に成功する。

 

「ナイスよサーナイト!!!10万ボルト!!!」

「サアナアアア!!!」

「グルウウウオオオンッ!!!」

 

完全に背後を取った、推進力がある故に勢いは凄まじいがその分小回りは利かない筈だと背後からの10万ボルトを浴びせ掛けようとするのだが、逆にルカリオは更に波動を放出して一気に加速し、遠ざかるという選択をした。10万ボルトはそれを捉えきれずに地面に炸裂する。

 

「なんて反応速度……!!だったらそれを弁えた上で動くしかないわね……先読み合戦よサーナイト!!!」

「サナッ……!!!」

 

望む所と返せるサーナイトも流石という他無い。だがルカリオは幽鬼のように其方を見ると再び一気に加速していく。全神経を集中させた、ルカリオの今のスピードと到達するまでの距離から、タイミングが―――今っ!!

 

「今よジャンプ!!!」

「サァナッ!!」

 

飛び上がったサーナイトがいた場所を襲うかのように向かってきたルカリオをやり過ごし、今度こそその背中に電撃を浴びせ掛ける―――のだが、

 

「サナアアアッ!!!?」

「グルアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

 

電撃を突き破るかの如く、一気に方向転換してきたルカリオがスカイアッパー染みたコメットパンチを放った。跳躍と同時に波動で一気に飛び立ってサーナイトの腹部を捉える。

 

「サーナイト、よし来た!!」

 

その時、挑発が切れた。これなら変化技が使える、サーナイトは豊富な変化技を覚える、それは攻撃技と同等の価値の技を大量に有しているに等しい。だからこそカルネはこれで好転するとさえ、喜びをあらわにした。

 

「サーナイト素早く―――願い事!!力強く―――サイコノイズ!!

サアアナアアアア!!!

 

変化技を取り戻した同時に回復の一手と此方の回復封じを計る、食えない人だ。ルカリオは確かに回復技を使える―――だが

 

素早く―――剣の舞、力強く―――コメットパンチ!!!

グルウウウガァアアアアン!!!!

 

この状態のルカリオにそんな高等な芸当が出来ると本当に思っているのか?と言わんばかりに舞いながらも突撃し、サイコノイズを真正面から突き抜ける一撃を放った。

 

「サナァァッ……!!?」

「悪いな、芸がなくて……馬鹿の一つ覚えだ、攻略してみろ上位者!!!ラスターカノン!!」

「グウウウウオオオオオンッ!!!!」

 

波動が混入されているラスターカノン、尋常ではない破壊力。咄嗟にサイコパワーの防壁を展開するが、それを波動がこじ開けてそこからラスターカノンが流れ込んで来る。その最中に願い事によって体力が回復する……筈なのにサーナイトの表情は優れない。

 

「ダメージが回復を上回ってる……!!鋭利に―――サイコキネシス!!

サアアナアアア!!

 

ヌメルゴンでは無茶だったが、サーナイトならば無茶ではない。相棒故の練度と連携の高さが巧業を可能としている。それは鋼タイプのルカリオにも十二分に通用する、だからどうした。生憎、此方の取る手段は既に決まっているんだ。

 

素早く―――悪巧み、力強く―――悪巧み

「悪巧みの二重!?」

 

一気に限界へと到達する特攻、同時に高まる波動がサイコキネシスを跳ね飛ばすように阻害する。溢れ出していくそれにサーナイトもカルネもこれで決めるつもりなのが理解出来た。

 

「さて……ルカリオ、全てを出し切れ。あいつを、ぶっ飛ばそう」

「グルウウウッ……!!!」

 

全身から立ち上る波動の嵐、それらを全て掌へと集めていく。そこへ更に自らの生命力と言ってもいい体力を注ぎ込む、淡い青色の光は鈍くも輝く燻銀の輝きへと変貌していく。

 

「面白いじゃない……サーナイト、此方もやるわよ!!」

「サナァ!!」

 

即座に瞑想を発動させながらもサーナイトは呼吸を整えながらも力を収束させる。これが最後の一撃となるのか、試合を決定付ける一撃となるのか……全ての人の目が注がれる中でメガシンカポケモン達が、その一撃を放つ。

 

「全力全開、これが最大だ!!猛々しく―――徹底光線!!!

グウウウガアアアアアアンッ!!!!

 

「此処が一世一代の勝負所、さあ行くわよサーナイト!!猛々しく―――ハイパーボイス!!!!

サァァアアアナアアアアアアッ!!!!

 

放たれる光線と放たれる歌声の衝突、フィールド中央部で激突したエネルギーは互いを食い合うように侵食しあう。一進一退の攻防、そのエネルギーは徐々に巨大になって行きフィールドを喰らうように巨大化し半球状に広がっていく。

 

「まだまだァサーナイトぉ!!」

「サナアアアアアアアアアッ!!!!」

 

更に強くなるハイパーボイスは最早声の領域を逸脱、音ではなく巨大なエネルギーと化して徹底光線を押し始める。

 

「グルオオオオオオオッ……!!!」

「全てを出し切れ!!後先考えずに、突き進め!!」

「グルルルウグアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

 

最早出し惜しみもしない、自分の全てを出し切るかのような勢いでルカリオは更に力を上げた。限界を超えるがそんなこと知るかと言わんばかりの光が注ぎこまれて、ハイパーボイスを再び押し返し始め―――遂には完全に飲み込み返して行った。

 

「サ、サナァッ―――」

 

白銀の光がフィールドを包み込む、真っ白い闇が全てを消し去ってしまったと錯覚してしまう程に何もない白い世界が生まれ、死んでいく。徐々に光は闇に帰り、天からの光が本当の姿を暴く。抉れ、地割れを放ったかのような亀裂が縦横無尽に走っているフィールドの中央で倒れ込んでいる二体……同時にメガシンカが解除され、通常の状態に戻る。

 

「クッォオオ、ウオオンッ……!!」「サ、サナァ……!!」

 

それでも負けは認めないと立ち上がろうとする二体、限界を超えてしまっているという言葉が陳腐になる程の消耗具合。それでも二体は立ち上がろうとする、膝に力を籠め、もつれそうになる足を正して、立ち上がろうとする。

 

「クオオオオオオオンッ……!!」「サ、サナァアアアアッ……!!」

 

たった、立ち上がった。そして心臓の音が外に漏れていると錯覚する程に巨大に聞こえる錯覚の中で……ルカリオが倒れそうになった、だがその時に、

 

―――ガアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!

 

何処からか、一匹の鴉の声が聞こえた気がした。その声を聴いたルカリオは意識を強く持った、こいつに負けるならまだしも、こいつの前で誰かに負けるなど真っ平御免だと、ファイティングポーズを取った。そして前を見た時―――ゆっくりとサーナイトが倒れ伏した。

 

『サーナイト、戦闘不能!!ルカリオの勝ち!!!!カルネ選手、手持ちポケモン0!!BATTLE OVER!!よってこの試合、ラビ選手の勝利となります!!』

『け、決着がついたああああああ!!!大白熱の準々決勝最終戦!!メガシンカポケモンとテラスタルを使った激しい攻防の末に勝利を勝ち取ったのは……ラビ選手です!!!カルネ選手の切り札、サーナイトを真正面から打ち破っての見事な勝利です!!!』

『凄いバトルだった……これは間違いなく名勝負の一ページに乗った事でしょう』

 

様々な言葉と喝采、拍手が惜しまれる事もなく勝者であるラビへと注がれていくが、本人はそれ以上に勝てた……という実感の中で安堵の息を漏らしながらも勝利を噛みしめた。そしてルカリオに笑顔を見せながらもボールを出す。

 

「よくやってくれたぞルカリオ……お疲れさん」

「クルオオオンッ……」

 

ルカリオは倒れ込みながらも差し出されたボールへと拳をぶつけて自らボールへと戻っていった。

 

「サーナイト、本当にお疲れ様。有難う」

「サナ……」

 

ボールへと戻っていくサーナイトを見つつもカルネは小さく負けちゃったかぁ……と呟いた。アンシャにもっとかっこいい所見せたかったんだけどなぁ……と思っているとアンシャはキバナに肩車をされながらも此方に手を振っているのが見えた。

 

「お母様カッコ良かったのです~!!!アンシャはお母様みたいなトレーナーになるのです~!!」

「―――……最高の賛辞ね」

 

娘からの祝福ほど素晴らしい贈り物はない。ああっ気分がいい……と思いながらもカルネはラビに向かい合った。

 

「負けたわラビ君、行けると思ったんだけどね」

「俺としてはギルガルドのあれを見破られたのが一番痛かったですよ、影分身だと思って遠慮なく潰してくれるのを期待して、それで道連れするつもりだったのに」

「うわ、ホント貴方ってば容赦ないわね」

「それが強者へのリスペクトでしょ?」

「違いないわね」

 

「ラビさん~凄かったのです~!!凄いキラキラしてえっとえっと……兎に角凄かったのです~!!」

「……下手に語彙力を出されるよりもこういう素直な賞賛が一番嬉しいなぁ」

「分かる、超分かる」

「鼻血だけは此処で出さないでくださいよ……全世界に中継されますよ」

「……つまり、アンシャのかわいらしさが世界一だと証明するチャンス……!?」

「勝手にやってろ」

 

準々決勝第四試合、カルネ VS ラビ

勝者 ラビ




準々決勝、終了です……!!!これによって準決勝の組み合わせが決定です。

準決勝第一試合、レッド対ナンジャモ。 準決勝第二試合、サトシ対ラビ。

という事になります。レッドとナンジャモの並びがすげぇ違和感……。これはどっちも書こうと思います。それとは別に活動報告でとあるアンケートを取ろうと思いますので、気が向いたらそちらもご覧になってみてください。

下記のURLで飛べますのでどうぞご利用ください。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=338167&uid=11127
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