週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ:色眼鏡メガヤンマ

「んっ~……あ~なんか久しぶりに長時間バスに乗ってた気がする」

「同じく、しかしいい空気。自然も豊富だ」

 

バスから降りた二人は真っ先に周囲へと目を向けた。道路こそ整備されているが周辺にはほぼ手付かずな自然がそのまま残されている。

 

「あっヤンヤンマ、いただき!!」

「撮影協力どうも~ほらお礼のオレンの実」

「ヤンヤン~♪」

 

と咄嗟に目の前で止まった薄羽ポケモンのヤンヤンマをフィルムに収めたのはサザレ、そんなヤンヤンマへと木の実を上げてお礼を言うのはラビ。二人はパルデア地方から離れて飛行機とバスを乗り継いでこの田園風景が実に良さを引き出しているキタカミの里までやって来た。

 

「しかし、パルデア地方とは全く違うな……分布的にはホウエンとジョウトが混ざった感じか……?」

「こういうのを調べるのもポケモン博士的にも面白い研究対象なのかな」

「多分な。オダマキ博士辺りにお勧めでもしとくかな」

「流石ラビ、各地方を巡ってるから顔が広いね」

「よせよ、照れるじゃねえか」

 

そんな事を言いながらもこの先のスイリョクタウンを目指して歩きだしていく。一先ず、自分達が暫くお世話になる民宿に挨拶をしなければ……スーツケースを引っ張りながら歩いているとサザレは懐かし気に呟いた。

 

「こうしてるとさ~シンオウ地方で一緒に旅し始めたばっかの頃思い出すね~」

「昔の事ばっか語るとウザがられるぞ」

「ラビはウザいの?」

「別に~そうとは言ってないだろ」

「じゃあいいじゃん」

 

だが本当にラビも懐かしさを隠せない。イラストレーターとして働くまではこうして毎日毎日歩き続けていた物だ、ガラル地方でも宿泊施設を利用するのはジム戦前のみでそれ以外はキャンプで過ごしていた為、他のトレーナーからは何故か畏怖の目で見られた。ワイルドエリアなんて他の地方では当たり前にある様なものだ。

 

「ガラル地方とかにも興味あるんだよね~あっちに面白いポケモンとかいるんでしょ?」

「向こうはそれに加えて伝説とかも豊富だな。なんだったら向こうの博士も紹介するぞ」

「そん時は一緒にね」

「はいはい」

 

そんなやり取りをし続けながらもスイリョクタウンに到着した、落ち着いた雰囲気が好ましい街だと思っているとロングヘア―の女の子が気弱そうな男の子を連れながらやって来た。歓迎してくれているのかと思ったらどうにも目つきが鋭い。

 

「……アンタらよそ者ね?悪いけどよそ者はスイリョクタウンに入れてあげないの」

「ええっ?そんな決まりあったの?」

「困りましたね、民宿先には既にご連絡していますし料金も支払ってしまってますし……一先ず連絡を取りたいのですが宜しいですか?」

 

と少女は少しだけ戸惑いの表情を見せていた、彼女からすれば姉と弟の旅行者が来た程度の認識だったのだろうが、対応が想像以上にキツかった。

 

「ど、どうしても入りたかったら私とバトルよ」

「姉ちゃん、バトルしたいだけ……意地悪」

「スグ、煩い」

 

と軽く小突き合いをする二人にラビとサザレは笑った。何だ、そう言う事かと納得の笑みを浮かべながら。ラビは分かっていたが軽い悪戯の部類なのだろう、だったら応えてあげなければ不作法という物だろう。

 

「よろしい。それならば僭越ながら、この私がお相手させて頂きますよお嬢ちゃん」

「ハァッ!?何がお嬢ちゃんよ、アンタだって同じ位じゃない!!決めたアンタぶっ潰して街に入れてやらない!!」

「んもう……ごめんなさい姉ちゃんが勝手に……」

「ううん大丈夫よ、それに負けないから」

 

スグ、と呼ばれた男の子はサザレに謝りながら自己紹介をし始めた。

 

「それで多分姉ちゃん、外の人とバトルしたかったんだと思う……でも素直じゃないから」

「アハハッあるある、あるよねそういうの。だったら大丈夫、ラビはそう言う人得意だから」

「ラビさん、っていうんだ。あっ姉ちゃんといつも見てる配信の人と同じ名前だ」

 

それを聞いて益々サザレは笑みを強めた。今ラビは帽子に眼鏡を掛けており配信の姿とは大分違うから気付かれないのだろう。分かった時が見ものだ。

 

「ようこそキタカミへ、まずは土の味を噛み締めなさい。行きなさいポチエナ!」

「それじゃあこっちは―――仕事ですよ、メガヤンマさん!!」

 

 

 

「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。本日ご紹介するポケモンさんは此方」

「ヤ"ァァァァ……!!」

「メガヤンマさんです」

 

・おおっ俺が大好きなポケモン!!

・久しぶりな虫ポケモン!!

・ワナイダーさん以来か?

・ラランテス以来じゃね

・ラランテスは草だぞ

 

「メガヤンマさんは虫と飛行タイプの複合タイプです。進化前のヤンヤンマさんに比べるとかなり攻撃的な見た目になっておりますが、これは進化条件でもある原始の力を習得した状態での進化も相まって先祖返りした姿だと言われています。進化とは前に進むとは限らないという事ですね、そして極めて力強いです、お願いします」

「ヤ"ァァァァァ!!!!」

「このように大人一人を軽々と持ち上げる事も可能でこのまま高速戦闘も可能です」

 

・可愛かったヤンヤンマからマジで一転したなぁ……

・だがそこが良い!!

・凄いカッコいいよな!!

・すっげぇ強面になったよなぁ

・ちょ、ちょっと怖いかも……。

 

「有難う御座いました。実際ヤンヤンマさんの時点で羽を羽ばたかせた際の衝撃波で窓ガラスを割ってしまう程でしたが進化した事でパワーアップし様々な能力が上昇しています。私を持ち上げる事は勿論、羽ばたきの威力は大木をなぎ倒し、相手の内部を破壊する程。すれ違い様に相手の喉を狙う戦術を好む程に戦闘に適している上にその性質も凶暴です。ですのでヤンヤンマから進化したてのトレーナーが手に負えないという事もあります」

 

・ええっ……

・やっべぇなおい……

・そこまでバトル向きになってるのか……。

・う~んこれはトレーナーを選ぶ。

・と言いつつも主のメガヤンマからそんなのを読み取れないバグ

・虫だけに。

・頭の上に止まって休憩してるしな。

 

「性質は獰猛になる、筈なのですがヤンヤンマさん時代に確りと交流しておくとメガヤンマさんに進化しても引き続き懐いてくれる事が大多数です。矢張りポケモンさんとの交流は大事ですね。そんなメガヤンマさんですが、虫ポケモンさんの中でも主力級とされる程の力を秘めています。特性も優秀で加速、色眼鏡、夢特性がお見通しと中々なラインナップです」

 

・うわ、凄いな

・加速とお見通しだけでもかなり優秀じゃね?

・というか加速だけでいい。

・色眼鏡……?

・確かにメガヤンマの目はそう見えなくもないが……。

 

「色眼鏡は相手に半減される技の威力を2倍にするという物です。つまり、メガヤンマさんの得意技でもある虫のさざめき、これは虫タイプなのですが炎タイプに打てば半減される事なく等倍に。弱点が普通となります。これによって虫タイプとしては苦手なタイプが多い事を克服する事が出来るという事です」

 

・ええっマジで!!?

・じゃ、じゃあ鋼タイプに打っても等倍!?

・すっげぇっめちゃ強いじゃん!!

・いいなぁメガヤンマ、カッコいいし強いし……。

・よし絶対にヤンヤンマ捕まえる!!

 

「この色眼鏡によってメガヤンマさんは一致技である虫タイプと飛行タイプ技を幅広い相手に高い威力のまま押し付ける事が出来ます。これを止めるとなると鋼岩タイプ辺りを連れて来るしかない位には実は虫と飛行タイプは強いんです」

 

・岩鋼って……誰がいる?

・トリデプス?

・化石じゃぁぁぁぁぁ……!!

・となると、高威力を押し付けられる前に倒す位しかないかも

 

「そして虫のさざめきは音技なので相手の身代わりも貫通出来ますので耐久にも強いですね、加えて吹き飛ばしでそもそも相手ポケモンを無理矢理交代させてしまう選択肢もあるので耐久には滅法強いですね」

 

・うわぁフライゴンと同じ耐久キラーかよ……。

・これは、出されたらかなり鬱陶しい……

・どうだ虫ポケモンの凄さ思い知ったか!!

・虫ポケモンは凄いんだぞ~カッコイイんだぞ~!!

・虫ポケスキーが騒いどるwww

 

「弱点に関してもテラスタルで解消するという手もありますからね。道具で長所をさらに伸ばしても良し、短所を補っても強いですよ」

 

そんな風に配信を終えると遠くで見ていた少女少年、ゼイユとスグリが拍手を送ってきた。

 

「やば、私、推しの生配信を生で見ちゃったんだけど……!?」

「す、すごいの見ちゃった……」

「さあこれで私が誰か納得頂けたかな?」

 

結果から言えば、バトルではラビがゼイユに圧勝した。ポチエナ、そしてチャデスとは相性が最悪だったが、続いてロコンを繰り出してきた。これなら勝てるでしょと言いたげだったが、メガヤンマはその程度では怯まず、ロコンの炎を羽ばたきで起こす衝撃波で相殺し、エアスラッシュを連打して勝利を収めた。それにスグリは驚き、ゼイユは何者なんだと問い詰めてきたので答え合わせを兼ねて配信を行ってみた。

 

「うううっ……後、ごめんなさいなんか、その……えっと……」

「気にしなくていいよ、俺も気にしてないさ。そう言えば民宿では男の子と女の子の姉弟がいるって聞いてたけど君らがそうかい?」

「そ、そうです……俺がスグリ、んで姉ちゃんのゼイユです」

「そっかそっか、それじゃあこれからは仲良くしようね。折角だから一枚、如何?」

 

この後、仲直りとして一緒に写真を撮ってその後は彼らの家まで案内して貰った。その際にゼイユはちらちらと此方を見てきたりもしていたが、スグリは隣を歩きながらメガヤンマを興味深そうに見つめていた。

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