「ヤンヤン~」
「ヤ"ァ……ヤ"ァァァァァ!!!」
『ヤンッ!!』
「ヤ"ァァァァァ!!!」
『ヤンヤン~!!』
「わやじゃ、ラビさんのメガヤンマすっかりこの辺りのメガヤンマのリーダーになった……!!」
「統率力は中々ですからね、元々群れのボスでしたから」
「そうなの!?」
「ええ、ジョウト地方で大量発生の折に大量のヤンヤンマを統率していたリーダー格です」
キタカミの里でなんか無事にお世話になる事に成功したラビとサザレ、サザレは早速周辺の写真を撮ってくると出て行ったが、ゼイユは周辺の案内という名目で着いて行った。如何やら自分と顔を会わせ辛いらしい。
「しかしゼイユさんには失礼な事をしてしまいましたね、少々からかい過ぎてしまいました」
「いや姉ちゃんってこの里でも問題児扱いされてるからあの位大丈夫、だと思う。それより―――サ、サイン有難う御座いました」
「いえいえ、私程度のサインで喜んでいただけるなら幾らでも書きますよ」
ラビのサインを大事そうに胸に抱いているスグリ、スグリとゼイユの姉弟は揃って自分の配信を見ていたらしい。というよりも彼らが通っている学校でも自分の配信はそれなりに話題になっているらしく、配信を見てパーティの構成を変えてみたり、自分のお気に入りのポケモンが紹介されないかなぁという話も多いらしい。
「まさか、そこまで需要があるとは……マイナー配信者だった頃が最早懐かしいですね……学校でも見てる方が多いとか……」
「は、はい。学校だとリーグ部っていうのもあってそこの皆は必ず見てます」
「……そっかぁ……」
ブルベリ学園にも自分は影響を与えてしまっているのかぁ……と溜息交じりに息を吐いてしまった。なんというか趣味が此処まで拡大するなんて思いもしなかった……矢張り転機はナンジャモとのコラボだろうか……これは感謝すべきなのかそれとも有名になり過ぎていると嘆けばいいのだろうか……。
「そう言えばスグリさんは額に満月があるポケモンを聞いた事がありますか?」
「額に、満月?えっと……なんかお爺ちゃんから話聞いた事あるかも……今は田んぼに出ちゃってるけど後で聞いてみる?」
「ええ、是非。サザレはそのポケモンを撮影する為に来たんですよ、私はまあ、いわば助手です」
「助手―――なんか、カッコいい……」
と何故か目を輝かせるスグリに困ってしまう、普通は主役なんかに目を輝かせるものだと思うのだが……と思った時にとあることを聞いてみた。
「お二人はブルベリ学園の生徒さんと言いましたね、ではなぜ今は此方に?」
「ああうちの学校の林間学校が近くて、その連絡役として少し早めに戻っていいって先生から言われたんです。林間学校だとオレンジアカデミー?って学校から生徒が来て大変だろうから今の内に英気を養えって、確かあと少しで来る筈」
「そうでしたか……」
そうなると、自然と自分達は碧の仮面とぶつかる時期にこの里に来た事になるのかと思う。何という偶然……計った訳でもないのにこんな事になるとは、作為的な物を感じずにはいられないが、まさか邪神の祟りだろうか……。
「そうだ、スグリさん折角仲良くなれた訳ですし何か配信でのリクエストはありますか?」
「えっ、ええっ!?俺が、リクエストしていいの!!?」
「どうぞどうぞ、と言ってもリクエストしたポケモンさんを私が持っていたらですが……流石に幻や伝説を出されると困りますけど」
「ええ~っとどれがいいかな~……あれかな、いやいやいや」
目をキラキラさせながらも色々と考え始めるスグリ、そして唸っていると不意にメガヤンマが飛んでいる姿を見て閃いた。
「あ、あのっ実はずっといいなぁって思ってたポケモンがっ!!」
「おやそれはいいですね、どんなポケモンさんですか?」
「それは―――、なんです」
「大丈夫持ってますよ」
「やったぁっ!!」
「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。本日ご紹介するポケモンさんは此方」
「グラ"イ"ォォォオオオオオオンッ!!!!」
「グライオンさんです、相変わらずうるさいですね貴方は」
「ライッ?」
「無自覚か」
| ・おおっグライオン!! ・カッコいいポケモン2連続!! ・というか、また虫か!! ・ホント好きだな!! ・いやグライオンは虫ポケモンじゃない定期 |
|---|
「グライオンさんは地面と飛行の複合タイプです、蠍故の毒針を持っていますが意外に毒タイプではありません。体躯も翼も進化前のグライガーさんに比べて大きくなっていますが、体重は20キロ以上も落ちているから驚きです、グライガーさんよりもより滑空に適応した身体へと変化したというべきでしょう。これによって滑空による飛行能力は格段に上昇しており、風に乗れば一度も地面に降りることなく地球一周も出来る程です」
| ・こ、こんなに大きいのに、20キロも痩せてる、だと……!? ・わ、私達は数キロ落とす為に苦労しているのに……!? ・なんか思っても見なかった方向にダメージ受けてる……!? ・普通に人間で20キロやせるとか異常事態だからやめとけ ・そもそも太らない様に気を付けるか、日常的に良く動けば良いのでは |
|---|
「更にこの自慢の尻尾も発達しており、木の上や岩場などに潜み、音を立てる事もなく獲物に忍び寄って尻尾で捉えて牙攻撃、という隠密行動も得意としています。バトルではそれに加えて大きな鋏でパワフルなバトルも出来ますしかなり芸達者です」
| ・ほぇ~力自慢な印象だったわ ・ガッチリしてるもんな~ ・そんな事まで出来るとか器用だなぁ……。 |
|---|
「さてグライオンさんの特徴と言えばその防御力です、高い防御力を備えながらも攻撃力も中々侮れない上に剣の舞で攻撃力も上げられますし地震やストーンエッジなどで圧力を掛けられますし、最終兵器ハサミギロチンまで完備。氷タイプには弱いという弱点こそありますが、その圧力は相当な物なのです」
| ・そうなんだよ、こいつ硬い上に攻撃もあるんだよなぁ…… ・攻めても高い攻撃力で仕返し食らうし、何とか突破しようと能力あげようとしたら ・今度はハサミギロチンをチラつかせて脅しかけて来るとかいうな ・マジでこいつ厄介。 ・使い側としては凄い頼りになるんだけどな。 |
|---|
「さて、そんなグライオンさんの特性は怪力鋏に砂隠れ。怪力鋏は対威嚇と言っても良いですね、攻撃力が下がらないという物です、砂隠れは砂嵐状態時に攻撃を避け易くなり、砂嵐のダメージを受けないという物です、そして私のグライオンさんの特性は夢特性のポイズンヒールです」
| ・う~んでも威嚇が平気って頼もしいな ・物理主軸だから攻撃保証あるのは有難い ・回避アップも中々…… ・でもポイズンヒール?聞いた事ないぞ ・毒の、悪役? ・いやそっちか。 |
|---|
「ポイズンヒールは毒状態時に体力が回復するという特性です。この特性なので私のグライオンさんには持っていると毒状態になる毒々玉を常備させています、これによって最初に鬼火などを受けて火傷にならない限り、毒状態となって他の状態異常にもならないというメリットも生まれます」
| ・うわマジかよ!!? ・毒で体力回復とか、そんなのありぃ!? ・うぉいしかもグライオンって耐久自慢だぞ!? ・け、削れねぇ!!? ・マジでやばいコンボやん⁉ |
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「更にグライオンさんは羽休めを覚えて回復も出来ますので更に盤石に……」
| ・いやあああああ!!? ・突破出来ねぇ!!? ・マジでやめてくれぇぇぇ!!! ・辛いなんてもんじゃねえぞ!!? ・マジで強いじゃん!? ・無敵じゃね!? |
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「でもありません、グライオンさんの特殊耐久は物理耐久程高くないので氷タイプの特殊技、冷凍ビームなんかをもろに受けるとかなり危ないですし、水タイプなどをぶつけても突破は結構容易いですので無敵なんて事はありません」
| ・あっそっか、地面と飛行で氷が倍々なのか ・た、対抗手段があってよかった…… ・いやぁでもこれはかなり頼りになる対物理だな。 ・育成の余地ありだな。 ・夢特性なのが厳しいが、それでもゲットしたいなぁ……カッコいいし。 |
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「起点作成役としても十二分に技を覚えますので、主力に据えるのもよし、サポート役に据えてステルスロックや追い風、挑発などで相手を翻弄する事も出来ますのでどうぞ貴方の好きなグライオンを飛ばせてみて下さい」
そんな感じで配信を打ち切るのであった。スグリのリクエストであったグライオン、これで満足して貰えるだろうかと、そちらを見たらスグリは尋常ではない程に目を輝かせていた。
「わ、わや感動した……お、俺、絶対にグライオン捕まえる……!!」
「フフフッそう言って貰えると嬉しいですね、あっそうだ少し待ってくださいね」
そう言ってスマホロトムを操作して自分のボックスを呼び出すととあるモンスターボールを呼び出してスグリに手渡した。突然の事に目をパチクリさせるスグリだが、出してみてと言われて出して見る事にした。
「グライガ~!!!グライ?グライ~!!」
「わわわっ!!?グライガー⁉」
ボールから出たのはグライガーだった、グライガーは周囲を見回すとスグリをみて飛び付いた。それに驚くスグリだが、何とか受け止めてあげる事に成功した。
「この子はグライオンさんの子供でしてね、凄く元気いっぱいでヤンチャな子なんです。どうですかスグリさん、貴方が育ててみませんか?」
「え、えええっ!!?お、俺が!!?」
「この子の特性は免疫です、免疫はグライガーさんの夢特性でこのままグライオンさんに進化すれば特性は免疫からポイズンヒールへと変化します」
「そ、そうなんですか!?」
思わずグライガーを見る、肝心のグライガーは意味が分かっていないのか舌を出してながら首を傾げている。その仕草にスグリは少しだけ可愛い……とドキドキした。
「如何ですか貴方が育ててみませんか?まだレベルも低いですので育てるのは大変かもしれませんが……折角こうして出会えた御縁という事で」
「ぁぁぁっ……あ、有難う御座います!!俺、この子をラビさんのグライオンみたいに強くしてみたいです!!」
「ええ、頑張ってくださいね」
「グ、グライガー、俺のポケモンになってくれないかな!?」
張り切りながらもグライガーの意志を確認していなかったとスグリは慌ててグライガーに聞いてみる、これで駄目だったらどうしようと言いたげな不安が滲んでいるがグライガーはそんなものを噴き飛ばすようなウィンクをしながら頷いた。
「宜しくグライガー!!よ~し俺、けっぱるべ~!!」
こうしてスグリの手持ちにグライガーが加わったのであった。そして―――そのグライガーは何れ、空に向けて大きな翼を広げるのだろうとラビは思いを抱くのであった。