『ラビ選手最後の一体は……ヒスイの時代に生息していたとされるリングマの進化形であるガチグマ―――ですがこの姿は……ラビ選手の配信で見られたガチグマとは、また別の……!!?』
『ホントあの人なんなんだ……』
ガチグマに関する情報は現在でも少ない、ラビ自身が配信で公開こそしたが本当にその程度で現在も研究を進めたくてもラビがそれ以上を開示してくれないので直接交渉を行ったナナカマド博士やオーキド博士、ククイ博士位しか出来ていないのが現状。しかもその姿とも異なる、そうラビが、キタカミの里でサザレから借りた笛を吹いて出会い、ゲットしたアカツキガチグマである。
「すっげぇ……なんですかラビさんそんなガチグマがいるなら教えてくれてもいいじゃないですか!!」
「あれ、レッドから聞いてたと思ったんだけど……」
「そうか、庭に凄いのがいるってその事だったんだ!?くっそ~もっと探検しとけばよかった!!?」
レッドには教えているがサトシには教えていなかった、別に意地悪という訳ではないのだが……尋ねられない限りは話すつもりはなかった。一応希少なポケモンであるのでそこまで喧伝しない方がいいと思ったから、あとサトシが口を滑らせてしまう事を踏まえると聞かれない限りは隠しておこうという事になった。レッドはまあ無口だから大丈夫だと判断した。
「正直、こいつを此処で使う事は俺にとっての敗北……悪いなガチグマ」
「ワギアアア」
何を言うんだとガチグマはラビの言葉を止めた、バトルを望んだのは自分だ、寧ろ自分を使ってくれる時を待っていた気すらするとガチグマはバトルに乗り気だった。
「チオンジェンと同じくデビュー戦で無茶させて悪いが……力を貸せガチグマ、勝利をこの手にする為に!!!」
「―――ワギアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
艦をも揺るがすような大声量、ピカチュウもその覇気に思わず踏鞴を踏む。ダイケンキともアーマーガアとも違う、全く別格の覇気を纏っている。強いて言えば……コライドンやジーランスなどに近い何かを感じる、この時代とは又違う、長い年月をその身に刻み込み、生き永らえて来た生き証人……というべきだろうか……。
「ピカチュウ、油断できないぞ」
「ピカッ……!!」
大きなダメージを負っている筈なのにピカチュウはまだまだやれると言わんばかりあった。流石はサトシの相棒という他無い。
『THE FINAL BATTLE ピカチュウ VS ガチグマ!!3、2、1……BATTLE START!!』
「(ガチグマは地面タイプ、ラビさんらしいチョイスだ……だけどっ)ピカチュウ!!鋭利に―――10万ボルト!!」
「ピイイカアアチュウウウッ!!!」
「素早く―――泥掛け!!力強く―――マッドショット!!」
「ワアギアアアッ!!!」
爪で地面を抉るようにしながらも掬い上げて頭上へと巻き上げ、そこへマッドショットをぶつけて更に土を広げて自らに被せていく。そこへ巧業の10万ボルトが突き刺さるのだが、ダメージは皆無に近くガチグマは平然としている。
「泥遊び……!?」
「そう、幾ら巧業で強化されようともこれだけ分厚い土の装甲があると簡単に貫通はしない。巧業の影響で無力化できるタイプであっても油断はできない、だから油断せずに対策する、ピカチュウとアンタを倒す為にはこの位はしないと駄目だからな」
「だったら接近戦だ!!素早く―――電光石火!!力強く―――アイアンテール!!」
「ピカピカピカピカピカピッカ、チュウウウピッカァァッ!!!」
電光石火を更に素早く繰り出し、その勢いを使ってアイアンテールを叩き込もうとするピカチュウ。だがガチグマは動こうとしない、そしてアイアンテールが命中した、と確信したが―――
「ワギィィ……」
「き、効いてない!?」
「生憎、ガチグマの防御は高いぜ。素早く―――瞑想!!力強く――大地の力!!」
「ギイィィィッ……ワギアアアアアアッ!!!」
瞑想をしながらもピカチュウを弾き飛ばし、距離が取れた所で勢い良く地面を殴りつけると地面から無数のマグマにも似たエネルギーが噴出してきた。
「避けろ!!」
「ピ、ピィイカッ、チュウッピィィッ……!!」
「な、なんかピカチュウの動き鈍くない……?」
「流石のピカチュウもダメージと疲労がピークに近づいて来てるんだ……」
ピカチュウの力をよく知っているカスミとタケシから見てもピカチュウの疲弊具合は相当な物だった。スピードこそあるが、その初速が明らかに遅く、加速も十分にしきれていない。ダイケンキとのバトルが相当に響いているのだろう……。
「それだけではないと思うよ、サトシは既にメガシンカとZワザを失っている。いざという切り札の1000万ボルトはその気になればタイプ相性なんて吹き飛ばす程のパワーがあった、本当はあのガチグマにこそ撃ちたかった筈……だけどラビはそれを敢えてダイケンキで使わせたんだ。ピカチュウを追い詰める為に」
デントの言葉に、思わずタケシとカスミは戦慄した。仮にも自身の相棒にして最強のポケモンに、そういう事をさせるのか……本来であればサトシのように最後の砦を任せる筈なのに……ダイケンキすらピカチュウを落とす為の一助として作戦に組み込んでいる。
「僕からも言わせて貰うとサトシさんは基本的に旅の新しい仲間を踏まえて挑む事が多いのも関係していると思うね」
大地の力を必死に回避している所にハイパーボイスが放たれている所にイクハも言葉を連ねた。
「いや、新しい仲間だとしてもあのレベルの高さは驚嘆に値する……だけど普段のメンバーと繋がりが十分じゃない、きっと以前のPWCSのメンバーを採用していたら……状況は大きく変わっていたと思うよ」
サトシの特徴としてよくあるのが新しいメンバーを積極的に登用するという事、それは初のリーグ戦でクラブが大活躍した事に肖っているのもあるが、ポケモン達の力を信じているのもある。だがまだ時間の浅いポケモンで長い時間をかけて絆を作っているポケモンとの差は歴然。
「さあっどうなるんだこのバトル……!!」
「負けるなピカチュウ!!根性勝負なら俺達に分がある!!力強く――影分身!!鋭利に―――雷だ!!!」
「生憎根性ではないんだけどな、素早く―――瞑想、力強く――ハイパーボイス!!!」