「如何だ、件のポケモンは撮れた?」
「まだだね~流石に簡単に見つかるとは思ってないから大丈夫だよ、ゼイユちゃんも手伝ってくれてる訳だし」
「べ、別に大したことしてないし……」
サザレもサザレでガチグマの調査を行っているが、矢張り簡単ではないらしい。当人的には様々なポケモンが自然のままに暮らす姿を撮る事が出来ているのでとても楽しそう。
「と、というかスグ!!アンタ、何アンタラビさんからポケモン貰ってんの!?強請るとかズルんんっ!!トレーナーとして如何なん!?」
「そんな事言われたって……ちょっく、くすぐったいよグライガー」
「ライガ~♪」
元々かなり人懐っこい性格の個体ではあるがスグリとグライガーの相性は極めていいのか、グライガーは酷く懐いていた。今もスグリの身体に捕まりながらも頬を舐めている。ゼイユは羨ましい羨ましいオーラを全開にしているが、自分からは言いづらいのか静かにぐぬぬっ……と歯軋りを募らせていた。
「まあまあ、私も誰かに託されたりするような形でポケモンさんを受け取った事は数多いんですよ。そう目くじらを立てずに」
「ぐぬぬぬっ……!!だ、だったらアンタは絶対そのグライガーを大事にすんのよ!!ラビさんに迷惑かけたら私許さないから!!」
と、言いながらゼイユは飛びだして行ってしまった。
「う~ん……ゼイユさんにも誰かお渡しした方が良いですかね……?」
「いや多分やめた方が良いと思う」
頭に登りたがるグライガーを支えながらもスグリは弟故にゼイユの心を感じ取っていた。
「ああ見えて姉ちゃんってポケモンを大事にするんです、だから俺がグライガーを貰った事自体は羨ましいけど実際は欲しいとか思ってないと思う。今のポケモンに悪いからって」
「ゼイユちゃんって思った以上に誠実な子なのね~ちょっと見た目で損してるかも」
「いや、姉ちゃんはこの里で一番の悪童って言われてるし、誠実って言われたら微妙……」
弟として姉をフォローしたい気持ちがあるのは確かだが、悪童と呼ばれている事実から目をそらす事は出来ないし実際に悪童と言われるに相応しい程度には悪さはするので何とも言えなくなってしまったスグリにラビとサザレは噴き出した。
「まあ子供なんてあの位元気な方がいいよね」
「確かに、きっと彼女は素敵なレディになりますよ」
「姉ちゃんが……う~ん……」
「想像できませんか」
「うん。だって姉ちゃんだし……」
あの性格がキツくて自分への当たりもキツいあの姉が素敵なレディなんて全く想像が出来ないのだ。だがラビの言う事だし本当なのだろうか……。
「きっとそうなりますよ、スグリさんはきっとカッコいい感じになれますね」
「ホ、ホント!?」
「うん将来有望だと思うよ、ワンチャンラビみたいになるかもしれないけどきっとそうはならないと思うよ」
「そこで私を引き合いに出されると何とも言えなくなるんですけどねぇ……」
昔から知ってるサザレからすればラビの容姿は激変していない、精々身長が伸びた程度でそれ以外は変わっていない。一緒に映画館に行ったら素直に親子割引を薦められてサザレは爆笑寸前、ラビは苦虫を噛み潰したような顔になりながらも免許証を出して、嘘やろ……みたいな顔をされた。
「それはそれで、ラビさんと一緒でいいかも……」
「前任者がいるから大丈夫だと?まあその時は力になってあげますけど……というか折角ゼイユさんにリクエストを聞こうと思ってたのに逃しましたね……」
「あっそれなら俺、実は聞いてみたい事が―――なんですけど」
「ほう、それなら持っていますというか進化してるのまでいます」
「えっ!?進化するんですか!?」
「では今回はその辺りを―――スグリさんにはこっそりと進化方法まで教えてしまいましょうか」
「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。本日ご紹介するポケモンさんは此方」
「チュッ?」
「カミッチュさんです」
| ・おっ?リンゴ? ・カジッチュ……じゃない? ・カミッチュ……? ・金色のリンゴ……? ・カジッチュの分岐進化先の一つか? |
|---|
「カミッチュさんはご推察の通り、林檎暮らしポケモンのカジッチュさんの分岐進化先の一つです。タイプは草とドラゴンの複合です。カジッチュさんに酸っぱい林檎をあげるとアップリュー、甘い林檎を上げるとタルップルへと進化しますがカミッチュさんは蜜入り林檎という蜜がたっぷり詰まった林檎を上げると進化します」
| ・へっ~三種類のポケモンになるのか!! ・イーブイみてぇだななんか…… ・確かに、道具が必要だからバルキーの分岐よりかはイーブイだな。 ・蜜たっぷり林檎とか普通に喰いてぇ……。 ・同じく……。 |
|---|
「個人的にはキタカミの里の林檎がお勧めですよ。さてカミッチュさんですが、見た目は林檎飴なカジッチュさんですが、実は二匹のカミッチュさんが同居している状態なのです。今頭を出しているのがそとッチュさんで尻尾を出しているのがなかッチュさんです。なので複数のポケモンさんが合体して進化する方々とかなり近いですね」
| ・同居て…… ・でも一緒なのは面白いな。 ・狭くねぇのかな……。 ・そうは、見えないな。 |
|---|
「そんなカミッチュさんの特性は甘露な蜜に食いしん坊、そして夢特性が粘着です。粘着は持っている道具を落としたり、トリックなどで取られないもので食いしん坊は普段よりも早いタイミングで木の実を食べる特性ですね。そして甘露な蜜、これは最初に場に出た時に甘い蜜の香りで相手の回避を下げるという物で開幕限定ですが甘い香りを発動させるという物ですね」
| ・は~面白いな!! ・最初の一回がちょっと微妙だけど、命中が不安な技が当たりやすくなるのは有難いな。 ・これで立ち回りが変えれるのもいいな。 ・気になってきた……甘いもの欲しい ・で味は? ・食うなよ、絶対に喰うなよ |
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「味はまあ……林檎飴じゃないですかね。そして実はなんですが、このカミッチュさんは進化の可能性があります。何故ならば進化の輝石が適用されるのです、元々カミッチュさんは耐久寄りな所があるのでそれをさらに補強することが出来ます、粘着なら輝石を落とされる心配もありませんのでかなりマッチしていると言っていいでしょう。」
| ・また輝石か!? ・アップリューとタルップルの事があるから進化しねぇと思ってた…… ・でも今度はどうなるんだ? ・う~ん…… ・味が変わる。 ・黙れ特性食いしん坊。 ・共食いやん。 |
|---|
「あっ因みに私のカミッチュさんは色違いなので金林檎です」
| ・またかぁ!!? ・その色違い率は何なん!? ・こっちは見たくても見れないのに!!!? ・羨ましぃぃい!!! |
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そんな怨嗟の声を受けながらも配信を切ったラビだが、スグリがグライガーを乗せたまま輝いた目で此方を見つめて来ていた。
「ラ、ラビさんカミッチュが進化するって本当!!?」
「ええ本当ですよ。しかも、進化条件的にもスグリさんは適任かもしれませんね。ダブルバトル向けですし」
「ダブル、バトル向け……?」
「フフッまずはカミッチュさんでそこそこ戦えるようになってくださいね、そうしたら教えてあげます」
「はっはい!!あ、あのそれじゃあグライガーとの練習も踏まえてダブルバトルしませんか!!?」
「喜んで」
ラビとしても弟が出来たような感じがするのか、スグリにはいい顔をしてしまう自分がいるがきっと理由はそれだけではないのだろう。彼には今のままでいて欲しい、成長はしてほしいが……少なくともポケモンとは笑顔で接してほしいのだ。そして、そんなラビの思いが届いたのか―――物語が、仮面の輝きが遂に見えた。キタカミの里にアオイとハルトが、来たのである。