「いっけ~ラビさ~ん!!GOGOGOレッツゴ~!!」
『R・A・B・I!!LET’GO RABI!!』
準決勝にまでコマを進めてサトシと互角以上のバトルをしているラビ、そのバトルスタイルは合理的且つ相手への容赦は基本的に無く、勝利を目指している物。だがそれが明確な結果と実力の証明にも繋がっているのが、如実にラビのファンと思われる人も増加傾向にあり、準決勝の舞台では、観客席の一角を応援団と思われる集団が占拠して横断幕を広げながらも精一杯の声援を送っている。
『L・O・V・E!I love Rabi!!』
「サザレ、お前あれどう思う?」
「私よりラビの問題じゃないかなぁ……というかメイちゃん何やってんの……」
モニターで観戦しているサザレにも応援団達の行動は見えているが、どうにも思わない。応援団長という腕章を付けながら応援しているメイが目に入る、バッチリ変装もしている。
「キバナだってこういうの受けてるじゃん、数百倍は熱烈な奴」
「ぶっちゃけ最近重く感じて来た」
「変わったねぇ」
「人は変わるんだぜ」
レビとの関係が進むにつれてキバナの悩みの一つでもある過激な自分のファンへの対応、いい加減何か手を打たないといけないとは思っているのだが……どんな対策を取るべきかと悩んでいる。
「でもラビさん的にはどう思うんですかね、あの応援団」
「取り敢えず、何気を使って横断幕のイラストをちょっと年取ってる風に書いてんだよ逆に腹立たしいわボケカス、って思ってそう」
『すげぇ思ってそう……』
というかラビは実際に思っている、集中力が乱れそうなのでバトル開始前に気づいて以降は意識の外側へと押し出している。
「というか本当にラビさんのピカチュウ対策凄い徹底してるなぁ……泥掛けとマッドショットを被って泥遊びの強化版を自分に纏わせて巧業でも容易に突破出来ない装甲を纏う……更に有効打であるアイアンテールを出せないようにする為、距離を詰めさせない事を徹底する……」
「いやぁガチってる、ガチってんねぇ~ラビ氏」
「でもこれでも勝てるって確信がないのが怖い……」
「素早く―――瞑想!!力強く―――バークアウト!!」
「ワアアアギアアアアア!!!」
「避けろピカチュウ!!」
「ピイィカアッピィィピカアアアア!!?」
それはラビが一番感じている感触である、勝負は明らかに優勢、ピカチュウはダメージと疲労のピークに入っている、そこに更なるダメージは加わるというのに全く勝てるという確信という物は訪れない。それどころか此処からどう引っ繰り返されるのかという警戒心ばかりが募っていく……そしてそれは遂に結実したようにサトシがそれを取り出した。
「行くぞピカチュウ!!お前の力を限界まで高めるんだ!!」
「ピイイカアア!!」
「行くぞピカチュウ、テラスタル、だぁぁぁっ!!!」
遂に切られたテラスタル、オーブが結実させ、顕現させたタイプは……電気。ピカチュウの長所を最大限に生かすならばこれ以上ないテラスタルだが……ガチグマは地面タイプ、幾ら電撃を浴びせようと意味がない―――と思えないのが流石にサトシとピカチュウだ。
「行くぞ鋭利に―――10万ボルトォ!!!」
「ビイイイイガアアアアアアッ……ヂュウウウウウウウウウウウウウウッ!!!!」
電気袋からの電撃が頭部のテラスタルが一気に増幅させると電撃は龍のように荒れ狂いながらも、ガチグマへ炸裂した。泥の装甲に阻まれ……る事もなく、ガチグマは思わず膝を付いた、明確にダメージが入っている!!
『ピカチュウの電撃が遂にガチグマに炸裂ぅぅ!!!これは効いているぞぉ!!』
『電気テラスタルと巧業で遂に泥の装甲を打ち破りやがった!!!』
「だったら俺達も行くぞガチグマ……!!」
「ワギアアア……!!!」
『ラビ選手もテラスタルオーブを取り出し―――ってちょっちょっとラビ選手握り込み過ぎですオーブに罅!!罅入ってます!!?どういう握力で握り込んでるんですか!!?』
どんなに最善を尽くしたところでこの人には上をいかれてしまう……なんて理不尽、なんて―――……超え甲斐がある。忘れていた感覚が燃え上がって来る、旅をしていた頃にガラルで完全に尽きてしまったアレが再発した。
「俺は、俺はアンタに勝ちたい―――ガチグマ、その真実を見抜く瞳を持って、真実へと至る理想の道を見通せ!!!」
「ワギイアアアアッ!!!」
「染め上げろ、自らを、世界を……星々の煌のように、輝きを以て変革を成せ!!テラスタル!!」
「ワギィィイイアアアアッ……ワギイイイイイアアアアアアアアッ!!!」
『ガチグマのテラスタルは―――な、何とノーマル!!地面ではありません、ノーマルです!!』
『ここで、兄さんがタイプ上の有利を捨てた!?』
地面にすべきだと内から囁くそれを捻じ伏せた事への後悔は幾らでも積み重ねてきた、だがこの場合においてはこれが正しいのだと確信がある。これが自分の革新!!
「行くぞガチグマ、俺達の力をサトシに見つけろ!!!素早く―――瞑想、力強く―――ハイパーボイスゥ!!」
「ワアギアアアアアアアッ!!!!」
「来るぞピカチュウ!!素早く―――悪巧み!!鋭利に力強く―――雷だぁ!!!」
「ピイイイッガアアアヂュウウウウウウウッ!!!!」
真っ向からハイパーボイスと雷の激突、パワーは何方も負けず劣らずと言わんばかりにお互いが起爆剤となって大爆発を引き起こして爆炎が巻き起こる。その中を切り抜ける様に突撃してくるピカチュウにガチグマは吠える。
「アイアンテール!!」「舐めるなアームハンマー!!!」
「チュウウウピッカアアアッ!!!」「ワギアアアアアアッ!!!」
特殊ばかりがこのガチグマではないと言わんばかりの剛腕の一撃がアイアンテールへと向けられる、だがピカチュウは最高潮にまで加速状態での一撃、タイプ相性なんて知った事かと、真っ向からガチグマを吹き飛ばした。
「負けるなガチグマぁ!!素早く―――ムーンフォース!!力強く―――真空波!!」
「ワアギイイッアアアアアッ!!!」
「ピィッカアッ!!?ピイイカアアアアッ!!!?」
反撃だとムーンフォースと同時に放たれる真空波、真空波がまるでムーンフォースを牽引するかのように加速しながらもピカチュウを撃墜し地面に叩きつけた所でガチグマが走り込み、その身体を蹴り上げる。
「負けるなピカチュウ!!根性で鋭利に力強く―――10万ボルトォ!!」
「ヂュウウウウウウッ!!!!」
「ギアアアアアアア……!!!?」
遂に泥の装甲に罅が入り、それを貫通してガチグマ本体へと電撃が入った。既に泥遊びとしての機能を果たしておらずダメージの軽減すらない。互いに限界が近い、ならば―――この一撃に全てを掛ける!!
「これで!!」「次で!!」
「「決めるぞ!!!」」
「迅く―――テラバースト!!!猛々しく―――ブラッドムゥウウウウンッ!!!!」
「ワアアギアアアアアアッ!!!!」
雄叫びを上げながらもその額にある皆既月食を思わせる赤い月の模様、そこから光が溢れて天に赤い月が浮かび上がる。そこから溢れ出す赤い光とガチグマのテラスタルから溢れる光が融合していく。赤い月はまるで太陽のように、テラスタルは月のように輝いて一つになって行く。
「素早く―――電光石火!!そこから鋭利に力強く―――ボルテッカァァァァ!!!!」
「ピィィカァッ!!!ピカピカピカピカビカビカビカビアビガビガビガッ!!!!」
一瞬で超高速の領域へと足を踏み入れるピカチュウ、最早あっという間に到達する。それが接近しきる前にテラバーストとブラッドムーンの光が一つに融合していく。
「「いっけええええええええええっ!!!」」
「ビイイイガアアアアアアアアアッ!!!」「ワアアアギアアアアアアアッ!!!」
文字通りの閃光となったピカチュウと太陽と月を思わせる様に光を一気に打ち出すガチグマ、それが激突した時、艦が大きく揺れながらも天へと再び閃光が伸びていく。光は何処までもどこまでも高く舞い上がっていく、それは天空に住まうレックウザにも届く。
「グウウウオオオオオゥゥッ!!!」
それを目撃した漆黒のレックウザはそこに込められた思いに賞賛を送るように天に向けて破壊光線を祝砲のように放つ。互いの全てを出し切った末にそれに……終わりは来るのか、いや終わりは来た。光は徐々に勢いを失い、四散していった。そしてそこには互いに腕を延ばせば届きそうな距離にいるピカチュウとガチグマの姿がある。どうなった……何方が勝った……緊張の鼓動が木霊しそうな瞬間に―――
「……チャァァァァ……」「ワッギィィ……ァァァァギギアアアアッ!!!!」
決着がついた。
『ピカチュウ、戦闘不能!!ガチグマの勝ち!!サトシ選手、手持ちポケモン0!!BATTLE OVER!!よってこの試合、ラビ選手の勝利となります!!』
『ピリオドが、ピリオドが撃たれたぁぁぁぁぁ!!!!!互いの全てを出し尽くした末に勝利を収めたのは、なんとPWCSチャンピオンを下して決勝にコマを進めたのは今大会屈指のダークホース!!パルデア地方のラビ選手ぅぅぅぅ!!!!世界最強のピカチュウを破り、遂に、遂に決勝へと駒を進めたぁぁぁ!!!これによって決勝戦はレッド選手対ラビ選手という事になります!!!この試合は紛れもなくポケモンバトルの歴史に刻まれる事となるでしょう!!このバトルを見る事が出来て私は心から誇りに思います!!!』
『すげぇ……すげぇよ本当に……ハハッなんてすげぇ人なんだオレの兄貴は……!!』
「ピカピ……」
「有難うなピカチュウ、本当によくやってくれたよ。俺達もまだまだ修行が足りないな」
「ピカ、ピカチュ」
「そうだな、今度は俺達がリベンジをする番だな」
そんな視線を向けられるラビは未だに現実を受け入れられていないのか、それとも感激に身を震わせているのか呆然としていた。そして観客の声に気づいたのか、身体を引きずりながら戻って来たガチグマが笑いに応えるように漸く声を絞り出した。
「勝った、勝ったのか俺は……ハハハッ……」
「ワギッ……?」
「―――……ぃぃぃぃぃいいいいいいいよっしゃあああああああああああ!!!!」
ダイケンキはボールの中で笑った。何年振りに聞いた、ラビがバトルの勝利に歓喜する声だった。
という訳で……ラビが勝ちました。つまり、決勝戦は原点にして頂点に挑みます!!
いやぁこれも長くなりそうだ……その前にアンケートで募集してるドリームマッチ編をやるか、それとも3位決定戦のナンジャモ対サトシをやるかで悩みますなぁ。