『PWCSチャンピオン、サトシ選手敗れる!!』『今大会一のダークホースラビ選手、世界チャンピオンを打倒!!?』『破竹の快進撃を続けるラビ選手とは!?』『解説のラバイは弟!?その家族は!?』
そんな風に世間ではラビに関する事で大盛り上がりとなっている。それも当然だ、あのレジェンドチャンピオンマスターたるレッドを打倒したあのサトシを下しているのだから、こうなっても可笑しくはない。今、家の外はとんでもない数の報道陣でごった返している。本来はこういう使い方はしないのだが……フェンス代わりのバリアフィールドの色を変えて外から内部が見えないようにしている。と同時に警察にも話を通して見張りもお願いしている。そんな話題の男、ラビはというと……
「―――……疲れた……」
「ケェン……」
家の中で相棒と共に伸びていた。サトシのとのバトルは色んな意味でラビへの負担は大きかったのか、普通にへばっていた。と言ってもそれはバトルに出たメンバー全員が同一であり、皆かなりの疲労が残っており、身体を全力で休めている。
「それにしてもラビさんも一気に大人気ですね、羨ましい」
「メイちゃんが言ってもなんかいまいち説得力が無いよね」
「ユウリちゃんもね」
「「イエ~イ!!」」
会って二日だというのに、あっという間に仲良くなったユウリとメイ。メイはメイで女優としての仕事もあるのだが、難しいと言われていたフルスタントのアクション映画を一発撮りで成功させて監督に文句なしのお墨付きをもらって堂々とプライベートジェットでパルデアへとやって来て、応援団長が不在ながらも応援をしようとしていた応援団に入れて貰って応援をしていた。
「でも私的にはなんでラビさんのファンクラブ的なのが今まで出来てなかったのかが不思議です」
「そりゃおめぇ普段の行いってのが関係してるだろ、こいつは配信で結構滅茶苦茶な事やってるし歯に衣着せずにズバズバ物事をぶっ放す、見てる側としては爽快だが応援はしづらい部類の人間だからな。結果が伴うまでファンはデカい声を上げられなかったのさ」
「準決勝まで進んでたのに?」
「そういうもんなんだよ」
キバナ曰く、ラビは何方かと言えば推し難い部類の配信者。発信している情報やその実力などは明確に際立つ物こそあるが、如何せん万人受けはしない。良くも悪くも万人受けする物が人気になるのが世の常。そしてラビはやっている事もとんでもないのでラビを公然と好きだとかは言い辛さがあったのである。
「あれだけ実力を示していたのに可笑しな話ね」
「その辺りもよくある話だ、バトルの世界だとどんな強い奴でもあっさり負ける時は負けちまう。戦ってる側は必死でも見てる側にそれを理解する能力が無きゃ、運勝ちだとか言う奴は出るし、言う奴の声のデカさとかで状況も引っ繰り返る」
「流石に詳しいわね、流石ダンデさんに勝てなかったキバナだこと」
「言うなよ、照れるじゃねぇか」
「褒めてないわよ」
レビとしては自慢の兄の強さがサトシを倒さなければ世間に認められなかった事がいまいち納得できない。PWCSランクバトルでも、ガラルトーナメントでも結果を残しているじゃないか。どれだけ節穴なんだと叫んでやりたいぐらいだ……しかもこうして家を包囲されるという大迷惑行為までして来る。一度冷凍してやろうかと思う位にはムカつく。
「だけどまあ、ラビ、お前も騒がれるようになっちまったな」
「覚悟はしてたが此処までとはな……はぁ……兎に角もう駄目だ……」
「ケエエン……」
サトシとのバトルはラビの持てる限りの技術を全開の気力でぶん回した結果の産物、メガシンカの負担も中々に辛い……暴走メガシンカ産ではない筈なのに……此処まで気力が持っていかれるとは思いもしなかった。
「……一先ず、今回のバトルでの緊急整備も踏まえて戦闘準備期間が出来た。それまで……俺は存分に休んで英気を養わせて貰う……にしても今回は……辛勝、だな……負けてたのは、俺だ……」
そう言いながらもダイケンキとともに再び瞳を閉じた、ラビの言いたい事はサトシが新規メンバーを加えたパーティ編成をしなければ負けていたのは自分だったという事。シンオウの時のように、その気になりさえすれば他地方を全て総合したドリームパーティを組む事だって出来る。それをされたら確実に負けていた……運が良かった、としか言いようがない勝利だが、勝ちは勝ちだ。
「アイリスから聞いたけどよ、イクハって奴がラビについて知った顔でそんな事を言ってたらしいんだが……サザレ、イクハって知ってるか?」
「うん知ってる……ラビの昔の旅仲間だよ、ラビ自身はかなりいい印象を持っていないんだろうけど……」
自分はそこまでラビの意図を察する事は出来ない、辛勝というのも心の何処かでミスを悔いていたり、間違いがあれば惨敗していたから言っている物だと思っていたが……
「なんかちょっと複雑だなぁ……」
一瞬だけ、彼女の方がお似合いなのかな。なんて思ってしまった馬鹿な自分がいる。気を付けないと、ラビに聞かれたら怒られる。
「ナンジャモちゃん3位決定戦とか大丈夫なの?」
「大丈夫な訳ないじゃん~……なんでサトシ氏と戦わないといけないんだよ~……もうボクが4位でいいよ~……立派だよ戦績としては~」