「お久しぶりですねお二人共、まさか此処で会うとは、思いもしませんでした」
「えっラビさん!?何やってるんですか!?」
「林檎の収穫体験をしてその帰りです、ここの蜜入り林檎は絶品ですよ。パルデアでも食べたいですねぇ……」
「あ、それならHPから林檎の通販あります」
「それは良い事を聞きました」
アオイとハルトからすれば思わぬ再会だった。エリアゼロの一件以降、何かと忙しかったり、オモダカからジムの視察を頼まれたりで会う機会がなかったラビと林間学校先であるキタカミの里で会う事になるなんて……しかも大量の林檎を抱えながら、林檎を頬張っている姿を見る事になるなんて思わなかった。
「お二人は如何したんですかってああそうか、スグリさんが言っていたオレンジアカデミーの生徒さんをお迎えしての林間学校ですね?」
「あっはい、林間学校でパルデアから飛行機とバスを乗り継いで……」
「それで、バス移動で気分の悪くなった子が出たから公民館の人に事情を説明しに来たら、なんかバトルしないと町に入れないって女の子にバトルを挑まれて、勝ったところですかね」
「姉ちゃんだ……」
二人から話を聞いて間違いなく姉だ……と零すスグリは溜息をついてしまった。まあ最近のゼイユは大分マシになっている、らしい。ラビが近くにいる影響か女らしくなったというか悪童と言われる事も減ってきていると弟のスグリは語っている。
「まあ兎も角、此処はとてもいい所ですよ。私は暫く此処に滞在してますけど楽しく過ごさせて貰ってます」
「おや、もしかして其処にいるのは―――」
その言葉でこの里に対する興味が増していく中で弾んだ声が聞こえてきた。ウェーブがかった金のショートヘアにタイトなパンツスーツを着込んだ凛々しい麗人がラビの姿を見て出した声だった。それを聞いてラビはうげぇっ……と言いたげな声を出した。
「そうだやっぱりラビ!!まさかこうして君と会えるなんて、如何して此処にいるのかな?」
「そりゃこっちの台詞……ってそうでした、ブルベリ学園とオレンジアカデミーの合同林間学校でしたか……まさか貴方が引率だったとは……スグリさんに確認しておくべきでした……不覚、実に不覚だ……」
「ちょっと辛辣じゃない、元担任に酷い言い草ね」
『た、担任?』
思わずハルト、アオイ、スグリが声を揃えてしまった。それを聞いて麗人、ブライアは機嫌良さそうに話した。
「ええ、スグリには話した事はなかったかな?ブルベリ学園で飛び級で進級して卒業した生徒がいたという話を」
「あっある、えっそれじゃあラビさんが!?」
「そう、彼こそブルベリ学園始まって以来の天才や秀才とも言われたトレーナーだよ」
「……昔の話ですよ」
ラビはイッシュ地方の出身、元々旅に出る事に反対だった両親は条件を出した。それはブルベリ学園を卒業する事だった、それによって卒業するまではイッシュ地方から離れさせない予定だったのだが……ラビは家に居たくなかった事と早く旅に出たかった為に飛び級をして僅か2年で卒業、そのまま旅へと出たのであった。
「あっという間に駆けあがっていく君には本当に驚きの連続だったよ、何せレンタルポケモントーナメントではぶっちぎりの1位で残存ポケモン数もトップだったものね」
「ええっ!!?あのトーナメントで!!?」
思わずスグリが声を上げてしまった、アオイとハルトはえっ何どういう事?と言わんばかりの顔をしている。ラビはマジでやめてくれ……と顔を伏せている。
「え、えっと……初めましてオレンジアカデミーのアオイです」
「アオイの弟のハルトです。林間学校で来ました」
「あっえっと、その……ス、スグリ、です」
「それでレンタルポケモントーナメントって?」
「え、えっとうちの学校だとバトル学の一環でトーナメントがあるんだけどその中で一番難しいのがレンタルポケモン、つまり自分の手持ちじゃないポケモンをその場で選んでバトルするって方式なんだ……」
詰まる所、バトルファクトリーなどで行われていたレンタルバトルを授業の一環としてやっていたのだが、これが極めて高難易度として知られていた。何せ自分のポケモンではないのでその場でどんな技を覚えているのかを把握しなければいけないしポケモンの個性も把握しなければいけない。
「えっそれって滅茶苦茶―――面白そう」
「そう難しい……えっ?」
「いやだって面白そうじゃね?自分のポケモンじゃないから色んなポケモンを見れるし、新しく手札を引いてそこから戦略を練るとか……凄い面白そう」
「そ、そうかな……そうかも……?」
言われればそうかもしれないと少し戸惑い気味のスグリ、まあバトル大好きなこの二人ならばそう言うだろうなぁとラビは思うが、そこへ脳内ネモが私もやりたい!!と叫んできた。
「最終的に42連勝、この記録は未だに破られていないよ」
「リーフブレードの急所勝ちですから何とも言えませんけどね……今思うとあの時の戦術は穴だらけ過ぎて黒歴史です」
「わ、わやじゃ……やっぱり、ラビさんは凄い……」
スグリからの視線が益々輝きを増してきてなんだか居た堪れなくなってきた、がそこにアオイとハルトの視線も追加発注されてしまった。もう本気で勘弁してほしい、本当に当時は若かった上に両親から少しでも距離を取りたかったんだ、夜な夜な喘ぎ声が聞こえてくる家から。寮生活に入っても幻聴で聞こえてくるのだからトラウマになっていたんだと思う。
「そうだラビ、OBなんだから林間学校に参加しないかい?きっと皆喜ぶわ」
「老害扱いされるに一票です、まあ気が向いたら参加しますよ」
ブルベリ学園は最近新設された学校?
……ほらあれだよ、うん、あれだ。という事でお願いします。