週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ?:厄災とろくでなしと

「まあギンガ団は本当についででね、本当は、元々の目的があるんだよ」

「どうせロクでもねぇ事だろ」

「そうに決まってますよ」

「ああ、四災の封印をしに来たんだ」

「―――……今、なんつった?」

 

スガの本当の目的を聞いた途端、ラビの蟀谷に青筋が浮かんだ。それを見た周囲は思わず言葉を飲んだ、滅多な事では怒らない、怒ったとしてもそれが程度が知れている筈の物なのに……この人、ラビが本気でキレている。

 

「そう怒らないでね、それは元々って言っただろう?」

「……」

「ラビ、君が持っているチオンジェン、あれこそがパルデアに眠る災厄の一柱。以前パルデアに来た時に調査をしてね……その封印が何れ解けると私は理解していた、そしてその時期こそが―――今日だったんだよ」

 

以前所用でパルデアへと訪れた際に四災について調査を行った結果、その封印が何れ解ける事をスガは突き止めた。そしてそれは恐らく今日であった筈だった、が、何らかの要因によってそれは早まり、ラビがそれを感じ取って弟妹達とそれを捕獲した。それさえなければスガはこの手に四災を収める、最低でも封印するつもりで来ていた。

 

「何の要因までかは分からないが……復活が早まったようだね、君が捕獲してくれたようで何よりだ。あのポケモン達は力が強すぎるからね、力を持ち過ぎている。故に人から遠ざけるか封じておくべきだと私は思っている」

 

その言葉にキバナやナンジャモ、そしてオニオンは否定する言葉を口に出来なかった。パオジアン、ディンルー、イーユイ。あのポケモン達が持っているのはチオンジェンにも引けを取らない程のとんでもない力。人間が手にすればどんな事に使われるのか、それに不安を抱くのは無理もない……。

 

「一つ聞いておくよ、ラビ君はチオンジェンが暴走した時どうするつもりかな?」

「止める、それだけだ」

「それだけとはよくも言えるな、土壌の力を吸い上げて不毛の地にする存在相手に。言い換えれば生命力その物を吸収する貪欲の化身、それをどうするつもりだ」

「どうするつもりはない、あいつは俺の家族だ。それ以上口を開くなら―――殺すぞ」

「出来もしない癖に強い言葉を使うなよ、見た目以上に幼く見えるぞ」

 

一触即発の空間が出来上がっている、真っ向から煽るスガにそれに対してブチギレ寸前のラビ。カルネはアンシャを抱き上げつつもいつでも避難できるような態勢に入っている。そんな中で突然、スガは花が咲いたような笑顔を浮かべた。

 

「アハハハハッ冗談だよラビ、私は君に四災の一角たるあのポケモンを本気で引き受ける覚悟があるかを問いたかっただけさ。素直な事を言うとね、Gメン本部からもチオンジェンと四災に対する対応を決めかねていてね、既にトレーナーがいるならばそのトレーナーに一任すべきという意見と一介のトレーナーには荷が重いと此方で引き受けるべきという意見で二分されている。だが、話を聞く限り、四災は君の弟妹達の手持ちになっているようだ、なら安心だ。何せ君の弟妹だからね」

 

心からそう思っていますと言わんばかりの笑いは、寧ろ軽薄さを増幅させているようにも感じられる。アンシャは母の胸の中で思わず強く母の服を掴んでしまった。

 

「わ、分からないのです……あの人、スガさんが、何なのか、分からないのです……」

「私もよ、アンシャ……」

 

カルネは女優という職業上、人の演技や数多くの人間を見て来た。演技にのめり込んで自らを見失って役に没頭する者、役その物に徹する者、役と自らを同一化する者と様々な者を見た。カルネの場合は役を理解し自らがそれに成りきりつつも自らを確立しているが……スガの場合はそれが見えない。

 

「(このスガって人……本性が何枚もあるような感じがするわ。平然と他者を騙すのも本音だし、他者を救うのも本音、スガという人間の中に何十人という全く別の側面の人間(スガ)がいる……アンシャが分からないのも無理ないわ)」

 

アンシャは直感的に本質を捉える力がある、それはポケモンとの接し方で理解出来る。だがそれでアンシャが感じ取ったのは無数のスガ。確かに理解出来なくもなる。

 

「……ンでギンガ団は何しに此処に来たんだ」

「決まってるだろう、君を狙ってるのさラビ」

 

その言葉に思わず空気が冷たくなった気がした。

 

「君の家の庭に棲むポケモンの希少性、戦闘能力の高さ、それらはポケモンマフィアやそれらに準ずる者たちにとっては垂涎の的だ。それらを潰す為に、私が来た」

 

まあ既にハンターが大挙して襲い掛かって来たのだからそこに悪の組織の残党が加わったとしても別段驚けないのだが……というのが素直なラビの反応だった。

 

「私としても彼らの苦しむ顔が見たいから此処にいる、まあぶっちゃけるとPWCSは楽しみなイベントの一つだからね、それが邪魔されるとか堪ったもんじゃないから」

「……それ、信じられると思ってるんですかスガさん」

 

とラシーマが疑惑の目線を向けると一気にスガの瞳から色が消え、冷徹な眼光となってラシーマを射抜いた。

 

「弟子風情が偉ぶるな。私の楽しみは何よりも優先される、そういう事だ……んじゃラビ君、試合楽しみにしてるからね、あっお茶御馳走様。これお土産のエンジュシティ名物だから、決勝戦頑張ってね」

 

とだけ言い残してそそくさとスガは出て行ってしまった。あとに残されたお土産のエンジュ名物が凄まじく異物となり、存在感を放っている……そんな中で漸く起きて来たサザレは欠伸をしながらやって来た。

 

「ふわぁぁぁ……あれ、皆どうしたのなんかシリアスな顔して……」

「いや、悪意の嵐が……」

「???」

 

 

「まあ実際は私が意図的に封印が早く解けるようにしてたんだけどね、レホール先生から研究のためと称して杭の場所を教えて貰っておいてよかったなぁ~良い事をしたなぁ~これで四災も幸せに暮らせるだろうしな~……さてと……友人の新婚生活が脅かされないように―――ギンガ団にはここで壊滅して貰うとしようか、なぁゲンガー」

「ゲンガァァァ……」

 

その日の夜、パルデア地方の北2番エリアの海沿いで不思議なファッションをした無数の人達が、苦しみながらも眠り続けているというニュースが流れ、ラビたちはスガの行いだ……と直感するのであった。

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