週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ:開幕、3位決定戦。

「あ~あ……遂に来ちまったよ」

「それ、どっちかというと俺の台詞じゃね?」

 

控室で溜息交じりにボールを転がしているナンジャモの口から出た台詞に、それは自分のだと主張するラビ。だが当人は自分がこれからする事よりも、後からやるべき事の方がマシだと言っていたじゃないかと思う。

 

「ボクも伝説のポケモンとか欲しいなぁ……いや無理難題言ってるのは分かるけどさ、ポケモントレーナーの端くれとしては憧れちゃうじゃん、ラビ氏~電気タイプの伝説のポケモン紹介してよ~きっとバズるよ~」

「持ってもないのに紹介するのってどうなんだ?」

「紹介自体は出来るんだ……」

 

これから行われるのはPWCS本選トーナメント3位決定戦、ナンジャモ対サトシというカードで、当人は勝てる訳が無いと言いつつも確りとメンバーを固めてきている辺り確りとしているトレーナーである。

 

「因みに電気タイプの伝説とかってどんなのがいるのお兄ちゃん」

「サンダー、ライコウ、ボルトロス、ゼクロム、カプ・コケコ、ゼラオラ、レジエレキ、この辺りだな」

「割といたよ」

「狙い目としてはレジエレキあたりか?レジドラゴをゲットしたキバナいるし可能性としては一番高いだろうな」

「ああそう言えばゲットする時、なんかぴょんぴょこ跳ねてる奴がいたけどあいつか?」

「いやなんでラビ氏それ教えてくれない訳!?」

「教えた所で本選に間に合わないと思ったから……」

「ぐぬぅっ……」

 

実際問題、キバナがレジドラゴをシロナ戦で運用出来たのはレジドラゴが基本的に特性込みのドラゴンタイプでガンガン押していくタイプのポケモンだからこそ。その一方でレジエレキは超スピード特化型ではあるが、本当にスピード特化な上に立ち回りも中々にテクニカルな物を要求してくるので本選にそれが間に合うかと言われたら本当に微妙なのである。

 

スピード特化型はトレーナーがそのスピードに対応出来るようになるまでに時間が掛かる、幾らサーフテールのライチュウでスピードに慣れているとしても、そのポケモンに合った戦術をそのスピードに合った指示出しが出来るかは全く別の話。応用自体は出来るだろうが……それでも難しい。

 

「ぐぬぅっ……でも話を聞いて益々レジエレキに興味がわいてきたなぁ~……」

「何だったら案内してやるが?オレ様とユウリがガイドしてやるよ」

「PWCS後に本格的に検討したいなぁ……まあそれもこれも、まずはサトシさんとのバトルに勝ってからにしないとねぇ……」

「勝つって……ナンジャモちゃん、サトシさんに勝つ見込みあるの?」

「あると思ってる?」

 

虚勢に決まってるじゃない、と肩を竦めながら言うナンジャモだがその瞳には明確な闘志の炎が灯っているのを皆は見ている。引き気味にバトルへと向かおうとしている者の顔などではない。

 

「どうせやるなら胸張って、笑顔でバトルしないとさ……だって全力のチャンピオンとバトル出来るなんて滅多にない機会なんだからさ―――せっかくなら3位入賞してやりたいし」

「そりゃそうだな、思いっきりやってこいナモ公。オレ様とレビのあれこれに華添えてくれ」

「余計な事言わないでいいのよ!!?」

 

ドムッ……という中々に生々しくも重い音が響くのだが、ゲフゥ……とキバナとワザとらしい声が聞こえて来る。キバナの腹筋は六つに割れているので残念ながらレビ程度のパワーの一撃では彼の腹筋を割る事は出来ないのだ。

 

「ンで結局どういう風にバトルするんだ?」

「そうだね~……考え得る限りの全てを片っ端からぶつけてみる作戦!!」

「それはある種唯のごり押しなのでは……???」

「嫌だってもうその位しかないと思って……ぶっちゃけ、サトシさんってどんな作戦展開しても破って来る気しかしなくてさ、だったら破られたら次の手、また次の手ってやっていった方がまだ効果的かなぁ……って思って」

「……ナモ公、ぶっちゃけそれは俺もありだと思う」

「マジでお兄ちゃん!?」

 

サトシの恐ろしさはその対応力とアドリブの強さ、だとしたら次から次へと作戦をぶち込んでいくのは別段間違っている訳ではない。それはそれで相手のポケモンだけではなくサトシ自身にも疲労を与える事が出来る。トレーナーの疲労を狙う事だって立派な戦術の一つなのだ、これを否定するなら天候操作系のワザでポケモンへの指示が伝達しにくい事だって否定するも同じ。

 

「だけど問題はあの人相手にそのペースを維持可能か否かって事だ。あの人の戦術、というかバトルスタイルは基本的に相手のペースを自分のペースで飲み込む的なスタイルだ。それ相手にやり続けられるか否か……」

「う~ん流石にきついかもね……」

「まあ無茶言うなって感じだよな」

「レベ君がキスしてくれたら頑張れるかもね」

「そこでボク!!?」

「はい皆いったん外出ましょうね~若いお二人だけにしてあげましょうね~」

 

一斉に外へと出ていく面々にレベは連携が良過ぎて仕込んでんじゃないのかと疑いたくなった。実際は毎度イチャつくからどうせやるだろうと思われていただけなのだが……真正面に自分を見据えて来るナンジャモにレベは戸惑いながらも咳払いをした。

 

「……君の魔法を、頂戴?」

「……魔法どころか僕を上げますよ」

 

そして二人は僅かな時間だけ、互いの愛を一つにした。そして小指と小指を約束と共に重ねて囁き合う。

 

「全力で、楽しんできてください」

「うん、行ってくるね」

 

 

「さあ、バトルしようよサトシさん!!」

「望む所だ!!バトルしようぜ!!!」

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