週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイキタカミ:マスクフェスティバル

「ったくスグ!!アンタ自分がどんだけ危ないことしてたか分かってるの!!?」

「大丈夫だったじゃん、それにラビさんだって傍に居たしそう言う意味でも万全だった」

「そう言う事を言いたいんじゃなくて!!あ~もう手ぇ出すよ!!」

「何でぇ……?」

 

不満げな声を漏らすスグリと青筋を浮かべながらも必死に弟を説得するかのような怒り方をするゼイユという構図を林檎を食べながら見つめるラビ。最近林檎ばっかり食べてないかな、と思いつつもコライドンには丸ごと、ミライドンには皮を剥いたものをあげる。

 

「ラビさん皮むき上手いですね」

「昔取った杵柄、という奴ですよ。ブルベリ学園の時も自炊しましたからねぇ……」

「えっ食堂あるんじゃないんですか?」

「いやあるにはあったんですけど、量は多いし味付けも濃いし脂っこい上に野菜はないしあったとしても揚げたポテトだったりで……入学して数日で嫌になったんですよ」

「「うわぁ……」」

 

それを聞いて特にアオイはペパーと一緒に料理に挑戦したり、作って貰う事もあるし、母の料理は栄養バランスを考えた美味しい物だった故かアオイとハルトは同情した。ハルトもハルトで最近はペパーに料理を教えて貰ってボタンの食生活改善を図っているとの事、何気にハルトの趣味は家事だった事もあってボタンの部屋は以前とは別世界へと変貌を遂げているらしい、ニビジムのジムリーダーかお前は、と言いたくなるラビがそこにはいた。

 

「あっやっぱりラビさんの頃の学食も、あれなんですか?」

「私の頃、というと今の学園も……?」

「ああっ……戻りたくない……確かに授業が実習メインだからカロリーは消費しやすいけどそれでも量が可笑しいのよ量がぁ!!プリンとドーナツがあるのにジェリービーンズって何!?野菜が全くないのよ野菜が!!あったとしてもラーメンに乗ってるもやしとかキャベツぐらいじゃない!!?」

「フライドポテトにケチャップ掛かってるから野菜でOK、みたいなこと言ってる人がいてビックリしたよ俺……」

 

これは、自分が居た頃よりも酷くなっているのでは……いや自分の頃も相当に酷かったけど。故にLPで食材を仕入れるように先生に交渉し、駄目だと言われたら成績とバトルの腕でねじ伏せたのも自分としては若気の至りだったと思っていたが、栄養バランス的には最適解だったのでは……?と思い始めて来た。

 

「ゼイユ、悪い事言わないからオレンジアカデミーに来ない?ウチの食堂はサンドイッチがメインではあるけど野菜とかしっかりあるよ?なんだったらアカデミーの外に食べに行く事だって出来るしパエリアとか色んな料理が街で楽しめるよ?」

「スグリマジでこっちに来た方が良い気がする、先生も良い人ばっかりだし授業も楽しいぞ。校長先生だって優しいし、何だったらナンジャモさんの配信に出る位には凄いノリが良い人だぞ」

 

「ラ、ラビ!!ゼイユとスグリからオレンジアカデミーのパンフレットやらが欲しいと言われたんだけど!!?なんかいいかも、とか転校してみようかな、とか言ってたけど何を言ったんだ!?」

「単純にブルベリ学園の環境がダメ過ぎるだけです。私の頃から進歩がまるでないみたいですね」

 

と真剣に心配された二人からの勧誘を受けて、大真面目に転校を検討し始める姉弟と大慌てな引率の元担任がそこにいた。

 

「う~ん……マジで一回オレンジアカデミー行ってみたいわね……」

「俺も」

 

と、キタカミの里で行われるオモテ祭りへと向かう寸前までその話は続いていたのであった。そして子供達はお爺ちゃんお婆ちゃんが出してくれた甚平へと着替えて祭りへと繰り出していくのであった。

 

「ゼイユさんのがともっこ、スグリさんのが鬼様のお面ですね」

「ええそうよ、私のはともっこ様の。村の有難~い存在のね」

 

と自慢げに胸を張るゼイユだが、スグリはくすくすと笑った。

 

「鬼様の方がカッコいいよ、姉ちゃん分かってない」

「ハァッ!?私の方が分かってるっつうの!!弟の癖に生意気!!」

「弟関係ないべ、俺は鬼様が好きなだけ」

 

と鼻を鳴らしながらそっぽを向くスグリ、少し見ない間に弟が大きくなっている気がして嬉しいような生意気な気がしてイラつく両方があるゼイユにハルトとアオイは笑う。

 

「それでは皆さん、お祭りを楽しみましょうか。そうだ是非これを」

 

そう言ってラビは懐からポチ袋を取り出して手渡した、一同が中身を見てみるとそこには1万円が入っていた。

 

「わ、わやじゃぁ!?」

「お、お金じゃん!!?」

「ええお金です。折角のお祭りなんですから楽しまないと損ですよ、ゼイユさんとスグリさんには此処に来てからお世話になってますのでそのお礼を含めて、アオイさんとハルトさんには先行投資という事で、ねっ♪」

 

ちょっと茶目っ気たっぷりにウィンクをするラビ、まさか過ぎる臨時収入に一同は喜ぶのだがゼイユは少しだけ頬を赤くしながらもハッとなりながらも大声を張り上げた。

 

「そ、それなら全力でお祭りを楽しむしかないっしょ~!!行くよ直ぐ~!!!」

 

と駆け出していった。

 

「今、俺の名前呼んだのかな……?それとも直ぐに行くって事?」

「どっちもだったりして」

「それはそれで面白くないな」

 

そんな子供達の賑やかな声に惹かれて自分も祭りの中へと足を踏み入れていく、サザレも先に来ているらしいが……如何やら写真を撮っているらしい音が聞こえてくるので後で合流する事にしよう。

 

「この林檎飴美味し~!!ペパーにも食べさせてあげたいなぁ~……」

「ボタンは、人が多いから嫌がるかなぁ……?」

 

「あっ外した!!?くっそ~おじさんもう一回!!」

「あいよってうおっ!!?」

「スナイパーハルト、此処にあり……」

「わ、わやじゃ……一番大きいイーブイぬいぐるみ、倒した……!?」

「ど、如何やったのよ私出来た試しないのよ!?」

 

「ぐぬぬぬっ……こ、この型抜き難しすぎない……!?」

「いやそれ一番簡単なホエルコだぞアオイ……」

「おおっスグリさん上手いですね」

「スグってば手先は器用だよねぇ」

「姉ちゃん、下」

「何よ、ってあああああああっやっちゃったぁぁぁぁ!!!??」

 

キタカミの里のオモテ祭りでどんちゃん騒ぎをする子供達を尻目にラビは林檎飴を二つ確保しながら静かな所を求めて歩いていた。祭りの喧騒も嫌いではないが、その騒がしさを静かな場所で楽しむのも好きなのだ。神社の裏手辺りへと来てサザレに連絡をしようと思った時の事だった―――彼女を見た。

 

「~♪」

 

緑色の勇ましくも美しいお面を被り、半纏のようなものを羽織っているような自分の背丈の半分程の彼女を。しまったと内心思う一方で彼女も此方を見つけた、少し戸惑っているようにも見える、まるで親とはぐれた子供のような狼狽え方に、ラビは無視する事なんて出来なかった。彼女の目の高さに合わせるようにその場に座り込んで笑う。

 

「ぽにっ?」

「こんばんは、素敵なお面ですね。貴方もお祭りに?」

「ぽにおっ!!」

 

不思議な声で話すその子は喜んでいるようだった、それはこの雰囲気と仮面の事を素敵だと言ってくれた事への感謝である事が分かる。そしてラビは持っていた林檎飴を一つ差し出した。

 

「ならもっと楽しみましょう、さあどうぞ」

「ぽに……?」

 

林檎飴を受け取るが、如何する物なのか、どういう物なのか不思議そうに見ている。そして実践するように齧ってみせる。すると真似るようにその子も林檎飴を齧るようにお面の内側へと持って行った。

 

「……っ!!ぽにぽにっ!!」

「美味しいですか?」

「ぽに~!!」

「それは良かった」

 

「「ラビさ~ん!!」」

 

と笑いかけているとそこへ両手にかき氷やら綿飴やらを抱えたアオイとハルト、そしてスグリがやって来た。思わずラビの後ろに隠れてしまうが、ラビは大丈夫ですよ、と声を掛けた。

 

「いっぱい買ってきたから一緒に食べましょうよ!!」

「ラビさんから貰ったお金で大豪遊だぜ!!」

「あれ、ラビさんの後ろに……?」

 

スグリはラビの背後にいるそれが気になった、そして彼女もそっと背後から出てそれを見た。

 

「わ、わやじゃ!!鬼様さ、鬼様のお面!!凄いカッコいい!!」

「―――ぽにっ?」

 

スグリが付けている仮面と不思議な子が付けている仮面は酷く似ている、スグリの物よりも煌びやかな印象こそ受けるがかなり似ている。

 

「ラビさんこの子は?」

「折角だから君も一緒に食べようぜ!!」

「ぽに!!」

 

誘いを受けてその子は嬉しそうに跳ねた、心からの喜びが分かって皆が笑顔になった。

 

「此処でお友達になったんですよ。えっと……そう言えばお名前は?」

 

とその子が名前を言おうとするように声を上げようとした時―――

 

「あ~もうそんな所にいたぁ~!!何でこんな所にいる訳!?」

 

大きな声と共にゼイユがやって来た。彼女の手にも焼きそばなどのお祭りの定番があるのできっと皆で食べる為に買ってきたのだろう、がその声に驚いたのかその子は山へと続く階段を逃げるように駆けあがっていった。

 

「あっ鬼様さ!!」

「えっ鬼?お~いそこの子、夜の山は危ないぞ~!!」

 

とゼイユがそちらを見れば、階段の上にその子がいる。ゼイユは夜の山は危ないからこっちにおいでと親切心を出すのだがその子は更に後ろへと跳んだ、がその拍子にうっかりお面が外れてしまった。そして彼女は素顔を隠すようにしながら山の奥へと駆けて行ってしまった。

 

「い、行っちゃった……」

「でも、何あの子……あんな子居たっけ……?」

「あの身のこなし、まさかポケモンか……?」

「まさか……本物の鬼様!!?」

 

驚きがその場を包み込む中でラビはそっと足元まで転がってきたお面を手に取った、綺麗な宝石が埋め込まれていた仮面。碧の仮面がその手にある。

 

「ごめんごめんラビ、夢中で写真撮ってたら遅れて―――って、何か、あったの……?」

「……ああ、少しだけ大きなことがな」

「……私の手伝いは可能な時でいいからね?」

「ああ、有難う」

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