「ウルトラガーディアンってサトシもやってた奴だろ?」
「そ、現在だと大人がちゃんと務めてる、何時までも子供に任せる訳にいかないってアローラの中から志願者が出てそれらで運営してるんだとさ。だからっていい歳した大人があんなピチスーは目に毒だったし着る方も辛いから俺は上からジャケット羽織ってたけどな」
旅を始めたのはブルベリ学園を飛び級して卒業してから2ヶ月後位……確か、12か13歳だったかな……それでアローラには数か月しか滞在しなかったと思うと自分の10年の旅という中で極めて短期間な滞在だったなぁと改めて思う、ぶっちゃけあいつの故郷だから何時までもいたら顔合わせする可能性があったから足早に出て行ったのだが……その結果がガラルで一気に萎えてしまったのだが……。
「まあそのサトシさんのお陰で今回ある意味本気を出せる環境が整いつつあるってのが笑えるな」
「それ、どういう事?」
「使うの自重してたんだよ、当人自体はバトルしたいって望んでたけど平穏自体を壊すからな……だけどもう遠慮しねぇ……流石にキュレムは出さんけどな」
「出したら艦がただじゃすまないもんね……」
今回、ラビはアーゴヨンが出てきたことによってメンバーの一部を変更した。先程外に出たのもそれを行う為、今家には誰もいないので留守番の皆に挨拶を含めて、メンバー変更をした。されたメンバーは少しだけ不服そうだったが、それ以上にラビに勝ってほしいのか素直に受け入れて晩御飯の増量で手を打ってくれた。
「にしてもよラビ、お前レッドに勝てるのか?」
「最初から負けるつもりで挑む馬鹿はいねぇだろ、このナモ公だって負ける事を覚悟してはいたけど、勝つつもりで挑んだのは確かだろ」
「いやまあバトル前には散々勝てる訳ねぇだろ的な事は言ったけど、諦め全開で行った訳でもないからねぇ……」
「つうか、サトシ相手するより余程楽ぞ、マジで。サトシが85で奇計奇策アドリブ全開なのに比べてあいつはMAXの100で真っ向勝負で叩き潰しに掛かって来るだけ、どっちが楽でしょうか」
「どっちも辛くねぇか……?でも強いて言えば……確かにレッドに、なる……のか?」
キバナの言葉にラビ以外の全員が同意しつつも、今回のサトシの作戦を思い浮かべて何方かと言ったらレッドの方が楽……?と微妙に思うのであった。
「それに一緒に旅した経験もあるからある程度は戦略は読める、と言ってもそれは相手も同じな訳だけど……まあ何とかなるだろ、問題なのは―――」
「コライドンね」
伝説枠なだけあってコライドンのスペックは尋常ではない、それがレッドの下で強くなったというのはシロナ戦で十分に把握した。ドラゴンと格闘タイプはフェアリーに弱いという側面こそあるが、特性による強化と炎技も油断ならない、というかコライドンに至ってはフレアドライブでごり押しした方が色々と強いというのもあるし……。
「いやぶっちゃけコライドンはそこまで警戒してない」
『えっ!!?』
「いやまあ油断はならんけど、あいつはフェアリーで何とかするって方針で一致してるし……一番の問題はカビンゴだよ」
「カビゴンでしょラビ氏……ってあ~そうか、あのカビゴンかぁ……」
ナンジャモが思い出すようにカビゴンとのバトルを想起する、超重量級でありながらも技量も十分すぎる程に確保されているあの重戦車。自らの技量だけで体重分を拳に乗せて攻撃を上げて来るので極めて厄介、しかもノーマルタイプなので格闘でないと急所は付けない。ピカチュウ以上に厄介なのがあのカビゴン、だったのだが……
「あいつへの対抗策も既に立ててある、だからまあ……何とかなる部類ではある。その一方でレッドは俺が何を出して来るかを考察しないといけない、あれだけのポケモンの中から自分のポケモンにどれが有利で何を出して来るかを、だからあいつは多分分かり易く最高戦力をぶっこんで来ると思う。だから確実にカビゴンとピカチュウ、後リザードン辺りは確定だな」
「流石一緒に旅してただけはあるね……」
「それにしてもお兄ちゃん緊張とかしないの?仮にも相手は世界最強の一角なのよ?」
「えっレッド相手に?なんで?」
レッドの旅はサザレとの旅以上に楽しかった。サザレとの旅も良かったが、彼方は異性だった故にリードしたりするのも多かったので、単純にバカをやったり、全力でレッドを蹴っ飛ばしてツッコんだり、レッドに呆れたり呆れられたりをしていたことを踏まえるとレッドとの旅の方が楽しかったのは否定出来ない。だからか、レッドとバトルするという最初の頃は凄い緊張したりもしたが、今では唯の友人とのバトルとしか思えなくなっている自分がいるのである。レッドもその方が喜ぶし……。
「唯の友人とのバトルだろ、それの環境が世界一を競う場ってだけなだけだ。それだけじゃ緊張はせんよ」
「肝が据わってというか、胆力が凄いというか……」
「何と言うかラビ氏色々あり過ぎて感覚バグってない?」
「それは否定しないわ」
伝説のあれこれとか異空間とか、サトシのあれこれにも負けないのを体験しているのは自覚している。だからこそ度胸がついたとも言える。そんな事を思っているとアナウンスが入り、フィールドの点検と電装系のチェック完了の方が入る、いよいよ決勝戦だ。
「さてと……行こうか」
「あっ待ってラビ」
立ち上がったラビを呼び止めて服の乱れを直すサザレ、その光景に自分達を重ねて投影してナンジャモとレベ、ロルとオニオン、そして否定したいのにそんな想像をしてしまうレビと逆もありだな……と思うキバナがいた。
「これでよし……楽しんで来てね」
「応、行ってくるよ」
最後に口づけを交わしながらラビは控室を出てフィールドへと向かう。一歩、一歩踏みしめる度に湧き上がってくる歓喜にも似た高揚感に身を委ねながらもラビは―――遂にフィールドへと立った。そこには帽子を少し直しながらも口角を持ち上げている友人の姿がある。
『遂に決勝戦です、長かった、色んな意味で長かったPWCSがこのバトルを以て締めとなる。この決勝戦にコマを進めたトレーナー二人が今相対する。原点にして頂点という異名は伊達ではない、世界最強のトレーナーと言えばやはり彼の名前が真っ先に上がる、マサラタウン出身、レジェンドチャンピオンマスターレッド!!!このパルデア地方に腰を落ち着けながらも様々ポケモンの側面を、そのキャンパスに描き続けながらもポケモンを愛したからこそ此処にいる、イラストレーターラビ!!!何方が世界最強に相応しいかが、今決まる時が着ました!!!』
「勝負だラビ」「やろうかレッド」
長い言葉なんて不要、これだけで事足りる……次第に沈黙が艦を支配する中で鼓動がリズムを持ち始める、徐々にそれが盛り上がっていく。ボールを手に取り、掲げた時、遂にバトルの幕が切って落とされる……!!
『対戦ルールは6対6のフルバトルとなります!!各選手はメガシンカ、Zワザ、テラスタル、ダイマックスは一度ずつの使用が許可されます。ポケモンの交代は両者自由となります。それでは……レッド選手、ラビ選手。両者、最初のポケモンをフィールドへ!!』
勝負を 仕掛けてきた!!