「さあ待ち望んだ舞台だぞ、テメェの望みを存分に叶えちまえ、GO!!アーマーガア!!!」
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッ!!!!!」
ボールから飛び出した直後に瞳をカッと見開き、響くのような雄叫びが特設艦を超えて世界へと伝播するように轟いた。色違い故の燻銀の身体には無数に刻まれた傷跡、それらが証明するはこれまでの戦いの歴史、赤い瞳は血に飢えた獣のような輝きを宿し、叫びと共に広げた翼による風圧は一瞬でバトルフィールドを駆け巡り、観客席にまで届く。
「早い到着だな……それだけ、こっちを警戒してくれてるのか」
「フィィィィッ……!!!」
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」
「フィ、フィィィィィッ……!!」
レッドは早いアーマーガアの登場に僅かに驚いてしまった、それは同時に早期にエースクラスを引き出せた此方の強さの証明でもある。エーフィは負けじと威嚇するのだが、アーマーガアの覇気と血走った瞳に射抜くように見つめられると一瞬身体が硬直してしまった。涙目になりそうな自分を必死に抑えながらも威嚇し直すとアーマーガアは悪くない相手だと笑みを強めて笑う。
『こ、ここで出て来たぁぁぁぁ!!!ラビ選手が持つポケモンの中でもある意味屈指の知名度を誇る色違いのアーマーガア!!ガラル地方において、その圧倒的な強さと異常なまでのバトルへの意欲、例えその身をボロボロにされようとも何度も羽休めで体力を取り戻してはその度に羽ばたきの強さを増す驚異の存在!!イモータルレイブン、戦いの申し子、戦火のワタリガラス!!!様々な呼び名が付けられておりますが、最も浸透しておりますのが人呼んで、狂乱の鋼烏!!!僅か1シーズンでガラル地方を恐慌に陥れた存在であります!!!』
『なんか、こいつのせいで他のアーマーガアが風評被害に合って、一時期アーマーガアタクシーに乗るのを躊躇する人が爆増したとか……』
散々な言われようだ、ラビにとってアーマーガアは戦いに狂っている訳でもない、唯戦いが好きなだけだ、その度合いが狂っているだけで。ガラルではココガラの時から凄まじい力を持っていたが……そこから一気にレベルアップしてからカブのジムに挑むときにはアーマーガアになっていてそこでその異常性がガラル中に伝播した。
「アーマーガア、相手はブースター、シャワーズ、サンダース、ブラッキー、グレイシア、リーフィア、ニンフィアへと自在に姿を変えるエーフィだ、俺が許すから全力で潰してやれ、ガラル中に轟かせた狂乱の名は伊達じゃねぇって事を世界中にレッドへ見せつけろ、再びガラルを震えさせろ!!アーマーガア!!!」
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
既に知っているだろうが、それはあくまでで戦いを愉しむ程度の領域のアーマーガア、本当の意味でのアーマーガアが自分がいなければ成立しない。久し振りにスイッチを入れるとしよう……ラビとレイブン、一つになるとしよう。
『NEXT BATTLE エーフィ VS アーマーガア!!3、2、1……BATTLE START!!』
「エーフィ素早く―――悪巧み、力強く―――10万ボルト!!!」
「フィィィィッ―――シャアアァァァァッ!!!!」
『エーフィ今度はサンダースへと変身だぁぁ!!』
『ホントなんでもありだな……』
悪巧みからの10万ボルト、ある種の鉄板コンボを繰り出して来るのだが……
「……迅く―――光優先両壁、猛々しく―――高速移動!!」
その言葉の直後にアーマーガアは悪戯心かと言いたくなるような流れるような動作で壁を展開、二つの壁が展開されて技が当たりそうになるが、その瞬間に瞬間移動のような動きの鋭さを見せて回避して見せた。
「っ……!!エーフィ素早く―――悪巧み!!力強く―――電撃波!!」
「変化の隙を狙え、迅く―――ビルドアップ!!力強く―――ボディプレス!!!」
悪巧みから電撃波を放つ僅かな隙、この際にエーフィは再びサンダースへとチェンジをする。エーフィの変化速度は約0.5秒、だが変化直後に直ぐに技を放てない、それを早業でカバーしているのだが……だったら更なる初動の速さで潰してやればいいだけの話だ。
「叩き潰せ、アーマーガア!!!」
「ガアアアアアアアアアアアアッ!!!」
「シャアアアッ!!!??」
「完全に避けてこれかっ……!!」
ボディプレスの破壊力は通常のそれを遥かに凌駕している、回避した所でその爆風と破片から逃げられるわけでもなく
「迅く―――ビルドアップ!!鋭利に猛々しく―――ドリル嘴!!」
「させるな!!!素早く―――円らな瞳!!力強く―――10万ボルト!!!」
そもそもな話、瞬撃と重撃は、お前に勝つ為に業のクオリティを上げて行ったら行きついた境地なんだ。その為なら出し惜しみなんてしない。
円らな瞳を放たれるが、アーマーガアはそれに全く反応しない。瞳さえ見れば効果が現れるのだが生憎アーマーガアは高速回転中なので相手をそこまで細かく見ている余裕はない。相手の輪郭が辛うじて認識出来る程度なので円らの瞳も意味がない。10万ボルトも貫いてその身体に嘴が突き刺さって吹き飛ばされる。
「シャゥゥゥウウフィイイイイッ……!!!」
「頭を上げさせるな!!「素早く―――暴風!!」
ビルドアップで強化された攻撃力、それが翼を羽ばたかせる力にも及んで暴風は更に吹き荒れていく。早業にも拘らず技威力の低下が全く見られない、エーフィは必死に地面にしがみ付くようにして動きを完全に封じられていた。
「(これじゃあ力業影分身からの疑似Zワザも使えない……)エーフィ!素早く―――重力!!!」
「フィィィィイイイアアアア!!!」
正直、これはうまい手だと思った。アーマーガアの暴風の無力化を狙いつつも鳥ポケモンの機動力を一気に奪い去る良い手、アーマーガアを除いては。
「ガアアアアアアアアアアッガアアアアアアアアアアアッ!!!!」
「意味が、ない……!?」「フィイイッ!!?」
「うちの馬鹿を舐めるなよ、重力で機動力を封じる?とっくに経験積みだ、経験したら克服する、それが俺のアーマーガアだ!!迅く―――ビルドアップ!!!猛々しく―――図に乗りやがれ、つけあげれぇ!!!!!」
「ガアアアアアッガアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」
本当に重力の影響を受けているのかと言いたくなるようなスピードで羽ばたきながらも迫ってくるアーマーガア、重くなった重力は寧ろアーマーガアの体重を増加させ、質量を用いる攻撃の威力を跳ね上げるだけの材料となり果てた。それを理解したエーフィは咄嗟に重力解除の為に重力を真逆に仕掛けるのだが―――それが発動直後に急降下してきたアーマーガアが急激に角度を変え、斜めに腹へと突き刺さり、空を舞いフィールドに叩きつけられた。アーマーガアはその前に立ちながらも翼を広げ、自らの勝利を誇るように叫ぶ。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
『エーフィ、戦闘不能!!アーマーガアの勝ち!!!』
『これが、これがラビ選手のアーマーガアか、これが戦火のワタリガラスか!!これがイモータルレイブンか!!!これが、狂乱の鋼烏かぁぁぁ!!!!七変化のエーフィを真っ向から破ってみせましたぁぁ!!!サンダースの電撃をも意味をなさないこの凶鴉を止める事は出来るのかレッド選手!!』
『これが、1シーズンでガラルを恐怖のどん底に陥れたアーマーガア……知ってたはずなのになんて恐ろしいんだ……』
「エーフィ、有難う」
本当に感謝が尽きない、自分の判断ミスを挽回する為に重力を解除してくれている……後でブラッシングしてあげよう。しかし、業の上位が自分の対策だったとは……嬉しい事をしてくれる。ラビは本当に自分をアゲるのが上手い、グリーンやブルーとは違う、戦っていて本気で楽しい。
「……プテラ!!」
「アアアアアアアアッ!!!アアッ!?アアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」
「ガアアアアアッガアアアアアアアアアアガアアアアアアアアアアッ!!!!」
『プ、プテラ登場と同時に激しく叫んでアーマーガアを威嚇しております!!アーマーガアもそれに応えるが如く叫んでおります!!』
『なんかライバル関係でもあるのかこいつら……?』