ラビが選んだメガシンカ枠、残念ながらルカリオは未だにバトルの許可を出せる程に回復していない。回復していたとしてもそこからレッドとのバトルに投入出来るほどになるまでにはそれなりの時間が掛かる、なのでラビは他のメガシンカポケモンを決める事にした。候補としては様々なポケモンが名乗りを上げてくれた。
ラビの最初のメガシンカポケモンであるアブソル。暴走メガシンカから得られたメガストーンを使ってメガシンカを可能にしたペンドラー、エアームドなどなど……その中から採用されたのが、メガスターミーであった。レッドの最後の砦であるポケモンをリザードンとコライドンと想定した場合、その双方に有効打を見込める存在として抜擢された。尚、アブソルには嫉妬され、胸に顔を埋めながら軽く泣かれた。
「ヘアアアアアアアアアアッ!!!」
バトル開始の宣言と同時、開始の合図が出されたと時にメガスターミーは駆け出していた。駆け出したというよりも、地面を蹴った勢いで滑空していると言っても過言ではない。腕を横に広げた状態のまま飛び込んで来る。
「カビゴン素早く―――欠伸、力強く―――メガトンパンチ!!」
「素早く―――挑発!!力強く―――サイコカッター!!」
素早さで言えばメガスターミーの方が遥かに上、その身体に挑発が刻み込まれて欠伸が不発に終わる中でカビゴンは即座にメガトンパンチに切り替えていた。疲労とダメージ、気力の穴とカビゴンには不利な条件ばかりが揃っているのにも拘らず、腰を捻った完璧なメガトンパンチを繰り出したのだが、メガスターミーはメガトンパンチが直撃する寸前に身を引くとカウンターでサイコカッターを叩き込んだ。
「カンビィィィィィッ……!!!??」
『か、カビゴンが吹き飛ばされたぁぁ!!?なんというパワーだメガスターミー!!!?』
カウンター気味であったとはいえ、カビゴンの身体を易々と吹き飛ばす程の圧倒的なパワーにレッドですら言葉を失う。それもその筈、メガスターミーとなった事で特性は力持ちへと変化している。それによって圧倒的な攻撃力を手にする事が出来ている。
「更に―――利用させて貰うぞ、カビゴン!!素早く―――自己暗示!!力強く―――高速スピン!!!」
「しまった、そのワザをっ……!!」
「ヘアアアアアアアアアアアアッ……デュオッ!!ダアアアアアッシュッチッ!!!」
レッドですらその技の名前を聞いた時、顔から血の気が引いた。自己暗示、相手の能力変化を自分にも適応するというモノ。つまり―――カビゴンが得た腹太鼓や鈍い、蓄えるなどで上昇した能力変化を獲得した事になった……という事である。そしてその直後に繰り出される落ちた素早さを取り戻す為の高速スピン。腹太鼓のパワーを得ている為か、高速スピンで竜巻のような空気を纏いながら放たれる一撃、その破壊力を想像したレッドはカビゴンに全力で回避を指示。
「ヘアアアアアアアアアア!!!」
廻し蹴りのような一撃はカビゴンに当たらず空を切るが、その際に巻き起こった爆風は周囲に暴風じみた空気をぶつけた。本当に蹴りの威力かと思いたくなる。
「自己暗示、此処で使って来るか……」
「カビゴン対策その二がこいつだからな、マッシブーンを削るならば腹太鼓は確実にして来ると思ってたからな。そしてその腹太鼓を貰う……レッド、悪いがお前のやる事は読めてるんでな」
「……流石だなラビ」
『じ、自己暗示……昨今評価が上がりつつあるワザではありますが、此処で投入するとは……』
『腹太鼓だけに限りませんが、早業の出現によって高速で能力変化を起こせる事によって自己暗示の価値は上昇傾向にあります。自己暗示と言えど能力をコピーするのに時間は掛かりますが、それを早業でカバーする……本当に実戦的且つエゲツないタイミングだ……マッシブーンでZワザを使わなかったのはこの為か……カビゴンの腹太鼓を無駄にしない為に』
「いや、Zワザは切り札として温存したかっただけだ。マッシブーンでカビゴンZを打ち砕くつもりではいた……だが、対策ってのは何重にも重ねておくものだ。メインの作戦一つだけで世界最強を打ち崩せる程容易いとは思えない、だからこそ……遠慮も加減もしない、俺の全てを用いて―――お前を凌駕してみせる、レッド、これがその答えだ。スターミー!!迅く―――高速スピン!!猛々しく―――思念の頭突き!!!」
「ヘッアアアアアアアアアッダアアアアアアアッ!!!!」
先程よりもずっと早く回転するメガスターミー、その回転の勢いを全て使って放たれる思念の頭突きはカビゴンの回避前に眼前へと到達し、全力でその腹部を蹴りつけた。
「カァァッ……!!?」
カビゴンの体重は460キロ、レッドの場合は520キロにも及ぶ。そんなカビゴンの身体が浮き上がって空へと打ち上げられた。宙へと舞い上がったカビゴンの巨体、それが何度も回転しながらも地表へと叩きつけられる。重々しい音と共にカビゴンの声が響く先で……瞳を回して完全に動けなくなっているカビゴンがいた。
「カ、カンビィィィッ……」
『カビゴン、戦闘不能!!!スターミーの勝ち!!』
「ヘアアアアアアアアアッ!!ダァァッ!!シュワッチ、ゥゥァッ!!!」
『メガスターミー恐るべし!!そしてラビ選手恐るべし!!メガスターミーの素の状態でもその能力は破格と言っても過言ではありませんでしたのに、そこに更に自己暗示でパワーアップを遂げて更なる力を手にしてしまいました!!腹太鼓のパワーを手に入れてしまったこの謎のポケモンを打倒出来るのかレッド選手!!?これで2対3、レッド選手、残りポケモンは2体!!』
『謎のポケモンって聞くだけならなんか罵声なのか非難なのか分からないけど、マジで分類が謎のポケモンなのがまた……』
「カビゴンよくやった、本当によくやった」
カビゴンは本当によくやった、マッシブーンの時点で限界だった筈なのにあの状態のメガスターミーとやりあった、褒めてやりたいぐらいだ。しかし、腹太鼓のパワーを得たメガスターミー……あれに対抗するにはこいつしかない、こう思うとZワザを切ったのは軽率だったかもしれないとも思わなくはないが……言っている暇はない、こいつであのスターミーを落とす……!!
「行くぞ―――リザードン!!!」
「グオオオオオンヌッ!!!」
「そして……リザードン、極めろ、進化を……!!!」
「グオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」
リザードンを出した直後にレッドはメガリングを露にし、リザードンの持つメガストーンと共鳴を行った。相手がメガシンカならば此方もメガシンカで行く他無い……自分の持つ最強のメガシンカで勝ってみせる……!!
「来るぞスターミー、油断するなよ。今の状態のお前でも勝てるかどうかは分からねぇからな!!」
「ヘアアッ!!!」
「リザードン、行くぞっ!!」
「グオオオオオンッ!!!」