「バキュウウウウオオオオオオンッ!!!」
メガシンカを果たしたリザードンが至ったのは黒龍、即ちリザードンX。蒼炎を口から溢れ出させながらも此方を睨み付けるリザードンは一切メガスターミーに怯まずに貴様は俺が討ち取ると言わんばかりの覇気を纏っている。リザードンも状況を正確に理解している、レッドの様子、目の前のポケモンから感じられる気配やフィールドの状況から総合して敵の状態までも正確に理解する。
「……リザードン、頼むぞ」
「バキュォオンッ……!!!」
「スターミー、世界最強のリザードンだ、覚悟して挑め!!」
「ヘアッ!!!」
『NEXT BATTLE リザードン VS スターミー!!3、2、1……BATTLE START!!』
「バキュゥゥウオオオオオオッ!!!」
「ヘアアアアアアアッ!!!」
開始の合図と同時に両者がトレーナーの指示を聞くまでもなく飛び出して行った、指示を聞く気がないのではない、聞くまでもない程に理解しているのである。メガリザードンは全身から蒼い炎を滾らせながらもそれを纏って突撃するニトロチャージ、メガスターミーは同じように水を纏いながらのアクアブレイク。それらが激突する、タイプ相性から明らかにアクアブレイクの方が有利であるはずだが、リザードンは激突しながらも腕を引きながら身体を捻ってそれをいなした。回転しながらもスターミーの背後を取ってもう一撃を加えるが、即座に体勢を整えて攻撃を仕掛けて来る。
「ヘアアッ!!!ダアアアアアアアッ!!」
「キュウオオオオオオッ!!!」
超接近戦での殴り合い、思念の頭突きとドラゴンクローの競り合い。圧倒的なパワーのメガスターミーのそれをドラゴンクローを角度を付けて的確に受け流しながらも隙を逃さずに龍の爪を振る、メガスターミーもそれを易々と喰らう程のんびりしていない。互いの技量と勢いの全てが発揮される瞬間に一瞬の隙を見たのか角度を予測したのか、流し切れない所に全力の蹴りをかました。しかし、それを後方へと飛び退きながらも全身で受け流し切る。
「鋭利に―――火炎放射!!!」
「バキュアアアアアアアアアッ!!!!」
青白い熱線が放たれる、メガスターミーは回避する。蓄えるのそれも自己暗示で取り込んでいるが、無駄なダメージは受けないに限る、何故ならばレッドのメガリザードンの火炎放射は地面を溶解させた、あれがタイプ相性を無視、更に能力変化さえも無視したら……幾らメガスターミーと言えど大ダメージは逃れられない。
「素早く―――鬼火!!」
「バキュアアアアアアアアアアアアアアゥッ!!!!」
「アクアブレイクで弾け!!」
迫ってくる青い炎の玉、それを水を纏った拳や脚で弾くのだが――――弾き切った直後、全身を赤い光が覆った。
「ヘァッ……!?」
「やりやがったな……!?」
「お前もやった事だ」
「バキュゥゥゥッ」
『ラ、ラバイさんレッド選手は一体何を……』
『一種の攻撃詐欺、今レッドさんは早業で鬼火を出したと思った、だが実際は巧業で出した。兄もガラルのトーナメント戦でザシアン相手にやった奴ですよ』
『ああ、口に出した指示とは別のワザを出したあれですね!?』
巧業による鬼火、それで攻撃技による相殺自体を貫通、触れた時点で火傷にして来た。変化技に対する巧業、これも研究しなければだめだなと改めて思う一方でラビは想像以上に興奮している自分がいた。普通に考えれば腹太鼓に蓄えるそして鈍いを自己暗示でコピー、そこに高速スピンによる加速を取り入れたメガスターミーなんてあっという間に6タテされても可笑しくないような化物、自分だって相手にしたくないし、速攻で強制交代か能力変化リセットを試みる筈。それなのにレッドは真正面から、メガリザードンと共に戦っている。自分なら絶対にそんな選択肢は取れなかった筈だ、だからこそ自分はこの男、レッドを―――
「レッド、改めてお前を尊敬する。本当にお前は凄いな」
「???急に何、油断させようとしてる?」
「単なる感想だ、認めよう、お前は本当のバトルバカだ」
「……ラビ、それ褒めてる?」
「割と本気で褒めてる」
「じゃあ嬉しい」
だからこそこの男とのバトルは心の底から楽しいのだ、ポケモントレーナーならば一度はレッドの伝説には触れるのだ、そしてそんな男との本気のバトルには心が踊るものだ。
「スターミィィィッ!!!」
「ヘアァッ!!!」
思わず叫んでしまった、本当に、本当になんで―――こんな楽しいポケモンバトルから離れてしまったんだろうか!!!
「こっからが本当の始まりだ!!素早く―――アクアジェット!!力強く―――アクアブレイクゥッ!!!」
「負けるか!!素早く―――ニトロチャージ!!力強く―――ドラゴンクロー!!」
「ヘエエエアアアアアアアッ!!!」「バキュグオオオオオンッッ!!!」
真正面から衝突するかと思われた瞬間、リザードンは即座にコースを変更してアクアブレイクの軌道上から逸れた。だがアクアブレイクの進路上にそっとドラゴンクローを置いたのだ、それによってドラゴンクローはメガスターミーの身体を、メガスターミーのパワーとスピードで切り裂かせてしまった。
「ヘアアアッ……ヘアアアアアアアアアアアッ!!!!」
「自己再生か……通常よりも再生がずっと早い、メガシンカの影響かな……?」
「良い気合いだ、流石は自力で数日メガシンカ維持するバケモン」
「ヘアッ!?」
「ギャグよ~ギャグだってば~」
「面白い、ラビ、さあ続きをやろう」
「ああ……行くぞレッド!!!」
「来いよ、ラビ!!!」
「ヘアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」「バキュオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!」