『こ、このポケモンは……データなし、謎のポケモン!?PWCS公式データバンクにも該当例が全くありません!!なんなんだこのポケモンは……レッド選手、そしてラビ選手は知っているようですが……』
『マジで見た事がねぇぞ……俺も兄さんの書き溜めてた自作のポケモン図鑑ノートとか見てたけど、その中にも一切記述がなかったぞこいつ……』
テメェんな事してたのか……と内心は実家に残ってたあれこれを必ず回収して処分しようと思いながらも目の前に現れたポケモン、ミュウツーに頭が痛くなっていた。
「まさかミュウツーかよ……というか、何時ゲットしたんだ」
「……数年前、偶然会ってバトルしたんだけどロケット団に襲われた、その時にミュウツーを守る為にはこれが一番だと思った」
ミュウツーは人工的に生み出されたポケモン、ミュウの睫毛の化石から採取された遺伝子を基にして作られたポケモン。その力は圧倒的且つ人知を超えている、そんなミュウツーは現在では都市伝説に謳われるような謎のポケモンとして人々の間を流れているのだが、その力を狙う者も多い。その為にレッドは貰うだけもらったが使う事の無かったマスターボールでミュウツーをゲットした。
『ゲットされたと言っても、私は基本的にレッドとは別行動をしている。お前が知らなくても無理はない』
「まあ話せる内容でもないから当然か……未だに狙われるなら悪くない判断だし……しかしあのお前がレッドとねぇ……」
『お前ほどではないぞ、何故老けん。キュレムに老いを虚無にされたか』
「応喧嘩売ってんなら買うぞテメェ」
マスターボールはボール類の中でもセキュリティと物理的な強度という意味でも最強のボール、それでミュウツーをゲットする事は彼を守る事もなる。そんな経緯から二人はトレーナーとポケモンの関係を築いた。それ以前の二人を知っている身としては何とも言えない気分だ……ミュウツーというポケモン自体は数匹存在する、だがこのミュウツーは言うなれば逆襲の個体、それがレッドのポケモンになっている……ポケスペレッドみたくなってるなと思わざるを得ない。
「しかし、コライドンと思ってたのにまさかミュウツー……これはある種の騙し討ちでは?」
「必中だった?」
「違うそうじゃない」
取り敢えず、意識を切り替えなければならないのだが……最悪だ、コライドン想定でアシレーヌを連れて来たのにミュウツーとは……残念ながらアシレーヌにエスパータイプ相手に抜群を取れる技はない。救いなのは水とフェアリータイプが等倍なのと……
「きゅううううんっ……きゅううううんんぬっ!!!」
『随分とお転婆なアシレーヌだな』
「ラビのアシレーヌはそういうアシレーヌだから、かなり強い」
『成程』
アシレーヌ自身が極めてミュウツーとのバトルに乗り気になっている事位だろうか……相手はエスパータイプで直接拳を交わしてくれるような奴ではない。それでもアシレーヌはミュウツーから溢れ出すような波動を感じ取って極めてやる気になっているのは正直有難い。
「悪いアシレーヌ、思わぬ相手と戦わせる」
「きゅううんぬっ♪( ㅎvㅎ)」
あっはい、問題ないと……コライドンという極上の近接戦ポケモンとの肉弾戦をして貰うという名目でこのメンバーに入って貰ったのだが如何やらアシレーヌとしてはミュウツーが相手で問題ないと言わんばかりに目が輝いている。
『そ、それでは―――……NEXT BATTLE ミュウツー VS アシレーヌ!!3、2、1……BATTLE START!!』
「素早く―――瞑想!!力強く―――光優先で両壁!!」
「きゅうううんんっ……!!」
瞑想で特攻特防を高めながらも壁を確保する、力業で放つと単純に効果時間が伸びるだけではあるが、光の粘土などが無くてもいいと考えると破格の効果だろう。
「素早く―――瞑想、力強く―――サイコカッター」
『お転婆、どうするヌウウウンッ!!』
軽く腕を振るう、目の前に飛んできたゴミを払うような軽い動作、だがそれによって巻き起こったのは地面を爪痕を残す凄まじい斬撃。エルレイドの鋭さを追求したサイコカッターとも違う、単純にサイコパワーの出力が桁違い故の圧倒的な暴力。
「ハッ流石ミュウツーってか?だけどなぁ、そんなもん殴り飛ばせ!!!」
「きゅうううんんうぁ!!!」
拳を握るように鰭を構え、空気を殴りつけるかのように振り抜いた一撃はサイコカッターを拉げさせながらも宙を舞いながら炸裂した。それを見たミュウツーは素直に感嘆の息を漏らし、口角を持ち上げながら愉快そうに笑った。
『面白いな、剛毅な物だ……ならば、その領域で、私も応じてやろう。構わんだろうレッド』
「それも一興。楽しそう」
『決まりだ』
ミュウツーは何もない空間に手を翳す、サイコパワーを収束し凝縮させると目に見えぬ念も形を得始めていく。理を得て物質化する、それはミュウツー程の大きさのスプーン状の獲物。それをまるで槍のように回しながらも地面に突き立てる。
『と、突然スプーンのようなものが出現しました!!?ミュウツー、一体どのような事が出来るのでしょうか!?サイコカッターや瞑想を扱うという所から恐らくエスパータイプではないかと思いますが……』
『何とも言えない……』
スプーンを獲物のようにしながらも駆け出して来るミュウツー、そのまま一閃。アシレーヌはそれを紙一重で回避するのだが……その一閃は地面に深々と鋭い跡を残している。サイコカッターよりも遥かに威力がある、益々ポケスペミュウツーかよ……と言いたくなったラビがそんな言葉を飲み込んだのは……
「きゅううううんぬっ!!!きゅんきゅんきゅ~んぬ!!!」
『矢張り此方の方が好みか、ならば応じてやろう』
「ホントお前平常運転だな」
近接戦をしてくれることに喜びを感じて益々やる気になっているアシレーヌであった。まあエスパータイプの本領である中遠距離で戦われるよりも楽ではあるが……。
「しょうがない、こうなったらとことんやるかアシレーヌ!!」
「きゅんぬっ!!」
「来いよラビ」
『受けてたとう、友よ』