「パァアゴッ!!テラァァパアアゴッ!!テラァァッ♪」
ラビの家のリビング、留守番を任されているメンバーの中でTVを見ながらも興奮気味にその映像を食い入るように見ているテラパゴス。そんな興奮するテラパゴスと一緒にラビを応援する面々を他所にキッチンで調理を続けるサーナイトはお菓子とお茶を淹れて皆に配りながらも、膝の上にテラパゴスを置きながらラビを応援する。
「サナァ」
「パアアゴッ♪」
「ケエエエエエエンキャアアアア!!!」
『ヌウウウウウンンッ!!!』
アシガタナを構えたダイケンキとスプーンを槍のように構えながら激突するミュウツー、一撃一撃がフィールドを揺るがし、響かせる程の衝撃波を生み出している。
「三段突き!!!」
「ケエエンンッ!!!」
「全力で引け!!」
『ヌゥッ!!!」
一歩目の踏み込みで既に懐に入る、二歩目で更に踏み込みながら刀を押し込み、此処まで回避出来たが此処でミュウツーはテレポートを発動し、レッドの目の前まで引いたのだが……直後に襲い掛かったのはダイケンキの角による全力の突きであった。
「……ワザですらない技量」
『まともに食らうのは危険だな……』
互いにテラスタルの能力を発現させているのに発揮していない、それは切り札ではあるがタイミングを計っている。特にラビとダイケンキはそれが顕著だ、ステラテラスタルはワザのタイプ一つ一つに補正が掛かるがそれは一度きりで、それ以降は効力を失う。ダイケンキが覚えているワザのタイプを考慮すればチャンスは少なくない、が出し惜しみも厳禁……全てはタイミングに掛かる。
「いや、此処は踏み込む!!力強く―――影分身!!!迅く―――秘剣・千重波!!!」
「来るかっ……!!」
「ケエエエエエエエエエエエエエエエエンッ!!!!」
ステラが輝くを放つ、刹那、一瞬にして視界を埋め尽くすほどのダイケンキ達が出現する。そしてその分身全てがヒスイカイキを行い、その手にアシガタナを構えていた。
「サイコウェーブ!!!」
『消し、とべぇ!!!』
スプーンを投げながらも地面を殴るように手を置く、スプーンは拘束で回転し始めその形が崩れていくとアシレーヌの時に見せた巨大な竜巻が生み出されていく。幾ら数がいようともこの規模のそれは意味を成さんだろう。
「「「「「ケエエエンキヤアアアア!!!」」」」」
だがそれに怯む事も躊躇する事もなく放たれる秘剣・千重波、瞬撃の影響もあってか、分身が振るうそれは初速が猛烈に上がり、斬撃を飛ばして竜巻へと対抗する。そこにステラテラスの威力強化も加わると一時的に竜巻を押し留める事が可能になる。だがあくまで一時的な物にしか過ぎない。
「「「「「キッイイイイイイッ……!!!」」」」」
竜巻の風圧に堪え切れずに次々と飲み込まれていく分身達、内部に入ると分身のHPはあっという間に削られ、維持出来ずに消えていく。検証の結果、力業影分身の持つ体力は通常身代わりの半分程度というのが分かっているので当然の成り行きだろう。
「さあ、次は―――ミュウツー!!」
『何っ!?正気か!!?』
「ケエエエエンキァァァアアアア!!!」
『な、何とダイケンキ、竜巻の風圧を利用しています!!?アクアジェットで竜巻を利用して加速しています!!?』
『しょ、正気じゃねぇぞ!!?一歩間違えたら飲み込まれるじゃねぇか!!?』
「正気にては大業ならず、狂気の沙汰程面白い!!地獄を見れば、運命は入れ替わる!!叩き込め、秘剣・燕返しぃ!!!」
「ケエエエエンッキアアアアアダ!!!」
アクアジェットを解除しながらもその加速でミュウツーの真下へと潜り込みながら、そのまま燕返しの要領でアシガタナを切り上げる。本当の秘剣・燕返しと比べたら唯のワザの燕返しの応用に過ぎないが、それでも十分すぎる程の威力を発揮する。
「(駄目だ避けられない!!)力強く―――サイコカッター!!!」
『私もそれに、答えよう友よ!!』
燕返しはその性質上回避が出来ない不可避の一撃、それを内包した斬撃は回避を捨てて真っ向から撃ち合うしかない。腕にサイコパワーの刃を形成して迎え撃つ。互いの斬撃がぶつかり合うと、特性の差もあるのかミュウツーが吹き飛ばされるが、咄嗟にテレポートで激突を避けてダメージを無くすのだが……同時に竜巻も消え去った。
『レッド、済まないお前に全てを任せると言っておきながら……私は―――』
「いや同感だ、俺は―――」
「『こいつに全てをぶつけたくなったぁ!!!』」
溢れ出していくサイコパワーに特設艦が揺れる、そんな中でラビとダイケンキは笑いを抑え切れなかった。
「言うまでもないな、相棒―――勝つぞ!!!」
「ケエエエエエエエンッ!!!!」「「「ケエエンッ!!!」」」
竜巻から生き残った三体の分身、もう影分身をしてる暇を与えてはくれないだろう、だったらこれは有効に使う必要がある。
「分身Aは嫌な音!!Bはエアスラッシュ!!Cはアクアカッター!!」
「ケエエエンッ!!!」「「キアアアアアアッ!!!」」
爆音を背にしながらも突撃する二体の分身、嫌な音に不快感を覚えるがそれでも身動ぎしないミュウツーは再び得物を握り締めながらも構えを取った。
「10万ボルトを乗せろ!!」
『分かった!!』
10万ボルトを発動させる事でスプーンに電撃を纏わせ、振るってエアスラッシュを粉砕しながらもアクアカッターで斬り掛かって来る分身を両断する、ミュウツーは迷う事もなく再びスプーンを分身へと突き立てる。何故ならばその奥からエアスラッシュから繋げて燕返しを狙っていた分身Bが迫っていたのだ。
『何度も受ければ学習はする』
「ああそうかい!!!だったら、発揮してみせなぁ!!!」「ケエエエエンッ!!!」
『貴様ぁ!!!』
分身が消えうせながらも、その奥では本体のダイケンキが分身のダイケンキ二体が踏み台となりつつもアシガタナで弾き飛ばすように放たれる。先程と同じ、だがスピードが違う、威力が違う、覚悟が違う。だが再び迎え撃ってくれると構えを取った時、ダイケンキは瞬撃でアクアカッターを放った。本体が故にステラテラスの影響を受けて威力が増大したそれをミュウツーは受け止めようとする、大丈夫だ十分に弾ける威力……!!
「ダメだ受けるな!!!」
『何、そうか!!?』
「シェルッブレエエエエエエドッ!!!!」
「ケエエエエエエエエエエエエンッ!!!」
放たれた水の斬撃はアクアカッター、それが先に到達するであろうからそれを受け止めようとするがその奥から一気に迫ってくるダイケンキがシェルブレードを構えている。このままでは本命のシェルブレードをまともに受ける!!
『おおおっおおおおおっ!!!ならば、そのまま!!!』
アクアカッターを受け流しながらもそれを自らの得物へと纏わせている、相手の力を自分の力に変えながらの対応には驚かされる。だがもうぶちかますしかない所まで来ているのも事実!!
「無茶するが相棒、これが俺達の最後の切り札だ!!!行くぞ、Zワザ!!!」
「ケンッ!?っケエエエエンッ!!!」
「この状態でか!!?」
確かに十分な準備をしている訳でもない、だがここしかない、ここで切る他ないだろう!!!だが本当に自分は成長出来ないな、ポケモンに負担を掛ける戦術しか出来ないらしい。
「ケエエエエエエエエエエエエエエエエエンッ!!!」
「相棒、ああそうかい、だったらテメェも覚悟を決めろ!!!」
昔を思い出す、オーバに負けた時の自傷覚悟のカウンター戦術を。技量不足を補う為の危険な賭けばかりをして来た自分達は何処まで行っても成長しないらしい。だけど我らがイッシュ地方の四天王のギーマが言っている台詞がある。
「分の悪い賭けは嫌いじゃない。人とポケモンが、心を一つにして放つ究極の一たるそのワザ―――Zワザ!!研ぎ澄ませ、荒れ狂え……母なる海の怒りを、此処に現出する!!」
「ケエエエエンッ―――……!!」
Zクリスタルからダイケンキへと伝播する光、ミュウツーへとあと数秒で到達する、その時に追いついた。シェルブレードにそれが全て注ぎ込まれる。収束したアシガタナは煌びやかな輝きを放っており、それをダイケンキは―――一気に抜刀してミュウツーへと振り下ろす。
「ケエエエエエエエエエエエエエエエエンッ!!!」
『うおおおおおおおおおおおおっ!!!』
互いの一撃がそれぞれの身体へと命中する、互いに避けずに受けた。相殺する事も考えずに、唯々身体へと振られた。その果てに両者の間に静寂が流れる、とても、静かな時間が流れる。
「「……」」
呼吸一つ、鼓動一つですら木霊しそうな程に静まり返った時間が感覚を狂わせる。一体どれ程の時間が経ったのか、数秒か、数分か、それとも数時間なのかも分からない程に……そして―――倒れ込む音が、聞こえてきた。
『ぐぅっ……すまん、レッド……』
「……有難う、ミュウツー」
倒れ込んだミュウツー、それを見てレッドは小さく呟いた。その瞬間に、コールが響いた。
『ミュウツー、戦闘不能!!ダイケンキの勝ち!!レッド選手、手持ちポケモン0!!BATTLE OVER!!よってこの試合、ラビ選手の勝利となります!!』
『き、きっ……決まったぁぁぁぁぁぁ!!!!誰がこの展開を予想できたか、激しいバトルの末に、PWCS、ポケモンワールドチャンピオンシップの頂点に辿り着いたのは今大会屈指のダークホース!!!パルデア地方のイラストレーターラビ選手だぁぁぁぁあああ!!!!この試合は紛れもなくポケモンバトルの歴史に刻まれる事となるでしょう!!伝説の名こそこのバトルに相応しい!!ああっこのバトルを見れて本当に良かったぁぁぁぁ!!!!』
実況の言葉は全てを物語り、それに同意するかのように爆発するような拍手と喝采が巻き起こった。特設艦が揺れる程の轟音の中でゆっくりとダイケンキはラビの元へと戻り、ラビもそれを出迎えたのだが、共に思わずその場にへたり込んでしまった。
「……疲れたなぁ……あいつとのバトルは楽しいけど、やっぱ疲れるな……」
「ケェンッ……」
思わずダイケンキもラビの傍で蹲ってしまった、彼らに勝利の余韻はない。唯々勝ったという実感と共にやって来た疲労に溜息を吐いてしまう。
「……夕飯、どうしようか」
「ケェェンキ、ダアアアッキイイイダ」
「はいはい豪勢にはしてやるよ……」
世界最強の称号を手に入れた、そんな事への興味はなく、唯々……勝利の後に疲労に身を委ねつつも二人は……僅かに口角を持ち上げながらも拳をぶつけ合った。
という訳で、ラビさん優勝で御座います!!PWCSもこれにて終わり―――と言いたいけどドリームマッチも残っております。そっちはそっちでまだ活動報告でリクエスト募集中ですのでこのバトルみたい!!というのをお待ちしております。
さて……この小説どうする?まだ続ける?いや多分続けようと思えば幾らでも続けられる類だけどさ……ラビの過去編をやるか、それともサトシのキタカミの里編をやるか、いやぁ流石ポケモン幾らでも出来ますなぁ!!