「なぁ本気でやんの?」
「なんでお前はそんなにテンション低いんだよ!?どんだけ俺とバトルしたくねぇんだ、最早これ虐めの領域に入る位にお前やる気ねぇじゃねぇか!!?」
「だってやる気ねぇもん」
「おいシロナこいつに一言言ってやってくれ!!」
「どうでもいいからラビ君資料読ませて頂戴よ」
「だったら俺の代わりにバトルしてくれます?」
「えっそんなんでいいの?」
「ザケンなシロナ!!?」
まあそんなネタは放置しておいて……いよいよ自分達の番が回って来たのだが、ラビ的にはそこまでの意欲という物は存在しない、バトルの熱自体は再点火しているが、だからと言ってオーバとのバトルでそれが灯るという訳でもないのだ。
「つうかよ、なんでそんなにバトルしたい訳?お前が勝ってるんだからそれでいいじゃん」
「うるせぇ!!とにかくやるぞ!!」
「あ~あ……面倒だねぇ……」
「ラビさん頑張るのです~!!」
「やれやれ、幼女の期待を断ると親御さんが怖いからねぇ……しょうがない、気合入れるか。ンじゃ次もあるから3対3でいいな」
「お、応……しゃ、釈然としねぇ……」
だって、アンシャの背後で実にいい笑顔のカルネさんが笑っているのだもん。これは断ったら確実にネチネチと色んな事を言われるに違いない。
「ミクリさんに負けたお前が、俺に勝つつもりか?」
「勝つね、ああ出来るとも」
「―――上等だ、全力で叩き潰してやる……オオオオダイイイイイル!!!」
「ダアアアアアアアイルァ!!!」
ラビの声に応えるように池から飛び出しながらも着地したのはオーダイル、相手がオーバだと理解すると低い唸り声を上げながらも突進の予備動作をするかのように前傾姿勢の4足歩行へと移行する。それを見てオーバは思わず昔を思い出す、チャンピオンリーグでのバトルで繰り出して来たオーダイルはこの姿勢を取って攻撃を仕掛けてきた。
「ならこっちは、行くぜブーバアアアアンッ!!!!」
「バアアアアンッ!!!」
オーバが繰り出すのはブーバーン、奇しくもあの時と同じ対面である。ブーバーンもオーダイルに気づくと笑みを浮かべながらも両手を前へと構え、何時でも炎を発射出来るようにした。
「両者、宜しいですね?それではバトル、開始!!」
さり気無く審判に入ったシロナが開始の合図を出すとその瞬間にオーダイルは一気に地面を蹴った。後ろ足で蹴った地面は爆裂でもしたのかと言いたくなるような土煙を上げ、それに対してブーバーンは素早く両手から地面を焼き払う獄炎を放った。地面を溶かす程の超高温のそれは例え水タイプであっても大きなダメージを避けられない程。
「ォォオオオオウダァァアアア!!!」
だがオーダイルは爆発的なまでの勢いのまま、アクアジェットを発動させており身体を保護していた。そしてそのまま熱湯のような熱い水を纏ったままでブーバーンの顔面に拳を叩き込んだ。
「ブゥゥバァッ……!?」
「油断すんなブーバーン!!あの時とはレベルがちげぇんだ!!だがそれはテメェもだって事を思い知らせろ!!」
「バアアアアンバアアア!!!」
揺さぶられる身体を立て直しながらも拳を構えたブーバーンは炎と同時に電撃を纏わせ、そのままお返しだと言わんばかりに振り被った。しかしオーダイルは再び拳を繰り出した、狙いは―――ブーバーンの二の腕部分。的確に放たれた拳はめり込むようにヒット、そのままブーバーンは苦悶の表情を浮かべながらも拳が止まるのだが……即座に拳の電撃を暴走させてそこいらじゅうに放電した。
「ダアァァィッ……!?」
「ブゥゥゥウウウ……!!!」
「俺達がただで転ぶと思ってたなら、大間違いだぜおい」
「やってくれるな……」
お互いにダメージを抱える結果となっているが、オーダイルの闘気は一切衰えていない。寧ろ、味な真似をしてくれたブーバーンに対して怒りに近いそれで満ちており、ブーバーンも嘗て戦った相手の実力を過小評価した自分への怒りを抱えている。
「さあ上げていくぞ。素早く―――龍の舞!!力強く―――アクアブレイクゥッ!!!」
「やるぞブーバーン!!!素早く―――日本晴れ!!鋭利に力強く―――火炎放射ぁ!!!」
突如として一気に強くなる日差し、それによってアクアブレイクの勢いが弱まる中でブーバーンは笑みを強めながらも両手をまるで連装砲のように構え、日本晴れで強化された炎の砲弾を発射してオーダイルを吹き飛ばした。しかも巧業を複合する事でタイプ相性の半減すら無視して技威力を引き上げている。だがオーバよ……お前はやってはいけない事をやってしまったぞ。
「……」
「オーダイルさん静かになっちゃったのです」
突然黙り込んだオーダイルに危機感と恐怖を感じたように後方へと飛び退いたブーバーン、一瞬、本気で首を喰いちぎられるような幻覚を見せられた。純粋無垢、純度100%の容赦なき殺気が対戦相手、いや獲物であるブーバーンにのみ差し向けられたのだ。そして首を上げたオーダイルの瞳はギラつき、オーダイルは歯茎を剥き出しにしながらも唸りを上げ、天へと向けて巨大な咆哮を上げた。まるで巨竜、レックウザが上げるかのようなとんでもない大きさの咆哮にアンシャとアイリスは耳を塞いでしまった。
「オーバ、オーダイルの傷をつけたのは炎タイプのポケモンだ。タイプ相性さえも貫通するような強力な炎を発する炎タイプ、その一撃に比類する程の攻撃を浴びせ掛けた、こいつにとってそれは永遠の目標だ」
「褒め言葉、だとして受け取るぜ」
「いや受け取るのは良いんだけどさ……こいつ、元気性難四天王一角ぞ。その意味分かる?こっからは俺も本気で制御しようと努力はするけど……」
「えっ……って事は……」
「グルイイオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」
雄叫びを上げたオーダイル、その瞳は理性と本能の狭間でギリギリ理性側に立っているような状態。何かあれば即座に暴走するような状態になってブーバーンも思わず喉を鳴らしてしまった。
「大分落ち着いた筈の奴がマジギレする、まあオーバ、これもお前の招いた結果だからさ、ファイトだよ♪」
「いや軽く言うな軽く!!?」
「という訳で、レッツゴーオーダイル!!!」
「ダアアアアアアアアアアアッ!!!」
「く、来るぞ構えろブーバーン!!」
「ブ、ブッバァアアッ!!」