「ブッブウウッ!!」
「いや油断すんな……正面!!!」
土煙で視界が潰されたと思った直後に回り込むでもなければ死角に入り込むでもなく、真正面からの正面突破だと言わんばかりにアクアブレイクを発動させたままパンチを繰り出された。それによって打ち出された拳は弾丸のように迫ってくるが、ブーバーンは咄嗟に両手から火炎放射を打ち出し、それを推進力にして回避する。
「続けろ!!」
「ガアアアアアアッ!!!」
「お前も続けろ!?つうかんな事出来たの知らねぇぞ俺!!?」
「ブウウバアアアアッ!!!?(俺だって初めてやったわ!!?)」
困惑するブーバーンを他所に連続で水を飛ばすオーダイル、これは中々に悪くない。腕力で水を飛ばしてるから恐らく物理技扱いだろうし……取り敢えず打水って呼ぼうってラビが思っている中でブーバーンは両手から発射する炎を推進力にして何とか回避を行っている。と言ってもブーバーンも初めての試み且つダメ元だったらしく、推進力はかなりムラがあるのか唐突に炎の勢いが弱かったり、出過ぎて地面に自分を叩きつけてしまっている。それでも回避としては十分な程に成立しているのだから流石と言わざるを得ない。
「オーダイル!!」
「ダイルゥッ!!?」
「試してみるか……?」
ラビはその指にメガリングを装着した、それにいきり立っていたオーダイルの意識が一気に沈静化する。遂に使っていいのか、それを……とオーダイルの瞳には期待の光が灯る。オーダイルの背鰭の一部に埋め込まれるように付けられているアクセサリー、そこにメガストーンが付随している。
「どうせだ、オーバに採点を頼もうじゃねぇか」
「お、おいお前まさか……」
「その、まさかだ」
直後、メガリングとメガストーンが激しく輝き、光が繋がっていく。オーダイルはその光の中で巨大な咆哮を上げる。
「あらゆる激流を超える力を、暴龍となり過去を凌駕する力を今此処に!!超克せよメガシンカ!!」
「オオオオダアアアアアアアッ!!!!」
メガシンカの繭が爆ぜ、姿を現すメガオーダイル。メガシンカした、筈なのだがその姿はそこまで変化しているようには見えない。大きく変化しているのは背鰭、メガシンカのエネルギーをそこに集中させたと言わんばかりの巨大化加減にオーバは警戒心を抱く。
「気を抜くなよ今まで以上のパワーアップだ!!素早く―――腹太鼓!!力強く―――ニトロチャージ!!!」
メガシンカへの対抗策、それは腹太鼓だった。素早く腹太鼓を済ませるとブーバーンは炎で加速しながらも自らも炎に包まれて突撃する。腹太鼓の影響で炎の勢いも増しており、身体を包む炎も異様なほどに巨大なニトロチャージと化した。そのまま突撃し、強烈な一撃を加えるのだが―――
「何っ!!?」
オーダイルは巨大化とした鰭を頭に被るようにしながら防御体勢を取っていた。鰭はニトロチャージの一撃を受けても全くビクともしておらず、頭を上げると同時に跳ね上がった鰭によってブーバーンは弾かれてしまった。
「嘘だろ腹太鼓だぞ!!?」
「オーバ、お前オーダイルの配信見てなかったみたいだな」
「いや見てたけど……」
「オーバさん!!メガオーダイルはドラゴンタイプがいるって、ラビさんが終わり間際に言ってたのです!!」
「―――……あああああっ!!?」
「思い出した所で遅い!!素早く―――アクアジェット!!!力強く―――切り裂く!!!」
「オオオオオオウダアアアアアリァ!!!」
全身から水を溢れ出させながらもそのままの勢いで落下してくるオーダイル、落下の勢いとアクアジェットの加速が相まってとんでもないスピード。それをニトロチャージで得たスピードと早くも物にし始めた炎による高速移動で回避する、だがオーダイルも次々に切り裂くを繰り出して捉えようとしてくる。
「ブウウウッ!!!」
「ダイルッ……!!」
「おまっマジか!!?」
オーバは興奮気味に驚いた、何故ならばそこにはブーバーンが両手の炎を推進力にして空に浮かび上がった姿があった。ブーバーンは炎を打ち出して遠距離の相手を攻撃する事が得意、だがこれは革新的だ、空を飛行出来るこの術はそのままブーバーンの炎を強化する事で攻撃力と機動力を同時に高める事に繋がる。
「すげぇぞブーバーン!!!」
「ブウウッ―――ブゥバァッ……」
「お、おいどうし……なんじゃこりゃ……!?」
突如、浮遊しているブーバーンの動きが止まり、冷や汗をかき始めた。何故かと思いその視線の先を追いかけるのだが……そこにはオーダイルの切り裂くによって抉ったかのように刻まれた爪痕が生々しく残っていた。だが問題なのはその威力、明らかに切り裂くの威力を超えている。ノーマルタイプであるはずの切り裂くでこれだけの威力を出すにはタイプ一致でなければ説明がつかない程だ。まるで―――
「ドラゴンタイプが放つドラゴンクロー並ね」
「うん、私もそう思った……!!」
シロナとアイリスが揃った意見を唱えた、それを聞いたオーバはこの二人が言うのであればドラゴンタイプのそれに匹敵するのかと思う、だが同時にある可能性を、抱いた。
「―――メガオーダイル、まさか水ドラゴンタイプな上に、スキン系の特性か!?」
「当たりだ。メガオーダイルの特性はドラゴンスキン!!!ノーマルタイプ技をドラゴンタイプへと変化させ、強化する。つまり、こいつが仮に暴れるを放てば……激流状態のハイドロカノン以上の火力が出る!!」
「マジかよ……!!?」
「試してみろよ、素早く―――アクアジェット!!力強く―――メガトンキックゥッ!!!」
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオイルァァァ!!!」
尻尾で地面を思いっきり殴りつけるとそのままアクアジェットで更に高度を稼ぎ、ブーバーンの上を取る。そしてオーダイルは腕を前へと出すとそのまま鰭を再び被った。メガシンカによって腕にも新しく生えた棘を合わせると……そこに現れたのは巨大なワニノコの頭部だった、そのまま回転しながらも猛烈な勢いでメガトンキックをブーバーンへと向けて放つ。
「素早く―――鬼火!!鋭利に力強く―――フレアドライブァ!!!」
「ブウウウバァアアアアアアアアンッ!!!」
片手で姿勢制御を行いながらも鬼火を放ち、その直後に両手で構えを取って火炎放射を放つブーバーン。そのまま全身に炎を纏うという中々に器用な事をしながらも鬼火を巻き込んで爆発させる事で威力を増強している、そこに巧業を合わせる事で対抗しようというのだろう。両者の一撃が激突し、腹太鼓の影響もあってブーバーンが押し込むかと思えたが……
「オオオオダアアアアアアアッ!!!!」
オーダイルの咆哮と共に水の勢いが増すとフレアドライブを一気に押し込みながらもブーバーンを捉え、地面へと落下、そのまま大爆発を引き起こした。その爆煙から弾かれたようにブーバーンが飛び出してオーバの足元へと転がる。
「ブ、ブゥゥゥウッ……」
「ブーバーン戦闘不能!!オーダイルの勝利!!」
「ダアアアアアアアアアアアアアアイルァ!!!」
「ブーバーンを此処まで圧倒するかよ……!!?」
水とドラゴンタイプという炎タイプによって地獄のような組み合わせだったとしても此処まで押し込まれるとは……だがオーバは笑っていた、そうだ自分はこういうバトルがしたかったんだ!!と全身が喜んでいた。望んでいたバトルが漸く出来ているという実感がオーバの喜ぶのスイッチを連打していた。
「まだまだァこれからだ!!ブーバーンよくやったぞ、そして次は……お前だヒードラァン!!」
「ごぼぼぼぼぼっごぼっぼっ……ドゥラアアアアアンッ!!!」
Q.なんでオーダイルはワニノコマスクを閉じながらメガトンキックをしたの?
A.某ライダーリスペクトです。