週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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今回はとある方からリスナーの一面が見たいと言われたので、ちょっとした番外編です。


EXエンジョイ:グラバーの場合。

「あっ配信始まるんだ」

 

此処はガラル地方のエンジンシティ、そんな街の一角にスマホロトムで配信が間もなく始まりますという表示に笑みを零す少年が一人いた。彼の名前はグラバー、ある種、ラビの新たな始まりを告げた少年である。彼は祖母に会う為にガラル地方へとやって来たのだが電車の時間まで余裕がある為に適当にラビの配信アーカイブを見ていた。

 

「やっぱりまだまだ上手くいかないねエクスレッグ」

「イィィレイ」

 

申し訳ねぇ……と頭を下げるエクスレッグ、こればっかりは適性があるらしいのでエクスレッグを責める訳にはいかない。だから再びエクスレッグ回を見て練習をしようと、思ったんだけどなぁ……

 

「なんでこうなったんだろうね」

「イイレエイグ」

「うん、僕のせいだよねごめん……」

 

相棒のエクスレッグと共に業の練習の復習の為にアーカイブを見ていた……ラビアンチにそれを見られて盛大に煽られた。ガラルではラビのアンチが多いというのは祖母から聞いていたけど、マジで絡まれるとは……良識あるリスナー、ファンとしてアンチの言葉は気にしないようにと務めたのだが……そのアンチはエクスレッグを侮辱してきた。

 

『おいお前、今なんつったぁ……!!?ボクのエクスレッグが弱いだと、ボクのエクスレッグがゴミみてぇだとぉ!!!?』

『待てそこまで言ってねぇ!!?』

 

大切に一緒に頑張って来たエクスレッグを侮辱されて、つい暴力的な気分になって……そこでちょうど通りかかったジムリーダーのカブによって仲裁され、バトルで勝負してこれは終わりにしようという事になってエンジンシティのジムのトレーニングエリアを借りてのバトルに発展してしまった。

 

「それでは審判は僕が務めるから、両者と共に存分に戦うように!!」

「カブさんの前だ、気合入れさせてもらうぜ……よぉっラビリスナーよぉう!!」

「なぁ~んでこんな事になるんだろうね……」

 

まあこうなってしまったらしょうがない、やるだけやってやる。バトルルールは三対三、ベーシックなシングルバトルルールだ。

 

「エクスレッグ、GO!!」「イイレイッ!!」

「行くぜ、キュウコン!!」「コオオオンッ!!」

 

相手はキュウコン、エンジンシティはカブさんのお膝元だからこその炎タイプか……相手は既に勝利を確信していると言わんばかりの表情だ。

 

「これより、シングルバトルを開始する!!グラバー君、ブーレイ君、両者ともに準備は良いね?では―――開始!!」

 

「キュウコン一気に決めるぞ、火炎放射ッ!!」「コオオオオッ……コゥッ!!?」

 

火炎放射を今にも発射しようとしていたキュウコンの口が閉じ、内部の火炎が爆発を起こす。下顎を狙ったエクスレッグの出会い頭の一撃がキュウコンの口を閉ざした。

 

「おおっ、いい技の繰り出し方だ」

 

思わずカブも感心する、虫タイプは炎タイプに相性が悪い。だがそれに臆する事もなくバトルの開始直後という出会い頭が最大限活きる時を見逃さず、その威力を引き上げるタイミングと場所を見事に捉えた。

 

「高速移動で後ろに引きながら虫のさざめき!!」「ィィィエエエイッ!!」

 

回転しながらも後ろへと飛び退きながらの虫のさざめきがキュウコンを襲っていく。炎タイプなので効果はいまひとつでダメージ的には期待出来ない。ブーレイも虫のさざめきを効くかよと軽視する。

 

「今度こそ、火炎放射ぁ!!」「コオオオオオンッ!!!」

「嫌な音だ!!」「イィィィィイッ―――レエエエエエエエエエエイッ!!!」

 

翅を動かし、それが擦れる音を利用した嫌な音は火炎放射よりも早くキュウコンへと到達すると本能的な嫌悪感を覚えさせてワザの集中力を一気に奪い取る。

 

「ぐああああああ!!?滅茶苦茶嫌な音だぁぁぁぁぁ!!?」「コオオオオンッッッッ……!!」

「よし、高速移動から繋げて踵落としぃ!!!」

「イイイイイイイレィッガアアアアアッ!!!!」

 

高速移動で加速、嫌な音から立ち直り切れていないキュウコンの元へと辿り着くと身体を回転させながらも真横に踵落としを放つ。真上から放たれるそれだが、廻し蹴りのように放つ事で後隙と到達までのスピードを速めた改良型、それはキュウコンの腹部を捉えて吹き飛ばし、外壁へとめり込ませた。

 

「キュッキュウコンッ!!?」「コォォォン……」

「キュウコン戦闘不能!!エクスレッグの勝ち!!」

「いよぉぉしっ!!エクスレッグ、舐めんなよ!!というか全体的に虫タイプなめんなこら!!!」

「イイイイレイッ!!!!」

「ま、まだだっ!!キュウコンお疲れ!!次は、トロッゴン、お前だぁぁ!!!」

「ロオオオゴンッッ!!」

 

「……実にクレバーな戦い方だ」

 

審判をこなしながらもカブはグラバーの立ち回りを事細かに観察しているが、グラバーは変化技を大いに取り入れながらもコンビネーションとして使う。高速移動で回避、加速で攻撃の補助、嫌な音で相手の技を妨害しつつ防御を下げる、虫のさざめきや飛び掛かるや飛びつきなどで的確に相手の能力を下げに掛かる。

 

「そこだぁっ瓦割ぃ!!!」「レエエエイガァァ!!!」

「いやそれ踵落としじゃってわああああトロッゴオオオオオンッ!?」

 

そして、基本的に的確に相手に通じる技を繰り出す。基本中の基本だが、それ故にブレが少ない。見栄えや派手さではなく、確実に効く技を選ぶ……当たり前の事なのだが、ガラルのトレーナーはそれをやる事が少ないと思うとなんだかジムリーダーとしてちゃんと皆の手本になれているのかと少しだけため息が出てしまう。

 

「こうなったら、こいつで行くぜマルヤクデェェ!!!」「ボオオオオゥッ!!!」

「マルヤクデか……よし、エクスレッグ戻ってくれ!!」

「なっ戻すのかよ!?」

 

此処でグラバーはエクスレッグを戻してしまった、ブーレイとしては自分のポケモンの二体抜きをしたエクスレッグを真打たるマルヤクデで倒すつもりだったのに……と思う一方でカブは冷静な判断だと思う。マルヤクデにエクスレッグの主力技は効果が薄い、キュウコンのようには上手くいかないと判断して戻す、実にいい判断だ。

 

「ドオー、GO!!」「ドンオオオオオッ」

 

グラバーの次鋒はドオー、対ナンジャモでは本当に頼りになったポケモンである。そんなドオーは炎タイプを相手にしても中々に侮れない力を持っている。

 

「マルヤクデ、火炎車ぁ!!!」「ボオオボウボボウボオオオオオッ!!!!」

「雨乞いだドオー!!」

「ドンオオオオオッ」

 

欠伸をするとフィールドの頭上に雨雲が生成されてそこから雨が降り出して来る、それによってマルヤクデの炎は弱まってしまい、半分程度の勢いになって殆ど体当たりのようになってドオーへと激突するが、ドオーは耐久型のポケモン故か全然応えていない。そして接近してくれたのは有難い。

 

「冷や水だ!!」

「ドオオオオオオオオオッ」

「ボゥクククデエエエッ!!?」

 

雨乞いをした上での冷や水、威力が上がっている上にマルヤクデはそれを受けて攻撃が下がる。冷や水で怯んでいる所にドオーは身体を回転させて地面の泥を泥掛けで飛ばして来た。それによってさらに命中が下がる。

 

「さ、さっきからコスいバトルばっかりしやがって……!!」

「何がコスいだよ、バトルで作戦を練って取れる手段を取れるのは当然の事だよ。ボクは弱い、だから必死に頭を使って相手に勝つ為に戦術を取るんだ!!岩雪崩ぇ!!!」

「ドオオオオンオオオオッ!!!」

 

ドオーがジャンプをするとフィールドが抉れて瓦礫が舞い上がり、それがマルヤクデへと襲い掛かっていく。マルヤクデはそれを避けきる事が出来ずに……まともに受けてしまい、雨と瓦礫に塗れながらも倒れ込んでしまった。

 

「マ、マルヤクデぇ!?」

「ク、クデェ……」

「マルヤクデ、戦闘不能!!ドオーの勝ち!!よって勝者、グラバー君!!」

「よしっ!!よくやったぞドオー!!」

「ドオオオッ」

 

ドオーを褒めているグラバーを見ながらもカブはその戦いにラビ的なエッセンスを感じずにはいられなかった。ガラルでは見栄え重視が基本なのでそう感じるだけかもしれないが……。

 

「見事なバトルだったよグラバー君、エクスレッグも素晴らしかったがドオーも高いレベルだった。的確に相手の能力を下げにいくとは、中々な戦術家だね」

「いやぁバトルって自分を高めるのもいいですけど、相手の能力下げれば実質的に自分も強くなるから一石二鳥かなぁって思いまして」

「成程、道理だね」

 

そこでグラバーは不意に時計を見ると、顔を真っ青にした。

 

「あっやべっもう直ぐ電車の時間じゃん!!?の、乗り遅れちゃう!!?す、すいませんカブさんボクこれで失礼します!!」

「ああっ気を付けて!!」

「す、すいません~!!!」

 

慌ただしく駆け出して行く彼を見ながらもカブはマルヤクデをボールに戻しているブーレイへと目を向けた。彼とてレベルが低い訳ではない、悪くないレベルであったが……それを上回る程にグラバーのバトル技術が優れていただけに過ぎない。

 

「……カブさん、俺、弱い、ですね……」

「いや君は強かったよ。最後の最後まで、勝ちに行き続けた。それは良い素質だ」

「でも、俺、ポケモン達の良さを引き出してやれない所か、相手の悪口まで……押されてるからって……」

「確かにそれは褒められた事じゃないかもしれない、だったら―――次はそれを受け止めて、負けないぞって言い返してやれるように変わればいいさ」

 

 

 

「ま、間に合ったぁ……あっちょうどラビさんの配信が始まる」

 

『皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。本日はゲスト付きです』

『ポケモン、ゲットだぜ!!皆、今日もポケモンバトルしてるか?俺は相棒のピカチュウと一緒に毎日楽しんでるぜ!!皆こんにちわ、俺サトシ!!こっちは相棒のピカチュウ!!』

『ピッピカチュ!!』

『どうも皆さん、カロス地方ジムリーダーのコルニです!!』

『本日はこのメンバーでいきます、そして今回ご紹介するのは此方』

『ジイイイッシ』

『カエンジシさんです』

 

「あっ炎タイプだ」




こんな感じに、偶に番外編を挟んでいこうという試みです。
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