「ラビのカロスの旅ってどんな印象だった?」
「お前も一緒、じゃなかったかそう言えば」
「うん、その辺りで一度別れちゃったもんね」
唐突な質問にラビは思い出したように言葉を出した、そう言えばサザレは一緒ではなかったのだった。正確に言えば最初こそ一緒だったが、最初のジムであるハクダンジムのジムリーダー、そしてカメラマンとして名を馳せているビオラからとある島の写真を通した生態調査の依頼を斡旋して貰ったので、一度そこで別れている。その後は、連絡を取り合ったり偶に会う程度で、本格的に再開のはエリアゼロ関連の事からである。
「……メガガルの印象ばっかりあるわ」
「メガガルーラの事?」
「そう」
「……そんなにやばいの?」
「同じ実力のルカリオとガルーラ、どっちのメガを使えって言われたら真っ先にガルーラ選ぶわ」
「そ、そんなに……」
それが仮に、自分のルカリオだったとしても、いや、だからこそガルーラを選ぶ。メガルカリオでメガガルーラに対するなら自分は徹底的に変化技を主体にして、相手の防御をガタガタにしてから瞬撃で一気に刈り取る戦法を取るだろう。
「ぶっちゃけるけどさ、PWCSのランクバトルでアキラがメガガルを使って来た時はすげぇ怖かった。一番負けを覚悟した」
「ラ、ラビが……?」
「その位にね、メガガルーラって怖いんだよ」
親子で戦うメガガルーラを一番簡単な倒し方が子供をまず行動不能にする事、数的有利と親子愛の特性を完全に封じる事が出来る。が、そうなると残るは子供を倒された親が残る訳で……それを相手にするのは極めて骨が折れるのである。常時逆鱗を発動させているようなガルーラを相手にしなければならない。
「後はそうだな……あるジムでジムトレーナーに絡まれたな」
「何、なんかやらかしたの?」
「いや一方的に絡まれてジムリーダーに助けられた」
あの時ほどこの顔を呪った事はなかったかもしれない……ガチショタ扱いされて本気でブチぎれようとした時にマーシュに助けられつつもガチ謝罪をされたりもした。というかあれがあったからこそ自分の年齢弄りに敏感になってしまったのかもしれない……。
「他は?」
「他っつってもなぁ……」
カロス地方は他地方に比べてかなり平穏な旅だったので語る事がない、旅をしてる最中に平穏すぎて暇だな……と思ってしまった程度には何もなかった。ああでも出会ったポケモンを描くというイラストレーターには出会いはしたか……元気にしているかな……
「そういえばさ、ゴシカさんの所はなんかなかったの?」
「ゴジカな。俺も初対面でゴジラって聞き間違えて訂正受けたけど」
そう言えば彼女のジムで一波乱……というか、過去のあれこれを詮索されてしまって面倒な事にはなったな……それだけの問題に直面しているとはどのような星の元に生まれたのかとか、対応の為に何か……いやこれでは駄目だ既に試練を受けすぎている……!!と凄い剣幕で色々言われた事ばかりを覚えている。
「後はバトルシャトーで最短でグランデュークにいったぐらいしか話す事ねぇぞ」
「マジでなんにも無かったんだね……」
人に話せる範囲ではその位だ、国際警察のハンサムと一緒にミッションをしたぐらいの持ちネタはあるが、当人から絶対に話しちゃいけないと口止めをされているので語る事が出来ないのである。それと―――
『ラビ君、君は人間について考えた事はあるかね』
『ありますよ、散々……一遍滅んでくれって思う位には』
フレア団の首領たるフラダリと、自分は話した事がある。当時はまだフレア団はそこまで表立った活動をしていなかった時期ではあったが……一対一でかなり長い時間語り合った。フラダリが抱える人間が掛かる矛盾や悪い面を目にした事、それを理由に助けを求める人を無視する事もそれらに対して目を背ける事も出来ない苦しみも聞いた。
『私も、人間には素晴らしい人々がいる事は理解している。私と共に活動をしてくれた人、私達の活動を通じて未来のために動こうとする人、今を変えようとする人もいた……だがそれ以上に……愚かな者が余りにも多すぎると、私は思わずにはいられなかった……』
『でも、大勢の馬鹿共の道連れに良い人を落とすには気が引けますよね』
『……だな。済まない、私は過激な事を言ったかもしれん』
『何も聞いてませんよ、俺は』
『……少しばかり楽になった、有難う』
あの時、自分はフラダリが求めていた答えを出す事は出来なかった。きっと、フラダリはこの世界は滅ぼすには惜しいといって欲しかったのかもしれないが……ラビはラビで人間の被害にあったポケモンと出会っているし自分のポケモンとして受け入れているのでそういう事を言いだせる立場ではない。
「カロスにはいろんな問題がまだ燻ってる、か……アンシャちゃん」
「はいなのです?」
「カロスに行くって言ったら……ついてくるかい?」
「行くのです!!アンシャが道案内と観光案内するのです!!」
「そりゃ頼もしいな」
もう一度くらい、行くのも悪くはないかもしれないと思う。少なくともすぐには難しいかもしれないが……行ってもいいかもしれないという自分がいるのも事実である。だが仮に自分が行ったらそれはそれで別の問題が起きそうだ……偽名でも使って現地入り、それが一番良さそうな気もする。
「あっそうなのです、ラビさん、ル~ちゃんが最近面白い技を覚えたのです」
「おっ何を覚えたの?」
「身代わりなのです!!」
「身代わりか、確かに面白い技かもね」
一先ずはそんな思考をリセットさせるべく、アンシャの話に思考を移す。カエンジシの事もあってか、妙にカロスの事を考えてしまう。
「ル~ちゃん、身代わりなのです!!そしてそのまま、パンチパンチパンチなのです!!」
「ラ~ル~……」『ラル~』
「ラルッ!!」『ルルルラァァッラッラァッラァッ!!!』
「どうなのです!!?」
「……身代わりを前面に出してパンチさせるって……どう思うラビ?」
「……スタンドかな?」