「お味は如何ですかオーガポンさん?」
「ぽにっぽにぽににぽにぃ!!」
「こ、これ凄い美味しいべ!!」
「そう言って頂けて恐悦至極、だね」
オーガポンの危機を何とか救う事に成功したラビ、次に取ったのは……オーガポンに落ち着いて貰う事、そして体力の回復だった。そこでパルデア式のサンドイッチを食べて貰う事にした、サンドイッチではあるが、挟む中身はサザレが食べたいと言ってもいいように準備してきた作り置きのおかず、ちゃんと本人にも許可を取ってあるので問題なし。
「このパンに塗ってあるソース、甘酸っぱいのに少しだけ辛くて美味しい……中身のベーコンと卵によく合ぅ……」
「ぽにに!!」
「卵は里の販売所で買った物を今日の朝に軽くスクランブルエッグにしておいたんです。生卵だと保存が利かないから苦肉の策ですが、サンドイッチの場合だとこれがまた合う、そして一緒の山菜はお爺さんからいただいた新鮮な物で御座います」
「何時の間に……こんな準備、してたんだべ?」
「早起きは得意なのでね。そして育ち盛りさん達と一緒ですからピクニックの機会もあるだろうと踏んで前もって準備を」
のんびりし過ぎているようにも見えるが、オーガポンはともっこにかなりダメージを負わせられている。その回復の為にはただの薬ではなく美味しくて心もお腹もいっぱいになる薬が良いだろうと思ってサンドイッチを作って提供してみた所、スグリとオーガポンには大人気だった。
「美味しかったぁ……パルデアだとこういう風な事をよくするの?」
「ええ、休憩や親睦を深める為に」
「ぽににっ!!」「ご馳走様でした!!」
「お粗末様でした」
サンドイッチを食べた事でオーガポンもすっかり元気になったのか、先程の弱った雰囲気はまるで感じられなくなっていた。一先ずこれで一安心と言った所だろうか……。
「さて、これからどうするべきか……あっそうでした皆さんに状況を聞いてみましょうか」
「あっそうか、俺スマホロトム持ってないけど皆は持ってる」
「それでは早速―――あ~此方ラビです、皆さんそちらの状況は如何ですか?」
複数人モードにして通話をしてみる事にした、すぐさま三人から返事が返ってきた。
『ス、スグアンタ大丈夫だった?なんか凄い声聞こえたけどさ』
「……アーマーガアって凄いポケモンやったよ姉ちゃん……」
『お、おう……あっえっとラビさん、こっちはともっこ達が保管してたっていうお面を手にして何処かに行って聞きました、んでその後に取り合えず碧の仮面の修理して貰って、こっちもそっちに合流しようとしてたら今度がともっこ達が一気に襲い掛かってきたんですよ俺達に!!』
「あの時、逃げたと思ったらそっちに行きましたか……」
自分がともっこを撃退した後、ともっこ達は態勢を整えながらも碧の仮面を持っていたアオイ、ハルト、ゼイユを襲撃したという。しかも自分達が持っている三種類のお面を見せながらも、碧の仮面を寄こせというような仕草までしてきたという。
「それだけ鬼様、いやオーガポンにやられた事が許せないって事かな……?」
「かもしれませんね……そちらは大丈夫でした?」
『全く以て大丈夫ですよ!!ミライドンとコライドン、そしてゼイユのモルペコでギッタギタにしてやりましたとも!!』
「うわぁ……」
想像したらともっこが心の底から哀れに思えてきてしまった、よりによって戦いを挑んだ少年少女が伝説のポケモンを二匹携えているなんて誰が思った事だろうか。エレキフィールドと強い日差しの中でともっこ達は恐ろしい思いをした事だろう……。
『いやマジで凄かったよアオイのミライドンとハルトのコライドン!!ミライドンはなんか出た瞬間に地面をバチバチさせたと思ったらあたしのモルペコの電気技の威力も上げるし、コライドンはコライドンで日差し強くして炎技の威力上げるしで!!まあ、あたしのモルペコだって相手を麻痺らせたりで掻き乱してやったけどさ!!』
ドヤ顔のまま胸を張るゼイユと彼女を持ち上げるようにやんややんやと拍手をする二人、それをされて更に気分をよくするゼイユ。スグリは単純だなぁ……と思いながら笑うのであった。
「それでともっこは?」
『あっそれは大丈夫です、なんか大きくなってきたけど無事に倒せたし一応ゲットして無力化しました。今はボックスに入れてますけど』
『私がマシマシラとキチキギス、ハルトがイイネイヌです』
「おや、ゼイユさんはゲットしなかったので?」
『だって、ともっこマジムカつくんだもん!!そんなのゲットできないわよ!!』
「お、俺も同感」
如何やらこれでともっこによる問題も解決することが出来た、残りは……と考えている時にゼイユが此方の画面に映っているオーガポンを見て声を掛けた。
『あっそうだこれ見てよ、ほらっ貴方の仮面!!』
「ぽ、ぽに!!?」
『あの時アンタが落としたのも含めて4つ全部此処にあるよ!!今そっちに向かうから待っててね!!』
そう言うとゼイユ達は直ぐに此方に向かうと言って来た。恐らくミラコラドンで向かってくるのだろう、そうなると直ぐだな。と思う。そして―――オーガポンは飛び跳ねるように喜んだ。
「ぽにぽに!!」
「よ、良かったね鬼様じゃなくてオーガポン!!」
「ぽにぃ~!!」
一緒に喜んでくれるスグリの手を取って飛び跳ねるオーガポン、彼女にとってはずっと求め続けてきた思い出の詰まった大切な仮面なのだ、それも当然だろう。そんなオーガポンの目線に合わせてラビは微笑んだ。
「よかったですねオーガポンさん」
「ぽにお~ん!!」
そして、暫しするとミライドンコライドンに乗ったアオイ、ハルト、ゼイユが到着し、オーガポンの手に仮面が返されるのだった。
「ぽ、ぽにぃぃっ……!!ぽにぃぃぃぃぃっっ……」
大切な仮面が戻ってきたことにオーガポンは感無量だった。大切な思い出が詰まったこの面、ともっこ達に奪われてから求めなかった日はなかった。それが漸く……願いが叶った、オーガポンは感動の涙を流しながらも皆に感謝した。その日はオーガポンの住処である恐れ穴の前にキャンプを張ってそこでパーティをする事になって大騒ぎをした。
「素敵な仮面じゃない!!ねえねえ写真撮っていい!?」
「ぽに!!」
「あらっノリノリね!!それじゃあ皆一緒に写真撮るよ~!!」
サザレも参加して撮影会も行われたパーティは大盛り上がりだった。
「鬼様さとこんな事出来るなんて思ってもみなかった……鬼様、じゃなくてオーガポン」
「ぽに?」
「そ、そのえっと……」
「ほらスグ気合入れなって!!」
「お、俺と友達になってくれますか!!?」
「ぽに~!!」
長年、独りぼっちだったオーガポンにとってスグリの言葉は嬉しかったのだろう。抱き着きながら嬉しそうな声を上げるのであった。そしてスグリも自分が大好きだった存在と友達になれた事に感極まってしまったのか泣き出してしまった。オーガポンは自分が泣かせてしまったのかと大慌てになりつつも必死にスグリの頭を撫でたり、涙を拭いてあげたりするのであった。そんな光景が見られた楽しいパーティも終わり、皆が寝袋に入って眠っている時だった。
「ぽに……?」
オーガポンは何かの音に気付いて目を覚ました。そして周囲を見てみるとラビが何処かに向けて歩き出していくのが分かった。如何したのかな、と首を傾げつつもその後に続いていくと自分に気づいたのかラビは振り向いて笑った。
「バレましたか、実はですねオーガポンさん。私がこの里に来たのはもう一つ理由があるんです」
「ぽに?」
「モモワロウ……あのともっこを従える首魁と戦う為です」
「ぽに!!?」
その言葉にオーガポンは驚いた、するとオーガポンは一旦恐れ穴に戻ると他の仮面を持ってきた。碧の仮面をかぶり直し、他の仮面をラビへと渡すと
「ぽに"……!!」
低い声を上げた。まるで自分も行くと言わんばかりのそれだった。
「分かりました、行きましょう」