週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ?:カロスに向けて。

「……ダメだな、乱れてる」

「ブルッルッルルル~」

「悪い、今日は打ち止めにしといた方が妥当だ」

 

イラストレーターとしての仕事をこなしているラビ、正確に言えば、今しているのは画家としての仕事であってイラストレーターとしての仕事は既に終わっている。歴史系Vからお願いされた新立ち絵、大正浪漫でありながらも何処か違う切り口の物が欲しいと言われたので、ヒスイ当時のコンゴウ団のそれを参考にしてみたのを送ってみたらこれですよこれ!!と言われた。満足されたので良かった……と思いながらもアグからの依頼を描いてみているのだが……妙に筆のノリが悪く、線が乱れている。繊細だがダイナミックなタッチを要求されているので、これでは成立しない。

 

「敢て荒く書き足していく方式にシフトするしかねぇなこれ……迫力全振りの方向性に修正する」

「ブルル」

 

それが妥当やね、と言いたげに頷くメープルが修正の為の準備をする。自分にはもう打ち止めにした方が良いといっておきながら自分はまだまだ書き足りないからやるのか……本当にいい根性している仕事の相棒だよ……と言いたくなるのを抑えながらもラビは仕事部屋を出る。

 

「……ダメだな、この周期が来ちまったかぁ……」

 

ラビは基本的に仕事に時間を掛け過ぎない、というよりも画家やイラストレーターという類の人間としては異例の速度で仕事をする。アグからしても仕事が早くて助かるが無理はしてないか、という心配の小言を貰う程度には速攻で終わらせる。しかし、時には中々に筆が進まないという事もあるのである。

 

「こういう時はメープル中心にしないと駄目なのが俺の弱点だなぁ……」

 

イラストレーターとしての仕事が溜まっている時でなくて本当に良かったと言わざるを得ない。Vの立ち絵が終わってから来てくれたのは助かった、画家的な側面の仕事は待たせていても良い類だ、早ければその分報酬も高めになるが……貯蓄は十分すぎる位にはある。

 

「あれラビ如何したの、まだ仕事部屋に入って3時間ぐらいしか経ってないじゃん」

「ダメだ、ノリ切れない」

「あ~波が過ぎちゃったのね」

「そういう事」

 

同じく芸術家系の仕事をしているサザレは察する事が出来ている、と言ってもラビのそれは比較的短期間で抜け出せる。恐らくPWCSのあれこれもあったから乱れが起きているのだろう。

 

「ねぇっラビ、カロス地方行ってみる?」

「なんで態々面倒事の中心に飛び込まにゃあかんのじゃ……」

「だって気になるんでしょ?」

「……まあな」

 

ワイルドゾーンのあれこれも気になるが、如何にも気になっている自分がいて乱されている―――というのは言い過ぎかもしれないが、喉に引っかかっている小骨のように気になっている。奇妙な痛みを伴って引っかかりを覚えるのだ。

 

「だったら行ってくればいいじゃん、良いインスピレーションがあるかもしれないし」

「お前なぁ……人がまた何か巻き込まれる可能性があるってのに……」

「だから、私が帰る場所になるんでしょ?」

 

この女は本当に自分の言って欲しい言葉を全て言ってくれるから困ったもんだ……と思いながらもラビは静かにナンジャモに連絡を入れた。

 

『ほいほい~ほい、ラビ氏どったの?』

「悪い、また他地方に行くことになりそうだ。代理頼めるか?」

『えっまた?ガラル地方的なあれなの?』

「いや今度は個人的な事だ」

『ふ~ん……まあPWCSも終わってこっちも色々落ち付いてるから大丈夫だけど……その代わり、ラビ氏の庭、ネタにしてもいいよね?』

「常識の範囲内なら」

『あたりの前じゃん!!』

「古……」

 

そんなやり取りをはさみながらもラビはカロス行きを決心する、後ついでにもう一人に連絡を入れる事にした。この前の二次会で知り合って連絡を交換しといてよかった。

 

『はいもしもし』

「ああ、悪い急に。実はカロスに行くんだけど付き合わないか……アラン」

『随分と、急なお話ですね』

 

そう、アランである。フレア団関連の事もあるが、ミアレシティの事云々では以前の事も確かめたいのでそれらを知る人物を連れて行きたい。そこで実力もあってそれなりに信頼出来るアランへと連絡をする事にした。

 

『……分かりました、何時です?』

「可能になればすぐに」

『分かりました、準備が出来たら連絡を』

 

あともう一人にも……

 

『あらラビ君、どうかした?』

「すいません、そっちも忙しいでしょうに」

『いいのよ貴方からの連絡を拒否する程、私は恩知らずじゃないわよ?それで如何したの?』

「アンシャちゃんを連れてミアレシティに行ってもいいですかね」

 

母親からすればミアレの知人に預けるのを躊躇して、パルデア地方の自分に預けたのに態々そこに娘を連れて行くのは如何なんだと怒っても可笑しくはない。だがアンシャは自分がミアレを案内する事に燃えているのか、自作の案内マップまで作り出しているのでもう無下に出来ない所まで来てしまっている。

 

『ええいいわよ、ラビ君なら信頼出来るし何があっても守ってくれるでしょうし』

「そう言ってくれるのは嬉しいですけど、仮にも自分の娘が30代のおっさんと旅行に行きますっているようなもんなんすけど……」

『あら、ラビ君にはもうサザレさんがいるじゃない。それなのにアンシャに何かするなんて有り得ないわよ』

「信頼、されてるって思っていいんですかね……」

『ご想像にお任せするわ♪あとね、ついでに最初に預ける事を考えてた知人にも会ってきてくれると助かるのよ』

「ユカリさん、とやらですか」

『あらご存じ?』

 

バトル大会のゲストの誘いをメイドさんが持って来た事を伝えると素直にカルネはあの子らしいわねと笑い始めた。

 

『私としては別段あの子の事を信頼してない訳じゃないのよ、ただ、アンシャの身の安全という物と彼女への信頼を天秤にかけたら真っ先にアンシャを選んだだけの事なの。だからお話をしてきてほしいのよ、別に貴方の事を信頼してない訳じゃないって』

「そういう事ですか……まあその位でしたら」

『ごめんなさいね、あっごめん撮影が再開するみたい、それじゃあ!!』

 

そう言って通話は切られた、映画の撮影だったらしくカルネはやっぱり忙しそうだ。

 

「まあ兎も角……アンシャちゃん、カルネさんから許可下りたよ」

「それじゃあ一緒にミアレシティ探索なのです!!!」

 

本当に楽しそうに笑うなぁ……仮にも今ミアレシティは大変な事になっているのに……。

 

「ああそうだ、アンシャちゃん俺向こうだと偽名を名乗るつもりなんだ。PWCSのあれこれもあるし騒ぎになったら面倒だろ?」

「成程なのです……それでお名前は考えてあるのです?」

「レイブンって名乗るつもりだよ」

「あっアーマーガアからなのです?」

「そんな所かな」

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