「このパンおいひぃのれす!!」
「ああ、中々の味わいだ……済まない、悪いが火炎放射ローストのお代わりを頼む。アンは?」
「あむあむあむ……このチョコクロワッサンと火の粉ローストモカのお代わりなのです!!」
「はいよっ!!アンタらは沢山オーダーをくれるいい客だな、直ぐに持って来てやるよ!!」
ウェイトレスの威勢のいい声を聴きながらもミアレ名物のプリズムタワーを見上げる、現在は立ち入る事が出来ないのは残念だが……ミアレジムはあの中にあった筈だが、何処かに移転しているのだろうか……その辺りもあとでサトシに確認しなければならないと思っているとコーヒーとクロワッサンのお代わりがやって来た。そこへキッチンカーの中にいた店主と思われるメガネを掛けた男性が頭を下げてきた。
「沢山のオーダー、誠に有難う御座います。本日はヌーヴォーカフェのご利用有難う御座います、此方はサービスです。まだ試作品ですが、当店自慢のコーヒーを使ったゼリーです、どうぞご賞味ください」
「わぁ~ゼリーなのです!!有難うなのです!!」
「すまない、此処のコーヒーは気に入った。ミアレにいる間は売り上げに貢献するよ」
「お褒めに預かり恐悦至極、どうぞ今後ともごひいきに……」
丁寧に頭を下げてからキッチンカーへと戻っていく男性を見送りながらもアンはチョコクロワッサンと口当たりが優しい火の粉ローストモカを楽しむ。
「さてアン、食べたら早速ワイルドゾーンに繰り出すか」
「はいなのです!!美味しいパンとモカで元気100倍なのです!!」
「ははっそうか、んじゃ明日も此処で朝飯取るか」
「そうしたいのです!!」
「予約、承ったぜグリ」
「畏まりました、キャンセル料は200%なのでご注意を」
「おおっ意地でもこねぇと」
そんなやり取りをしながらも二人はカフェを後にする事にした。アンは店主のグリと看板娘のグリーズに丁寧に頭を下げて、また来るのです!!と挨拶をしていくので二人もすっかりと笑顔で手を振って見送ってくれた。なんというか、女優の片鱗というか、人に対する行動の節々にカルネを感じさせる。
「さてとアン、これからワイルドゾーンに突入する事になる」
「はいなのです」
「基本的にポケモンは出しっぱの方が良いだろうが、基本的には一匹に絞っといた方が良い」
「そう、なのです?ル~ちゃんとあしゃまちゃん、ちーちゃんを出そうと思ったのですけど」
ワイルドゾーンの概要を簡単に調べていたアン、街中にも拘らず、ほぼ野生と変わらないという特異な環境。故にポケモンを多く出して警戒しようというのも悪くはない。だがそれをするトレーナーはあまりいない。
「そうする自然と意識が全てのポケモンに向いてトレーナーの意識が散漫になり易くなるんだ。こういう場合は、一匹、多く出しても二匹の方が良い。方向を絞っておけば対処もしやすい」
「成程なのです……それじゃあえっと……ちーちゃん!!」
「チコ!!」
「まずはちーちゃんからなのです!!」
「チコチコ!!」
そして足を踏み出す1番ワイルドゾーン、そこにいるのはヤヤコマやホルビーと言ったカロス地方でも多く見られるポケモン達がおり、比較的に大人しい為か多くの人がワイルドゾーンの中にいる上に平然と営業をしている店舗までもある。これを逞しいと呼ぶべきか、軽視しているとみるべきか……。
「さて、そんなアンにプレゼント」
「ふぇ?あっモンスターボールなのです!!」
「どうやらこのミアレシティだと今、ポケモンの捕獲に関するキャンペーンをやってるらしいからな。どうせだそれもこなしながらいこう」
「はいなのです!!」
現状アンのポケモンは3匹、基本的に出さないフーパを含めれば4匹。だがアンシャならば6匹になってもポケモンの管理をする事は出来る事だろう。
「さてと、俺は俺でポケモン調査しとくか……ムーランド」
「ムウゥゥン」
「アンについてやってくれ、アン、ムーランドを足に使っていいぞ」
「わ~いムーランドなのです~!!」
抱き着かれるムーランドはこういうの懐かしいなぁ~と思いながらも背中に上ろうとするアンの為に姿勢を低くする。その背中に乗るとムーランドは姿勢を高くしながらもアンと共にワイルドゾーンの散策へと向かっていく。地方によってポケモンを出して背中に乗るなどには申請が必要だったりもするのだが、自分はそれらの免許は持っているし、カロス地方ではメェークルの背中に乗る文化などが根付いているので問題はなくする事が出来る。
「ゴ~なのです!!」
「ムゥウラッ!!」
駆け出して行くムーランドを見送りながらもレイブンは周囲の状況をロトムで撮影しながらも確認する。ワイルドゾーンの現在の状況、ポケモン達の様子、全てを事細かに確認していく。
「(……ここらは基本的にそこまでの荒れはないな、ヤヤコマやホルビーは比較的に大人しいからってのもあるが、環境そのものを楽しんでいる様子だな……人慣れも随分としている……ミアレ近辺に生息していた感じか……)」
手帳に事細かに書き込んでいく中でヤヤコマやビードルが近づいてくる、何してんの~?と言いたげに首を傾げているそれらを撫でてやりながらも木の実を上げる。それを受け取って嬉しそうに囀り、声を上げて食している彼らを見つめながらもレイブンはワイルドゾーンがかなり歪な事を改めて理解する。
「(現状のワイルドゾーンは三か所……だがこれは間違いなく増えるぞ……それにミアレから感じるこの感覚……メガシンカ関連か?暴走メガシンカの事もある、早めに調べないとマズいな)」
「レイブンお兄様~ポケモン5種類ゲットしたのです~」
「おっ早いな」
顔を上げてみるとムーランドの上でドヤ顔をしているアンがいる。ムーランドに確認してみるとちゃんとバトルしてゲットした物だと分かる。一部はボールを投げるだけでもゲット出来たようではあるが……。
「んじゃ次は研究所でキャンペーンを受け取るか」
「はいなのです!!」
楽しそうにするアンを見ながらもレイブンは手帳を閉じた。歪でありながらも成立してしまっているワイルドゾーン、この原因は一体何なのか……早めにシトロンやアランと合流をして情報の共有をしたくなってきた。
「どんなポケモンをゲットしたんだ?」
「えっと、6匹超えちゃったですからパソコン転送されちゃったのです。今いるのは……メリープのメーちゃんとビードルのビーちゃんなのです」