週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイZA:ミアレのアイドル

「話は聞いてるよ、いきなりランクアップ戦で大暴れしたらしいじゃないか」

「そりゃアンだよグリーズさんよ、俺は極々平々凡々なバトルだったよ」

「よく言うよ、いきなりFへのランクインな癖してさ」

「これでも各地方を巡ってた暇人だったもんでね」

 

バトルゾーンでのあれこれが終わったと思ったら、何時の間にか日が昇っていた。少し休憩を入れた後に宣言通りにヌーヴォカフェで朝食を取る事にしているとウェイトレスのグリーズから肘で突かれながらもバトルの腕前の事は既に話が広まっているという話を聞かされる。

 

「偶にあるんだよね、他地方で腕を鳴らしてた奴は特例処置で上に引き上げるってのは。それが気に入らない奴はいるにはいるけど、だったらお前が自分で成り上がりゃいいだけの話、つまる所、唯の怠慢だね」

「ハッキリ言うなぁ……」

「しかし、Fランクへの一気にランクアップってのは前例がないな―――アンタ、何者だい?」

「此処の常連希望で売り上げに貢献する上客、じゃ足りないかな?火炎放射ローストのお代わりとクロワッサン、タルティーヌを頼むよ」

「あいよっ!!グリ~いっぱいオーダー貰った~」

 

こういう事もあるという事は想定はしていた。流石に此処まで一気にランクが上げられるのは想定外ではあるが……今の自分はレイブンだ、良い感じに隠れておく必要はあるが、部分はバラす必要が出てきそうだな……と思っていると隣のアンがうつらうつら……と頭をガクつかせ始めた。

 

「大丈夫かアン、流石に眠いか?」

「だ、だいひょうぶなのれふ~……アンは、此処のヒョコクワッヒャンがあれひゃ……げんきひゃくひゃいなんれふ……」

 

夜遅くに連続バトルによる疲労は、バトルその物の興奮で打ち消されていたが、落ち着いた上に美味しい朝食でお腹が満ち始めた事で眠気が爆発し始めたらしい。もう呂律が回っていないし何時、崩れ落ちて眠り始めて可笑しくない。

 

「悪いが後チョコクロワッサンを持ち帰りを頼めるか?アンが起きた後に食べさせるから」

「おや、流石に子供に寝ずのバトルゾーンはキツかったかい」

「実質的にバトルデビューだったからな……やれやれ、手の掛かる妹だよ」

「の、割には笑ってるじゃないかい」

「まっ可愛い妹の成長が嬉しい反面余り健全とは言えない環境への心配が入り乱れた笑いって奴だよ、んじゃ支払いはこれで」

「……はい丁度頂きました。またのご来店をお待ちしております」

 

と既に常連と化しているようなヌーヴォカフェを後にしてホテルZへと戻る、そこではカウンターで何やら帳簿を付けているタウニーとスマホロトムのチェックをしているガイの姿があった。

 

「おっお帰りなさい、如何でしたバトルゾーンでのバトルは」

「バッチリ」

「そりゃよかった、あっ朝ごはんの準備しましょうか?」

「悪い、ヌーヴォカフェで済ませてきちまった。昨日の内に予約して、キャンセル料が200%って言われちゃってな」

「あ~そりゃ行かない訳には行かないな、んじゃアンちゃんとこれから一眠りですか?」

「いや、俺はアンを寝かせたらちょっと出て来るよ」

 

そんな会話をこなしながらもエレベーターで上がって自分達の部屋へと入り、ムーランドを出してからベッドにアンを寝かせてやる、ムーランドを枕のようにしているその寝顔をロトムで撮影してカルネへと送ってやる。色んな意味で煩くなる前にしまい直して、ちゃんと布団を掛けてやる、ムーランドに後は頼むとお願いするとムーランドは小さく吠えて返事をする。そして当人も少し眠いのか、目を閉じたので電気を消して部屋を出る。

 

「さてと……ちょっと散策して来るか……」

 

今のミアレを見る為には言っては悪いがアンが一緒だと効率が悪い、だからこういう時間も必要なのである。本当は一緒に散策してあれこれ話をしたい気持ちもあるのだが……ついでにお土産も探して機嫌取りも考えておこう。ムーランドもいるから問題はないだろう……とホテルZから出て、散策を開始する。

 

「……昔はどうなってたっけなぁ……」

 

ホテルZを出てサウスサイドストリートに出ながらも北東へと向かって歩き出す。昔来たミアレシティとはやはりというべきか空気感が違っている。まあ自分が旅した時のカロスの事をなんか覚えているかと言われても全然思い出せないのだが……辛うじてなんか鬼ごっこ染みた何かをやった事位は覚えているが……。

 

「にしても、暴走メガシンカの事もあったんだよなぁ……博士の話だと、初の暴走メガシンカはピジョットとか言ってたっけ……その辺りの関連性も見つけていけないのかなぁ……」

 

そんな事を思っているとガテン系の兄ちゃんたちがシャッターが開けられたガレージの前で今日も仕事頑張ろう~、DG4!!と朝礼を行っているのが目に入る。奥には親方と思われる老人がいるが、妙に目につく……何故かと思ったら、そこは何かの工務店らしいのだが、そこの兄ちゃん達が着ている服が何かのアイドル系の女性がプリントされた服だからだ。

 

「……いや、何それ」

 

別にそういうのを否定する気はない、何だったら弟の恋人がこういう系の事をしているナンジャモだし何方かと言ったら理解は深い方だと思っているのだが……仕事の制服……制服?にああいうのを採用するのは如何なんだろうか……いや安全性とかは確りと確保しているなら問題はないのだろうか……それとも身内がやっているアイドルで応援してます的なあれなのだろうか……。

 

「んっ応兄ちゃん、何か用か?」

 

思わず足を止めて見ていたら、親方と思われる老人に声を掛けられてしまった。流石にマナー違反だったか……と思い、謝罪混じりに挨拶をする。

 

「申し訳ない、なんというか……工務店でそういう服を着ているのを見た事が無かったものでな」

「んっ?おおっそういう事か、成程、兄ちゃんミアレには来たばっかりか?」

「ああ、つい先日な」

「成程ねぇそりゃラシーヌ工務店のこの恰好に見覚えなくても当然だな!!これはな、カナリィの応援Tシャツじゃ!!」

「カナリィ?……あっ思い出した、最近勢いのある実況者か」

「おおっ知っとるか?」

 

以前ナンジャモが一応配信者をやっているなら他の配信者の事も知った方が良い、見てみたら意外とインスピレーションを貰えたりするからと色々とお勧めを教えて貰ったが、その中で電気タイプ繋がりという事でお勧めして貰ったのが派手なプレイスタイルと炎上ギリギリの愛ある毒舌が特徴である女性実況配信者たるカナリィ。パルデアではナンジャモの人気の方が高いが、カロスでは、カナリィ人気の方が圧倒的と言われている。が、その後に

 

『まあ、ラビ氏はガラルを除けば圧倒的な人気だけどね……』

 

と言われたりもしたが知らんがな……で返した。

 

「ふふん、実はな、そのカナリィはワシの孫娘でな、工務店を上げて応援しとるんじゃ」

「は~……それで……だけど、自分の孫娘とかは言わない方が良いぞ。厄介なファンとかが押しかけて来て面倒な事になるしコンプラ的にもそうした方が良い」

「ムゥ矢張りそういうもんなのか……ワシはもっとカナリィのカッコ良さ、可愛さを知ってほしいだけなんじゃがなぁ……」

 

なんて理解と応援心のある爺ちゃんだ……単純に孫可愛さで応援している訳ではないのだろう。でなければ工務店全体で此処までの応援はしないだろう。

 

「そっち方面はワシも勉強しとるつもりなんじゃがなぁ……もうちょっと腰を入れた方が良いかもしれんな……」

「その方が良いだろうな、だけど応援自体は良いと思うぞ。家族に此処まで肯定して貰えるなんて中々無いだろうし、そのカナリィさんも爺さんの応援は嬉しく思ってると思うぞ」

「そ、そうか?そうかのう、いやそうじゃろうそうじゃろう!!やっぱり応援は大事じゃからな!!」

 

ガハハハハッ!!とご機嫌に笑う老人、なんだかんだで応援する事自体がこの人の活力の源の一つなんだろうなというのが察せられる。

 

「と、名乗るが遅れてすまんの。ワシはラシーヌ工務店の親方のタラゴンじゃ」

「レイブンだ。妹とこのミアレに観光に来た」

「ほほう、お嬢ちゃんがおるとは何れ挨拶をしたいもんじゃな、兄ちゃんいい男じゃからきっと妹ちゃんも美人さんじゃろうて」

「なんだ、ナンパか爺さん」

「おっとこれこそコンプラ違反じゃな」

「いや、セクハラだな」

「「ははははははっ!!!」」

 

妙に気が合うのか思わず笑い合ってしまっているとガレージの奥から女性が顔を覗かせて来た。褐色の肌とでんきタイプらしい配色の髪が特徴的だ。そんな彼女は少し迷惑そうな瞳を作っている。

 

「爺ちゃんちょっと煩いんだけど……こっちは徹夜で配信してたんだから寝かせてよ……」

「おおっすまん、しかしもうちょっとスケジュール見直した方が良いんじゃありゃせんか?」

「だって夜の方が……ん、んんっ?」

 

とタラゴンと会話していたのだが、此方を見つけると奥から這い出て来て、此方を凝視し始めてきた。うるさいといいたいのだろうかと思っていると、急激に瞳を鋭くしてきた。

 

「ねぇ、ぼくとバトルしない?」

「カ、カナリィ!!?」

 

タラゴンは酷く驚いたような声を出した、孫娘であるカナリィは何方かと言えばゲームの方が好きでバトルも余りしない。それでも昇格戦の相手などを務めたりもするが、此処の所は連戦連勝で負け無しで益々バトルへの意欲が欠けていた筈なのに……。

 

「ぼくと同年代っぽいのに主張し過ぎずもイケてるのに印象に残り難いファッションを着こなすその身のこなし、そして……その瞳から感じられる覇気……ただもんじゃないね、そんな相手を逃す程、ぼくも暢気しない」

「……良いだろう」

「爺ちゃん、悪いけどあのバトルコート使っていい?」

「あそこをか!?……分かった、お前がそこまで言うんじゃ、準備しよう」

「こっちも準備していいか、手持ちの選択をしたい」

「勿論」

「転送装置ならそこにあるぞい」

 

何やら突然バトルを申し込まれてしまったが……如何にも逃げられそうな雰囲気にない。折角だ、楽しませて貰おう、その為にも自宅に連絡を取る。

 

『はいほ~い、ラビ氏どったの?』

「いやなんでお前?サザレは?」

『今はちょっと買い物中でボクが留守番だよ、それでどうしたの?』

「今から言う奴を連れて来てくれ、バトルで使う」

『おお、了解!!』

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