週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイキタカミ:パニックピーチ

「がぉぼぅ……!!!」

 

怒りのままに声を出すオーガポン、こんな姿など見た事がない。愛嬌と優しさに溢れている彼女からは想像も出来ない程の怒りを感じる……それも当然な筈だ、彼女の幸せを奪ったのは―――これが原因なのだから。

 

「ダークライ」

「……グ、ガ」

 

足元から出現したダークライ、基本的に彼の居場所は自分の影の中。例え自分がボールを携帯していないとしても常に影の中にいる。と言ってもちゃんとボールを持ってこないと影からは絶対に出てこない頑固さがある。

 

「ぽに!?」

 

オーガポンは突然ラビの影から姿を見せたダークライに驚いてしまったのか後ろへと飛び退いた。だが直ぐにラビが平気そうな顔をしているので、仮面をずらしながらも近づいて謝るように頭を下げた。ダークライは気にするな、と言わんばかりに手を横に振る。

 

「持って来てくれました?」

「……」

 

そう言いながらも影の中にもう一度半身だけを埋めると座布団のような物の上に置かれた桃の置物、不腐の桃を取り出した。桃沢商店には申し訳ないが、ダークライにこっそりと持って来て貰ったのである。そしてそれを見た瞬間にオーガポンは仮面越しでも分かる程に歯軋りをし始めた。

 

「ダークライ、ダークホールから悪夢。強制的に覚醒頂きましょう」

「ァァァァアアッ!!!」

 

眠りについているそれに対してダークライの必殺技と言っても過言ではないダークホールが向けられた。これで確実に眠っている。更にそこに眠っている相手の体力を削り取る悪夢とダークライの特性であるナイトメアのコンボが襲い掛かる。少しすると……不腐の桃と言われている置物がガタガタガタガタガタッ!!と揺れ始めた。

 

「如何やら悪夢に苦しんでいるようですね」

「……」

「夢喰い」

 

更に追い打ちが襲い掛かる。そして遂に不変の桃は勢いよく飛び上がった、そして地面へと激突するとその痛みで目が覚めたと言わんばかりにゆっくりと浮き上がってゆっくりと瞳を開いて此方を見据えた。

 

「モゲッ!!!モゲゲゲゲッ~!!!」

 

埃を被っていたが故のくすんだ色は激突の衝撃でハッキリとした紫色へと変化、そして桃のような殻の中からまるで怨念にも人魂にも見える本体が大声を出しながら自分達へと文句を言ってきた。が

 

「ぽにっ!!」

 

直後に殻から一口サイズの餅のような何かが撃ち出された。正確にラビの口へと―――収まる前にラビがキャッチ、そのまま流れるように地面へと投げ捨てた。その行動に驚いたのが不腐の桃……いやポケモン、モモワロウ。

 

「来ると分かってさえいればこの程度容易いんですよ。生憎、見ず知らずの誰かから食べ物を受け取ってはいけないと教育されている物でしてね、遠慮させていただきましょう」

「モ、モモゲ……モゲッ!!?」

 

何だこいつと言わんばかりに後退りするかのように後退した時、背後に回った音を聞いて振り返るとそこには碧の仮面を確りと被りながらも鋭い視線を投げかけるオーガポンが居た。

 

「が"お"ぼ"う"っ!!!」

 

低く唸るような声を上げながらモモワロウへの怒りを露わにしている、その怒り、いや憤怒は仮面をしていても分かる程に殺気立っていた。余りの怒りに気圧されたのかモモワロウはその場でへこたれるかのように地面へと落ちる、すると

 

「モモモモモッ~!!!」

 

と甲高い声でまるで子供のように泣きだした。此方の庇護欲を掻き立てるかのような妙な声、このまま聞き続けているとなんだかこのポケモンを守るべきなのでは?という考えが突然湧いてきたがそんな思考をすぐさまラビは捨てた。こいつはこんな事まで出来るのか、と思いながらオーガポンを見ながら言った。

 

「私を手駒にしようとした事は別にどうでもいい事ですし許してあげましょう、些細な事です。防衛本能としては有りです、が―――オーガポンさんを苦しめた事は容認出来ません、欲望の果実、モモワロウ。少々痛い目を見て貰いましょう。世の中には悪意がなければ許される事ばかりではない事を、教えてあげます!!」

「モ、モ、モ、モッ……モ モ ワ ロ ウ!!!!」

 

覚悟を決めたのか、それとも自分は何も悪くないと開き直ったのかは分からないがモモワロウは叫び声を上げながらも自らの殻から出てきて明らかな敵意を剥き出しにしながら此方を睨み付ける。が再びモチを発射して来た、それを見たオーガポンはラビの前へと出ながらも得意技である蔦棍棒でそれを叩き落とした。

 

「オーガポンさん」

「ぽに!!!」

 

もう失うものか、今度は絶対に守り抜くと言わんばかりの頼もしい声を発しながら此方を見据える。握り込んでいたハバタクカミのボールから手を離した、この子のデビュー戦にしようと思ったのだが……そのつもりがあるならば自分はトレーナーとして全力を尽くさなければならない。

 

「分かりました、行きましょうオーガポンさん。共に戦いましょう!!」

「ぽにお~ん!!!」

 

オーガポンはその言葉を待っていたと言わんばかりに笑った。ラビは透かさずスマホロトムの図鑑機能を呼び出してオーガポンの技をチェックする。矢張り分かっていたつもりだが強力な技ばかりを習得している、この機会が来た時の為にバトルの練習などもしていたのだろうか……。

 

「その気があるなら何時でも言ってください、お面チェンジは何時でも行けますよ!!」

「ぽに!!」

 

ゲームでは絶対に出来ないであろうバトル中のお面変更、それすらもする。オーガポンにとって、このバトルこそが必要な一歩なのだ。過去の清算、ケジメを付けることが出来る。このバトルからモモワロウは逃げる事は出来ない。逃がすつもりもない、仮に背中を見せたら……その時は再び悪夢の世界へと堕ちて貰う、そして覚醒させてバトルを再開するだけ。

 

「モゲゲゲ~!!!」

 

モモワロウは殻を開き、そこから無数のシャドーボールを放つ。それがバトルの号砲となる。

 

「さあ行きますよオーガポンさん!!」

「がおっ!!!」

 

無数に打ち出されるシャドーボール、それを掻い潜りながら突撃していくオーガポン。このバトルは唯の戦いではない、未来へと進む為の戦いである。

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