「コ、コットンガード!!」
「雷鳴パンチ!!」
デンリュウはコットンガードで防御を上げようとするが、それよりもずっと早く突き刺さったライチュウの拳。綿はその一撃を全く受け止める事も無く、デンリュウは悶絶しながらも崩れ落ち、殴られた部分を抑えた。
「な、なんて素早い一撃じゃ……今のは、PWCS本選トーナメントでシンオウの四天王であるオーバが使った雷鳴パンチか!?」
「どういう練度なのよ……シローが全然出来ないってムク言ってたよ……!?」
オーバは軽々とやってのけるが、マッハパンチに別のパンチ技を上乗せして放つなんて事は普通は出来ない超が複数はついてしまう高等テクニックなのである。そして、レイブンのライチュウの場合は正確に言えば雷鳴パンチとはいえないパチモン。
「……雷鳴パンチとは言えないなこれ」
「チュウウ」
これは唯の雷パンチだ、メガライチュウが発生させる電磁力で雷パンチをレールガンのように打ち出してるだけ。そもそもライチュウはマッハパンチを覚えないのでそれをやろうとする事自体がおかしいのだが……メガライチュウは格闘能力が著しく上昇するし好戦的な面を見せるので出来るかと思って試したが……雷パンチの射程増強と思えば悪くはないか。
「(しっかし……デンリュウの苦しみ方がエグい……目には目を、電気には電気をって昔なんかのアニメで見たが……)」
これもメガライチュウの発電力、そしてエレキメイカーの電気技威力向上の結果ではあるとは思うが……同じタイプであるデンリュウすらこれ……これは使えるな、個人的にはもう一つのメガシンカの方が扱いやすいと思っていたが……矢張り実戦以上にためになる場はない。
「戻ってデンリュウ……!!マッギョ!!」
「ギョギョギョ!!」
「マッギョか……(もう一つのメガシンカだったら多分これで速攻沈んでたな……)」
メガライチュウには二つのメガシンカがある、今の状態をXメガシンカ、メガライチュウXと仮称し、もう一つをYメガシンカ、メガライチュウYと呼んでいるが……Yの特性はノーガードとなっている。雷や電磁砲と言った低命中技が当たり易くなるとはいえ、逆に一撃必殺技が脅威となる。そうなると相手にも利を与える事になるので立ち回りとしてはXの方がやり易いと言わざるを得ない。
「大地の力ぁ!!」
「ギョギョギョギョオオッ!!!」
「当たるなよ」
「チュウウライッ!!!」
フィールドから隆起爆発するエネルギー、それをエレキフィールドの電気と自身で発生させる電磁力で自らを跳ね上げて空中へと飛び上がるライチュウ。天へは地の理は届かないと言わんばかり、空中に居ればエレキフィールドの恩恵は受けにくいが……それをなしにしてもメガライチュウは空中戦を行える程度の浮遊は行える。
「波乗り!!!」
「ライラアアイッ!!!」
一気に地面に降り立つと地面を殴りつける、すると膨大な水が発生し、その上に乗ったライチュウが一気に迫ってきた。カナリィはライチュウが平然と波乗りを使うという事実に言葉を失うが、即座にマッギョに守るの指示を出す。地面タイプでもあるマッギョにとって波乗りは致命傷になりかねない。自身の足も水に濡れる中でマッギョが無事な事にホッとしていると―――マッギョへと、まるで砲弾のように迫りながらも蹴り込んで来るライチュウの姿が目に映る。今度は自らを砲弾のように打ち出して、その勢いを蹴りに加えている。
「ギョギョギョォォォッ……!!!??」
「マッマッギョ!!!?」
「戦闘不能だ」
マッギョも蹂躙され、全く歯が立たない事実に身体が震え始めている。これまでの自分の快進撃とは一体何だったんだと言いたくなるような状況じゃないか。強いなんてもんじゃない、この相手は……一体、僕を、僕を何処から見ているんだ……!!?
「デ、デデンネェッ!!!」「デデチテ~!!!」
デデンネは目の前のメガライチュウの迫力に怯みながらも頬を叩くように擦って電気を作って自分を鼓舞して負けないぞ!!と意思を示している、良い育て方をしている。だが
「怒りの前歯!!!」
「デデデデンェ~!!!」
「影分身」
「「「「「「チュウッ!!!」」」」」
一瞬でデデンネを覆い尽くす程の数へと分身してしまうライチュウの姿にデデンネは言葉を失うように辺りを見回す。どれを攻撃すればいいのかと言わんばかりに戸惑いを隠せていない。だがそれはカナリィとて同じ。どの分身からも本物と同じ迫力を感じる、敵意と殺気を纏っている物だけが本体という影分身の本物当てのセオリーが通用しない。
「メガトンパンチ!!」
「チュウァアアアアラアアアアイッ!!!」
「デ―――」
一斉飛び出して来る影分身、それらがすべてメガトンパンチを繰り出そうとして来ている。それに恐怖を覚えたのか、身を守ろうと身体を丸めてしまったデデンネを強襲するように真正面のライチュウがデデンネを殴り飛ばしてしまった。たった一撃で戦闘不能になるデデンネを見て、カナリィはボールに戻しながらも身体を抱きしめた。震えている身体を支えるように。
「カ、カナリィ……!!」
思わずタラゴンが前に出て孫娘を鼓舞しようとした時―――カナリィは大声を上げて笑った。
「アハハハハハッ!!!アハハハハハハハッ!!!良いじゃん良いんじゃない!!?ゲームもバトルも高難易度だからこそ燃えるってもんじゃない!!?高ければ高い程に滾る、それがトレーナーだよ、爺ちゃん何してんの応援してよ!!爺ちゃんはいつも僕に元気くれんじゃん!!」
マスクを外し、マスクを完全にしまったカナリィを見るのは本当に久しぶりだった。食事中とか就寝時は外すが……こういう場で完全に外すのは本当に久しぶりに見る。
「応任せとけ!!ワシの応援さえありゃ百人力じゃからな!!D・G・4!!D・G・4!!!」
「レイブンさん、お礼言っとくよ。こっからが僕の本当の本気さ!!!」
「来いよカナリィ、メガライチュウを越えてみせな!!!」
その答えに笑うとポーチに入れていたエナジードリンクを開けて一息に飲み干した、これで自分もエネルギー補給完了だと言わんばかりに缶を投げ捨てる。それと同時に繰り出したのはシビルドン―――だが、胸元にメガストーンを装着している。つまり……
「エナドリ全開!!シビルドン、メガシンカ全開で勝つぞ!!!」
「ビイイイイイルドオオオ!!!!」