週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイZA:疑惑の二人。

「ふぁぁぁぁぁ……よく寝た、なのです」

「此処だけにしときなさいよそういうの、帰ってからもそういうの言ったらカルネさんから文句言われるの多分俺なんだから」

「は~いなのです」

「いつもながら返事は完璧なんだから全くもう」

 

前日のあれこれもあって眠りが深く起きるの遅くなった二人、下へと降りてみるとデウロがエントランスのいすに腰掛けながらもお茶を楽しんでいた。

 

「あっ二人ともおはよう~」

「おはよう御座いますなのです」

「おはようさん、ピュールは?」

「裁縫の仕事で徹夜してたんだって、だから暫く起こさないでくれですって」

「裁縫も大変そうな仕事だからな……ンで、バカみたいに外がうるせぇのは?」

 

ホテルZの入り口近くでは酷く騒がしい、と同時にポケモンの賑やかな声が聞こえて来る。十中八九バトルをしているのが分かるのだが……。

 

「いまキョウヤとセイカがガイとタウニーとバトルしてるの。キョウヤとセイカにガイのポケモン達懐いちゃったんだってさ」

「ポケモンって……ポカブとワニノコ?ちーちゃんみたいに懐いちゃったのです?」

「逆にそれってガイの奴、どういう扱いしてたのか疑問なんだが……」

「あははは……ちゃんとお世話してたはずなんだけどね……」

 

デウロ曰く、ガイは平均以上とも言えるお世話をしていたらしいのだがポカブはセイカに、ワニノコはキョウヤに懐いてしまったとの事。しかしそれはそれでガイの手持ちとか大丈夫なんだろうか……?

 

「そこは大丈夫、ガイはガイで元々の相棒はラクライだから。ついでにタウニーはミミロルね」

「ラクライなのか……つうか、ホテル前でバトルするとか一見さんお断りと言ってるようなもんじゃね?」

「……まあ他でやる場所がないと言いますか……」

「もう素直にバトルコート行けよ」

 

こういうツッコミは野暮なのだろうか……自分は存外効率厨な所がある、どうせやるなら効率的に片づけたい、時間は有効に活用したいという思いがある。仕事を早めに切り上げるのは好きだが、まだ仕事上がりには早くて手持ち無沙汰になっているのはどうにもさぼっている気分になるし……治した方が良いかもしれないな、と思いながらも外に出てみるとポカブを抱き上げて笑っているセイカとワニノコを一心に愛でているキョウヤの姿があった。

 

「おうおう朝っぱら元気な事で何よりで」

「あっおはよう、悪い煩かったか?」

「実に賑やかな結構な事で御座いますな、ホテル前でどんちゃん騒ぎとは穴場を見つけたと思った観光客も遠ざかっていく事でしょうなぁ」

「う"っ……そ、それを乗り越えたお客にこそ来てほしいんだ俺はぁ!!」

「お客のえり好みが出来る立場だと思ってんのガイ……」

 

「キョウヤお兄さんとセイカお姉ちゃんもポケモン大好きなのですね」

「えっああいやその、まあ当然というか……」

「そ、そうそうこんなに可愛いんだから可愛がるのも当然って言うか……」

 

ガイがタウニーから軽い説教を受けている間にアンシャはチコリータをだしながらも二人に話しかける、のだが二人の反応は妙に鈍いように感じられる。単純にポケモンを愛でる事が恥ずかしいと思っているのか……そんな事考える人間など、これまで仕事一本だけに従事してきました、という人でも中々居ない。

 

「あっそうだ、折角ですのでアンのちーちゃんとバトルしませんか?」

「バ、バトルを、かい?」

「キョウヤ、アンちゃんを侮ってたら怪我するぜ。二人は参加したばっかだろうけど、アンちゃんは既にZAロワイヤルでWランクになってる実力者なんだぜ」

「W!?って、Zから幾つ上だっけ!?」

「え、えっと……ABCDEF―――」

「いやそっから数えんのかい……いや気持ちは分かるけどさ」

 

そして、その実力を鑑みてキョウヤとセイカ対アンという構図になった。構図こそ不思議なものだあ、戦うポケモンを見たらBWのスタート時を思い起こさせるものでレイブンは思わず口角を持ちあげてしまった。

 

「ワニノコ水鉄砲!!」「ポカブ火の粉!!」

「ワ~ニャアアアアア!!!」「ポカッブウウウウ!!!」

「ちーちゃん蔓の鞭でジャンプ!!ワニノコに葉っぱカッターなのです!!」

「チコッ!!!チイイコッ!!!」

「ワニャニャニャニャ!!!?」

「ポカブ、ワニノコを助けて!!」

「ポカ、ブウウウウッ!!」

 

アンは同時に攻撃されながらもまず何をするかをよく理解している。チコリータにとって相性有利であるワニノコに集中攻撃を行って数的有利の消滅を狙う、既にワニノコには大きなダメージを与えている。そしてそこへ割り込んで火の粉を発射して来るポカブ、それを回避しながらもチコリータは大きな声を上げた。

 

「チコオオオオッ!!チコオオオオオッチコオオオッ!!!」

「な、なんだなんだ!!?」

「地面が揺れてる‥‥…!?」

 

キョウヤとセイカは思わず地震の存在が脳裏をよぎったが、レイブンは即座にチコリータが何の技を繰り出そうとしているかを見抜いてアンに教えてあげる事にした。

 

「アン、どうやらチコリータは原始の力が使えるらしいぞ。許可を出してやりな」

「原始の力、凄いのですちーちゃん岩タイプの技も使えるのです!?よ~し原始の力、なのです!!」

「チイイイイコオオオオオッ!!!」

 

地面からチリや石などが浮き上がるとそこへチコリータから溢れたエネルギーが蒸着されていく、それが何度も繰り返されて無数のエネルギー弾が形成され、チコリータはそれを発射した。ポカブは慌てながらもダメージを負っているワニノコを守る!!と言わんばかりに火の粉を発射するのだが岩タイプの原始の力を打ち消す事は出来ずにまともに受けて吹き飛ばされてしまう。

 

「ああっポカブ!!」

「ちーちゃん、トドメの体当たりなのです!!蔓の鞭で一気に加速なのです!!」

「チイイコオオオッ!!!」

 

蔓の鞭で地面を叩いて加速しての体当たりでワニノコを吹き飛ばしてポカブへとぶつけてしまうと二匹は揃って目を回して倒れ込んでしまった。

 

「ワニノコ!!?」「ああっポカブッ!!?」

「やったのですちーちゃん!!」「チコッ!!」

「「……ッ」」

 

戦闘不能になった二匹を抱きかかえながらもちゃんと意識があり、負けちゃった~と言いたげな相棒を見て、どこか辛そうな顔をする二人にレイブンは瞳を鋭くした。相棒に対して上手く指示を与えてやれてやる事が出来なかった、という類のものではない気がする……ほんの一瞬だが、何かしらへの嫌悪感を出しそうになった自分を必死に抑えていたかのようなものだった。

 

「二人とも、まずはポケモンセンターに行こうぜ。ワニノコ達を元気にしてやる為にも、これからのZAロワイヤルを勝ち抜く為に仲間を増やす為にもまずはポケモンセンターだ」

「あ、ああ分かった」

「うん、ハァッ駄目だなぁ私……ちゃんと指示出してあげられなかったなぁ……」

「んな事言ったら俺もだ……はぁ……凹むなぁ」

「まあまあ、アンちゃんは既にZAロワイヤルで馴らしてるからね、気にする事ないって」

 

そんな風に慰められながらもガイとタウニーに連れられてキョウヤとセイカはポケモンセンターへと向かっていく。そんな様子を見ながらもレイブンはアンに尋ねてみる。

 

「あの二人、どう思う?」

「なんて言うか、不思議な感じなのです。ポケモンの事が大好き、っていうよりも大事にしてて、バトルするのも好きなのに嫌いな自分がいるって感じがするのです。さっきもなんか……そんな感じしたのです」

「……同感だ」

 

あれは、明確なバトルへの嫌悪感だ。いや、克服したはずのそれが一瞬顔を出しそうになった自分への嫌悪感、ポケモンへの想いは本物だと思う……それを見て、レイブンはある集団を連想せずにいられなかった。

 

「……あいつら、プラズマ団と近しい関係なのか……?」

 

それは、嘗て自分が意図せずに野望を崩壊させた集団の名前。ポケモンの解放を願った団体の名。仮にそうだとしたら、何故このミアレに来たのかを……問う必要がある。

 

「なんにしても……今のミアレシティは色んな意味で引き寄せるなぁ……」

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