「……もうちょいなかったん?」
「そんなに駄目か、これ……?」
「ダメというよりか……強いて言えばメガリザードンXが凄い好きなのか、それともアランさんを推しているかの二択……だと思います」
「もうアランのファンのアランです、でいいんじゃねぇの。偽名名乗って反応遅れて正体バレましたより楽な気がする」
「複雑すぎるんだが……」
取り敢えず荷物を置いたアランを部屋へと招いたのだが、改めて見てもこれが変装と言えるのかはかなり微妙なラインな気がしてならない。というかアランの普段着だってメガリザードンを意識しているようなものだし、アランの別衣装ですと言ったら普通に通じてしまう気がする。
「マノンも似合っていると言ってくれたんだが……」
「惚気?」
「違うわ!!?」
いや確実に惚気だな、というかあくまで似合っているというだけで変装になっているかは別問題であることは理解していないだろう……アランは天然な所があるし……こうなると下手に見た目を変えるよりも貫き通した方が楽だろう。
「という訳でアラン、お前はPWCS本選トーナメントで活躍したメガリザードン使いのアランと同じ名前で、折角だから同じ風に目指してやろうと思っているアラン君という設定でいく」
「なんだその面倒臭そうな設定は……」
「だって、今更取り繕った所で変えられないでしょ。お前、ホテルの名簿にアランって名前で記入してたから俺そういう方向性なのかなって思ったんだが」
「……しまった!!?」
「ラビさん、大丈夫なんでしょうか」
「多分手遅れ」
バトルに関しては極めて鼻が利く上に機転も利く凄いトレーナーなのだが……こういう所は妙に人間味がある。余りにも凡ミス過ぎるが……そこはア乱太郎にしておくみたいな面白いのを見せて欲しかった。
「それかもう開き直って変装云々全部無しで完全な囮として機能して貰うとか」
「もうそっちの方が俺としては気楽な気がするな……寧ろ調査の効率とかを考えるとネームバリューを活かした方が楽な場合があるだろうからそうしよう」
それはそれでいいとは思うが、アランの負担もかなり増える事になるような気もするのが問題だ。いざという時には動いてもらう必要があるのに、余計な事で疲労されても困るのだが……。
「俺を誰だと思っている?最強のメガシンカ使いを目指す男だ、メガシンカポケモンとのバトルやメガストーン及びキーストーンの原石の採取に各地方を飛び回っているんだ。体力にはそれなりの自信がある」
「いやそれは分かってんだけどさ……この街、すげぇ面倒臭いのがいるぞ」
「知ってるさ、ユカリ嬢だろう?」
何だ知っていたのかと言いたかったが、アランは妙に疲れている顔をしている。これはもしかして……と尋ねてみるとダンデの所に招待状が来たように彼の元にも招待状が来ていたらしい。当時は普通にメガシンカ関係の仕事をしていたので断ったのだが、そこにメイドを寄こして状況の確認をして、納得して帰っていったのだが……これにはアランはやばい奴に目を付けられたと溜息を吐いてしまった。
「こう言っちゃなんだが、そのお嬢様の目の前に飛び出すようなもんだろ」
「だな……だが、俺に出来る事ならば少しでもやりたい気分なんだ……俺にとって、これは贖罪の一つだからな」
「……贖罪ね……それが誰の為なのかは敢て聞かないでおくが、タイミングだけは考えておけよ。クエーサー社に話を通しつつ発表のタイミングを考えた方が良い」
「ああ、分かってる。一先ずは今のミアレがどんな風になっているかを感じておきたいと思っている。俺の知っているミアレとはかなり変わっている印象がある」
「それについては同意見」
兎も角、荒事担当とも言えるアランが来てくれたのは色々と有難い。アンシャの事を踏まえると後一人ぐらいはいてくれた方が良かった。
「暴走メガシンカについてはどのぐらい知ってる?」
「実の所、俺もよく分からない事ばかりだ。他地方でメガシンカについて調べながらも暴走メガシンカについても調査したが……報告されているのは極めて少数だ、それこそ偶然メガストーンを持っていた野生ポケモンがメガシンカ同士でバトルしていたトレーナーらの熱気と周囲に発散されていたエネルギーを受けてメガシンカを果たした、という事例しかなかった。だがこれは暴走とは言えないレベルで収束している」
「ってなると、やっぱりこのカロス地方、もっと言えばミアレシティに秘密があるって事だな……あの事件が尾を引いていると思うと何とも複雑な気分になるな……」
「……全くだ」
そしてもう一つの問題がある、こればっかりは確りとアランに確認しておかないとマズい。
「フレア団、その残党がこの街にいると思うか?」
「……確実にいる、というよりもだ……ポケモン研究所の所長代理が元フレア団だ」
「えっ!?モミジさんそうなのです!!?」「マジで!!?」
「……博士、言ってなかったのか……」
あの人フレア団だったの!?と思わずラビも驚愕する、が此処であることを思い出した、彼女の席にあったバイザーのような物があってなんか見覚えがあったような気がしたのだが……此処で漸く思い出した、そうだフレア団に顔こそバイザーに隠れていたが、女性の幹部がいた!!確か名前は……モミジ!!完全に忘れていた、何で思い出せなかった……と言いたいが、XYのあれこれの大体がメガガルーラとファイアローに持ってかれてるのである。
「あの人、それで市長からよく思われてなくて予算関係とかで苦労してたのか……いやだとしてもあの扱いは確実に可笑しいけど……」
「矢張り苦労してるんだな……まあ今は真面目にやってるから妙な目は勘弁してやってくれ」
「あっはいなのです、今度チョコクロワッサン持ってあげる約束してるのです」
アランが合流しながらも判明した情報に頭を抱えてしまう、本当に大丈夫なのだろうか……。