「ようこそおいで下さいましたレイブン殿、アン殿。此処が我がジャスティスの会のトレーニングエリアです」
アランとの邂逅後、改めて外を出る事になったのだが、取り敢えずタウニーにはメガリザードン使いのアランのファンボーイのアラン、という事にしておいた。タウニーも流石にあのアランさんじゃないか~とですよね~的な反応をしていた。当人は酷く複雑そうな顔をしていたが、まあ当人だと発表するまでだから我慢して貰おう。そして、アランも連れてジャスティスの会の本部とも言うべきトレーニングエリアへとやって来た。
「……今のミアレにはこういうのが流行っているのか」
「流行ってるっつうか出来たというか……」
「ああいや、ワイルドゾーン云々については理解しているつもりだ」
改めてアランには今のミアレの状況について説明を行ったが、溜息交じりに聞いていた。勿論それはミアレが新たな問題を抱えたというのもあるが……ワイルドゾーンを使った商魂の逞しさにも向けられていたが……その原因を作ってしまったフレア団に関与していた自分にそんな事を言う資格などはない……と顔を曇らせてしまった。
「それではアン殿、数日の体験入会を始めさせて頂きます」
「よ、宜しくお願いします!!」
「此方こそ、ではまず……コタネ!!お相手をして差し上げてください」
「はい承知いたしました!!」
シローに指名されたコタネという少女はバトルコート内に入りながらもアンと向き直る。案もそれを見ながらもトレーナーズサークルへと入る。
「ジャスティスの会は礼儀も重点に置かれております、バトルの前と終わりには挨拶を」
「はい、よろしくお願いいたしますなのです!!」
「宜しくお願い致します!!オリャアアアア!!!」
「ッ!?ヤ、ヤッ~!!!!」
「何故叫ぶんだ……?」
「気合いじゃね?」
とコタネがボールを投げながらも叫ぶので、アンもやるべきなのかと思って真似て叫んだ。ワンリキーとアシマリのバトルが始まる中でシローはそれを見つめながらも腕を組んで隣に立った。
「矢張りというべきか、アン殿は純粋にトレーナー戦への経験がないのですね。自身の中にあるタクティクスと実戦で得るべきテクニックのバランスが極めて乖離している。それは成長の余地という意味合いでは悪い事ではありませんが……どのような環境におられたので?」
「まあうん……色々とな」
「加えて、ポケモンの能力への理解がややお粗末ですな」
「耳がいてぇな……」
こればっかりは自分の庭であれこれと世話を焼いてしまっていた弊害が出ていると言わざるを得ない。アンシャの相手をしていたのは基本的に自分のポケモン達、偶に自分が相手をする事もあったがそれ以外だと母親であるカルネ、そしてダイケンキやムーランドと言ったトレーナーの代理を行えるポケモン達だった。つまり、アンシャは野生のポケモンとのバトルに最適化されているに近い状態という事になる。
「爆裂パンチィ!!」「ムーンパンチなのです!!」
「リッキイイイイイッ!!!」「しゃっまあああああ!!!」
ワンリキーとアシマリの一撃が激突して爆発を引き起こしながらもお互いが吹き飛ばされていく。ワンリキーは受け身を取りながらも立ち上がるのだが、目の前にはバブル光線の壁が展開されていた。咄嗟に防御を固めるが、バブル光線は容赦なく抉って来る。
「矢張りというべきか、アン殿のバトルは野生のポケモンのそれに近いですな……決まった型はありますが、それに囚われ過ぎないのです」
「どういう事だ?」
「例えば……ムンッ!!」
シローは周囲を確認し、誰もいない事を確認してから正拳中段突きを放った。当人曰くジャスティスパンチだが、それを見せてから説明を再開する。
「ご覧になりましたね?」
「いやなったが……」
「この動作全てが一つの技、流れというのはご理解出来たと思います。これが1とします、アン殿の場合はそれを分解するのです。まず立ち方、肩幅、腕の構え、どのような力加減、それらを総合して10段階に分けるとしましょう。そして彼女はそれをその途中で改変や新たな動きを取り入れたり、その場に適した動きにして放つ。ハッキリ言いますとこれはPWCSの本選トーナメントに臨むようなハイパーボールクラスの方々が行う物です、まだ幼き身でありながらあれ程の事が出来るとは……逸材ですな!!」
そう言われてレイブンは顔を思いっきり逸らしたくなってきた。完全に自分達のせいじゃねぇか……。
「だからこそ相手が同じ領域でバトルをするのであれば高い対応力こそ見せますが、そのままの1で行う相手にはやや深読みをなさる事がありますね。その領域に立つ者であれば理解出来るために対応出来る事が彼女には出来ないのです」
「だからこそ、基礎が意味を成すと?」
「ええ、基礎を学ばずに応用ばかりを学んでしまっているような物です。基礎とそれを扱う者とのバトルを繰り返すだけで彼女は大きく成長しますよ」
爽やかに笑うシローにレイブンは肩を竦めるしかなかった。アンシャの為と思って色々教えたつもりだったが……習うより慣れよ、か……彼女に必要だったのは慣れだったんだろうなぁ……。
「はぁ……なんていうか、兄馬鹿っつうか余計な世話を焼いたっつうか……」
「お前なりに思っての事だったんだろ、あの子がそれを迷惑がってると思ってるのか?」
「でなくても滑稽だよ、ああ実に……滑稽だ……つうかシロー、お前そういう指導できるんだな」
「これでも指導は基本自分がしておりますからね!!フォローという名の変更も多いですが」