週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイキタカミ:トラベラーベア

「ぽに!!」

 

出発の準備をしているとオーガポンが手伝いをしてくれた、それに感謝しているがどうにもオーガポンは唯手伝いをしたいからやっている、という風には思えない。これから自分達は二チームに分かれて出発するのだが……オーガポンを如何するか……と考えている時に彼女がラビへと近づいて笑顔になった。

 

「もしかして、オーガポンってラビさんと一緒に行きたいんじゃないですか?」

「あ~かもね……そう言えばなんだかんだで俺たちの中だとオーガポンに真っ先に会った上に林檎飴とか上げたりして仲良くしてたもんな……」

「ぽに!!」

 

オーガポンの心情を察するアオイとハルト。それにともっこに襲われている時に現れてバトルまでしたという、懐くのは当然の帰結なのだろう……。

 

「じゃあさじゃあさ、ラビさんにパルデアに連れて行って貰うってのは如何!?ほら、此処だとまだともっこを信じてる人の方が圧倒的じゃない?そんな所だとオーガポンは安心できないと思うのよね、かと言ってブルーベリー学園に連れて行くのもあれな気もするのよね……」

 

ゼイユはそれが良いと思っている。学園でも良いかもしれないが、彼方は彼方で珍しいポケモンであるオーガポンが好奇の目に晒されてしまう恐れがある。自分としてはもうオーガポンには穏やかで静かな生き方をしてほしいと思っている、だがゼイユは少しだけ心配そうな顔をして弟の方を見た。鬼に憧れて好きだというスグリは自分の案に賛成してくれるだろうか……と不安があった。スグリは静かにオーガポンの前に膝をつくと少しだけ笑った。

 

「―――俺、鬼様さと離れたくない。折角友達になれたんだから一緒が良い」

「ス、スグ……」

 

や、やっぱりそうだよね。スグリにとってオーガポンは大切な存在だもんね……と如何した物かと困ってしまっているとスグリはそのまま言葉をつづけた。

 

「でも、俺は鬼様には幸せになって欲しい。ラビさんならきっとしてくれるって思う、鬼様……は、離れても……友達でいて、くれる……?」

「ぽに?ぽ~に!!」

 

オーガポンは笑いながら抱き着いた、何当たり前な事を言っているんだと言わんばかりの抱擁に嬉しくなって抱きしめ直した。そしてスグリは言った。

 

「ラビさん、俺絶対パルデアに行くからその時にはまた鬼様と会わせてください。その時は俺と一緒に強くなったグライガーともバトルしてください」

「楽しみにさせて貰いますよ、その時が来るのを」

 

二重の再会の約束が成される、二人はがっちりと握手を結んだ瞬間をサザレは逃す事無くシャッターを切った。本当にいい絵になっている、そんなオーガポンに向けてボールを出した。だが手の上に乗せているだけ。

 

「ぽに!!」

 

オーガポンは自分からボールへとハイタッチをするように触れるとボールの中へと入っていった。ボールは揺れる事もなくすぐさまポォンッ!!という音を立てた。

 

「これから宜しくお願いしますねオーガポン」

 

そんな言葉を掛けるとボールはカタカタッと揺れた。直ぐにボールから出して改めて挨拶をする、オーガポンも嬉し気に頷いている姿にスグリは少しだけ拳を握るが、直ぐに解いて笑っていた。そんな弟に姉は何処か心配そうな顔を向けてしまった。

 

「スグ、アンタ本当に良かったの……?ああいや、別にアンタの決断をバカにしてるとかじゃなくて……あんなに鬼様の事好きって言ってたじゃん」

「……うん。でも俺、ラビさんと一緒に行動してて、あの人の凄い所を見たし鬼様の嬉しそうな所もいっぱい見た。鬼様が幸せならそれでいいんだ、それにもう会えない訳じゃないし」

「強がっちゃってさ、生意気だよアンタ」

 

そう言いながらも頭を押してくるゼイユだが、そこに力はなく優しさに溢れていた。また、弟が大人への一歩を踏み出したという事だ……姉として嬉しくありながらも寂しいなぁ……と思う。

 

「さてと、それじゃあ皆出発しようか。皆も課題しないと大変だしね」

 

サザレの言葉に従って北にあるとこしえの森へと向かって行く。サザレが発見したバスラオのその付近に生息しているし近くの川にもいるとの事なのでアオイたちはそこで生態調査をしながら捜索をする事にした。そしてラビとサザレは―――森へと入っていった。

 

「さてと……森に入ったはいいけどさ。これからどうする?」

「当然こいつを吹くしかねぇだろ」

「ぽに?」

 

森の中は薄暗い上に所々には霧が出ている。ただでさえ暗い森の中を霧が闊歩し更に不気味な印象を植え付ける中でラビは平然としながらも懐からカミナギの笛を取り出した。オーガポンはまるで懐かしい物を見るかのような、興味津々と言いたげにそれを見ている。

 

「これはカミナギの笛って言ってね、サザレのご先祖様が使ってた笛なんだって。なんか見た事あるのかい?」

「ぽに!!」

「知ってるっぽいね……オーガポンも昔に見た事があるのかな?」

「その可能性はあるな」

 

兎も角、これを吹いてみるしかない。赫月のガチグマがもしも、もしもあのライドポケモンのガチグマであるならばこの笛の音色に反応してくれるはず……左手を笛の下にし、立てるように持ちながら右手を添える。そして最初は少し強めに吹く。周囲に木霊する笛の音色……それを聞いてウインディとガーディが飛び出してきた。

 

「ぐふぅん!!」

「ぐふん!!」

「あらら、なんかこの子達が出ちゃった」

 

その音色はヒスイのポケモンにとっては聞き馴染みがある、という事が刻まれているのかもしれない。自然と身体がその音色に反応したのだろう……。もう一度、吹く……今度は先程よりも大きいがずっと澄んだ美しい音を奏でられたと思う。その音色が森へと響いていく中、霧が更に濃くなり始めていく。そして―――

 

「これって、足音……?大きい」

 

徐々に近づいてくる重々しい足音、何かが来ると全員が警戒を示す中でラビだけは静かに構えながら三度笛を吹いた。そして彼がゆっくりと目を開けた時、それは現れたのだ。

 

リングマを連想するがそれ以上に巨大化した体躯に額に浮き出ている赤い満月のような模様、上半身を覆っている泥は顔の左半分をも覆い尽くしている。露出した右目と泥に覆われている左目を持ったポケモン……そう、これこそがサザレが追い求めていた赫月ガチグマ。

 

「ワギイイイィィ」

「これが赫月ガチグマ!!」

「ぐふぅん!!」「ぐふん!!」

「ギィィッ?」

「ぽに!!」

「ギィィィ」

 

ガチグマは目の前にヒスイウインディとガーディがいる事に困惑しているようにも見えるし、オーガポンを見てどう判断するべきか困っているようにも見える。そんなガチグマはラビが持っている笛、そしてサザレを見て思わず目を大きくした。

 

「ギ、ギィィッ……」

「サザレ、写真を撮るならフラッシュは焚くなよ?」

「あっうんそうだよね、ビックリさせちゃうもんね……」

 

サザレは早速カメラをチェックしてから写真を撮り始めた、ガチグマはサザレに目を引かれていた。彼女には見覚えがあるように、いや面影を追いかけているようだった。そしてラビの笛を見つめていた。

 

「ガチグマ、貴方に会いたかった。ヒスイの時代からよくぞこの時代にまで……」

「ワギャ……ギィィィッ……」

 

まるで老人が懐かしい言葉を聞いたかのように空を見上げるガチグマ。ヒスイという言葉すら聞かなくなって久しい、時代が大きく進んで仲間とも会えなくなった。先祖返りという形でバスラオが昔の姿で生まれて来る事もあったが……ガーディとウインディに会えるとは思いもしなかった。

 

「ガチグマ、如何でしょうか私と共に来ませんか。此処にいるサザレはコンゴウ団のリーダーであったセキさんの子孫……私もヒスイを少なからず知る者です」

「……」

「ぽにっ!!ぽにぽにに」

 

迷っているガチグマにオーガポンが近寄っていく。ガチグマは攻撃する気配はなく彼女の言葉に耳を傾けている。楽し気で嬉しそうなオーガポンの様子にガチグマは身体を下ろして四足歩行へとなりながらもゆっくりとラビへと近づいていった。そして

 

「ワギアァァァ」

 

ゆっくりと頭を下げた、その行為を受け取ってラビはボールをガチグマの額へと押し当てた。ガチグマはボールへと収まってゲットされた。

 

「ガチグマ……ゲットだぜ」

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