「改めまして、アン様のランクアップが正式に承認されました。これアン様は上位ランカーのFランクに認定されました、おめでとう御座います」
「ムフン!!」
胸を張ってドヤ顔をするアン、これも確りと送らなければいけないのだろうか……でも最近マネージャーから一旦こっちに回してくれないかという連絡があった。理由はカルネがミアレシティで奮闘する娘の姿を見て鼻血を出したり、尊み過剰摂取で気絶する事が多発しており、スケジュールに影響が与えそうで怖いかららしい。本当にあの人は……。
「そして、これからはランクFの上位ランカーとして、とある事についてお声がけをさせて頂く事がある事をご了承ください」
「とある、事なのです?」
「はい、そしてそれはラビ様、いえ失礼致しました。レイブン様にも深く関わる事でもあります」
以前と同じ応接室で他に気を遣う必要もない為かガンガンと踏み込んで来るマスカットにレイブンも姿勢を正しながらも確りと応対する事にする。
「ああもういい、こっからは隠し事は無しで行こう。改めてラビだ、こっちはアンシャでいい。この場においてはって事な」
「承知しております。そしてラビ様には此方をご用意させて頂きました」
そう言いながらもマスカットは懐から何やら金属製のケースを取り出してラビへと差しだした。それを開けてみると……そこには何やら特別のトレーナーカードのようなものが入っており、そこにはレイブンの名前が刻まれている。
「そちらはZAロワイヤル参加者の個人パスに御座います、本来はアプリで完結しておりますが、希望者にはこのようにトレーナーズカードのようなパスにしてお渡しする事も出来るのです。ランクの方もご覧ください」
「……んんっ?」
思わず変な声を出してしまった、何故ならばランクの欄に刻まれているランクは特例最上位ランカー:
「特例最上位ランカー……?」
「はい、世界チャンピオンでもあられますラビ様は既にAランクとしても可笑しくはないのですが、そうなりますとZAロワイヤルそのものが崩壊致します。それを避ける為の枠組み、特例の最上位ランカーとしての枠組みをご用意致しました」
「だからって既にSランクがあるのにSSSを使うのってどうなのよ」
「特別なランクと言ったらその位かEX位しか思いつきませんでして……しかし社長がそちらの方が特別感があるという事で……」
「さいですか」
まあそれにはある意味で納得ではあるのだが……
「そもそもこのZAロワイヤルは暴走メガシンカを行うポケモンを確保、収容、保護を目的としたプロジェクトの要である暴走メガシンカに対抗可能なトレーナーを探し出す為の物なのです」
その三単語をメインに据えるのはやめろ、とラビは言いたくなったが話の腰を折る訳にも行かないので黙っておいた。
「暴走メガシンカ……お母様からお聞きした事があるのです、カロスの各地で見られたことがある野生ポケモンがトレーナーもキーストーンもなしでメガシンカしちゃうって事件なのです」
「その通りです。我々は2年前から調査を行っておりましたが……半年前からその発生がミアレシティ近郊に集中し始めたのです。その時はAZ様とそのパートナーであるフラエッテが対応して下さったのですが……」
「AZさんって……ホテルZのAZさんなのです!?」
「はい、そのAZ様です」
曰く、2年前にAZが街の異変を察知してクエーサー社に直接乗り込んで来て調査を進言したとの事、その時も対応したのはマスカットだったが、3mはある老人から見下ろされながらで怖かったがその迫力故に狂言と一蹴せずに調査を行ったとの事。
「その調査の結果として、ミアレシティを中心としてカロス全域にメガエネルギーというメガシンカを促すエネルギーが揺蕩っている事が判明しました。ですが次第にメガエネルギーはカロス全域から観測出来なくなり、ミアレ近郊でのみ観測されるようになったのです」
それに関しては恐らくゲッコウガとプニちゃん関連なのだろうな……ゼルネアスとイベルタルと協力してあの植物を完全封印したあれが関係しているのだろうが……そうなると問題はミアレシティそのものなのか。
「話を戻しますが半年前の一件ではAZ様は既に気力的に長期戦をこなせなくなっており徐々に押し込れていたのですが……ホテルZの従業員であるガイ様とタウニー様が助けに入ったのです」
「えっまたホテルZなのです?」
「図らずに騒動の中心市に近い所に宿泊してたのか俺ら……」
「お二人はフラエッテと協力して暴走メガシンカを鎮圧、そこでミアレに迫る危機を目の当たりにし、MZ団を結成し、暴走メガシンカに関する情報収集を行いながらも力をつける為にZAロワイヤルへと参加していらっしゃったのです」
そういう事だったのか……あの二人は妙にAZに懐いているというか、恩義を感じている風ではあったが、それもあってAZの代わりに戦っているという訳なのか。
「しかしそうなると俺のSSSってのは何なんだ」
「文字通りの世界最強のトレーナーであるラビ様には暴走メガシンカに対する最後の抑止力となって頂きたいと思ってその特例最上位ランカーについていただきたいのです」
「そう言う事か……つまり、暴走メガシンカが出たら俺にも現場に出ろ、と?」
「可能でありますならば……」
一瞬チラリとマスカットはアンシャを見た、この特例のランクアップは本当は暴走メガシンカに対抗できるトレーナーに送られるある種の令状に近い何かなのだろうが、流石に小さい子供にそれを強制するようなことはなかったようで安心した。
「……分かった、俺なんかでいいなら引き受けようじゃないか。だけどあくまでレイブンとしてって事は忘れないでくれ。俺として出ると面倒事が多すぎる」
「承知いたしました、心より感謝を……」
「あたくしも出来る限りのお手伝いするのです!!」
「既にアラン様には此方のお話は通しております、どのタイミングで発表するかはもう少し時を見ようかと思っております」
アランも含めて二枚看板っという訳か……アランにも特例最上位ランカーとしての称号が与えられるらしい。まあそれが妥当という所だろうか……。
「ああそうだ」
「何かあるのです?」
「ラ、ラビさんサイン頂けませんか!!?ぜ、是非娘と妻の分も!!!」
「……まあいいけど、そんなにサイン書いた事ないから不格好でも勘弁してくれよ」
「やっぱり大人気なのです」
「やめてくれ」