「家宝にします!!」
「するなするな……せめて急に金が必要になったら売っちまう程度のランクにしといてくれ……」
基本的にラビはイラストにサインは入れない、入れてもいいのだがそれはそれで折角描いた絵を邪魔する気がして嫌なのである。ネットに上げる場合には一応入れているが……それでも無断転載や盗用などの話題は尽きない、だから入れろとは言われる事は多い。が問題はない、そういう事をした奴らは全員訴えている。和解の申し出も絶えないが、全部断っている。
「ンで現状俺達は如何するべきとかあるのか?」
「いえ、暴走メガシンカが発生した場合にはこちらからご連絡を入れさせて頂きますのでそれまではZAロワイヤルに参加するなり、お好きにお過ごしください。と言っても可能であればレイブン様とアン様に頼るのは最終手段にしたいと思っておりますが……」
「MZ団は暴走メガシンカに対して頼りになるのか?こう言っちゃなんだが、少なくともガイがメガシンカに対抗できるトレーナーなのかいまいちな気もするんだが……」
タウニーの方はまだ分からないが、一先ず兄のガイの方のポケモンのレベルは申し訳ないがそこまで高いとは言えない、というかぶっちゃけ低い部類に入ってしまう。
「確かに現在ガイ様とタウニーのランクは初期ランクにほど近いです、が、彼らのAZ様への恩義の気持ちは紛れもない真実、それを糧にして理想の自分を真実へとするのも遠くないと思っております……それに、実力たり得たと判断すれば特例ランクアップの候補者に入れるつもりですので」
「それで無理矢理ランク上げるのか……だがそれはあいつらがそれに値すればの話だろ」
「フフッ恐らく、問題はないかと思います」
「……まあアンタがそういうなら多少は信頼しても良いか……」
そんな事を思いながらもMZ団が暴走メガシンカに対応する為の存在とは思わなかった、半分位は悪の組織の外部協力組織と思っていたのだが、謝った方が良いかな……。
「実際問題として、暴走メガシンカはどの位の頻度で発生してるんだ?」
「……正直の所、今は安定しておりますが何時不安定化するか予測も難しい状況でして……いつ市民に漏れるかも危ういのが現状でありまして……」
「よく漏れてねぇな……」
「出現ポイントには即座にバリアゾーンで覆い隠しておりますので」
クエーサー社も苦労しているんだなぁ……と思っているとながらもそれでいつまでも隠しきれるわけでもない、だからこそ早期の解決が望まれるのだが……。
「メガエネルギーか……怪しいのはやっぱりプリズムタワーなんだろ?」
「ええ、プリズムタワーはミアレの中心、良くも悪くもそこが中心となっており、大規模な補修と平行して調査を実施したいとは思っているのですが……実は……市長が歴史と伝統、そして市民たちの心の拠り所であるプリズムタワーに無粋な真似をするな!!という圧力が……」
「俺から圧力掛ける?なんだったらマジでやるけど」
「あの、それただじゃ済みませんよね色んな意味で!!?」
市長の言いたい事は分からなくもないが、だったらその市民の身の安全を最優先にしろよ!!!と叫んでやりたい、ワイルドゾーンなんて市民の生活を害している一番の要因なのに、その原因だと目されている所の調査を妨害するとか何を考えているんだ。
「実は調査を行うにも事実として補修を優先しなければならない点が多くありまして……内部にはシトロン様のジムもあった関係で機械関係のチェックなども大量にありまして……まずはそちらを優先しているというのが実情なのです」
「どっちにしろって事か……」
「はい……プリズムタワーがミアレのシンボルであるという事には理解しているつもりなのですが……中々……」
「はぁぁぁぁ……ポケモン研究所の一件といい、市長マジでなんなんだよ……」
儘ならないというのは正しくこの事か……というかシトロンのジムが大きく影響しているとは……確かにクイズ関連の装置やらも沢山あった筈だし……自分が来た時はシトロイドの試作品的な自動ポケモンバトル装置という物と連戦した記憶もある。
「まあ兎も角、いざという時は声を掛けてくれ。マジでやばいって時はレッドとサトシさん呼ぶから、あいつらもSSSでいいと思うし」
「そうでした、ラビ様はそういう手も取れてしまう人でした……」
それどころか、多分声を掛けてOKさえ出ればシロナやキバナ、ユウリとか飛んでくる恐れがあるので過剰戦力だと言われてもしょうがない戦力が一気にこのミアレに集わせる事も可能になる。
「……あっそうだ、マスカットさんMZ団の強さを確かめてもいいか?現状の強さだけでも確認しておきたい」
「私としては構いませんが……MZ団の皆様がOKしてくださるかは保証出来かねますが」
「その辺りは俺が何とかするよ」
その後は簡単な打ち合わせを済ませてクエーサー社を後にする、そしてホテルZへと戻る途中でZAロワイヤルが発生、バトルゾーンから出ようとするのだが……間に合わず、巻き込まれてしまったのだが……
「ムンッ!!」「ベイッ!!」
「いやホント容赦ねぇなお前」
屋根から降るように、スマホロトムの安全機構を使って降りて来たトレーナー達の奇襲に合ったのだが、アンとベイリーフがそれらを蹂躙して返り討ちにしてしまった。どっかで見たような蹂躙劇にレイブンは溜息を吐きながらも突然襲い掛かって来たが故に同情の余地はないな、と思っていたその時―――
「見つけたぞボケ共!!」「随分と威勢の良い事言っといてこのザマか、あああっ!!?」
「み、見つかった!!?」
建物の影や通路からゾロゾロと現れてきたのは見るからに粗暴な口調でヤの付く自営業をやってますと言わんばかりの強面の男や女たち、それらがアンに敗北したトレーナー達を囲い込んでいく。
「ま、待ってください!!お、お金ならこのZAロワイヤルで連勝してその賞金でお返ししますから!!」
「そう言って負けてるじゃねぇか!!返済期限はもう切れてるんだよ!!」
「おい連れていくぞ!!!」
何が起こっているのか分からないが、ベイリーフはそっとアンを背中に乗せようと蔓の鞭を伸ばすのだが、それより早くムーランドがアンを背中に乗せてしまったむくれる。ミアレにはこういう奴らもいるのか……とその時だった、拍手を伴いながら一人の男が、側近と思われる男を引き連れてやって来た時、トレーナー達を捕縛した一同は姿勢を正して頭を下げた。
「お見事お見事、強いなお嬢さん、見とって爽快になる位の戦いぶりやったで?こいつらバトルの腕だけはそこそこな物やのに、それあそこまで一方的とは、いやはや感服とはこの事やな」
「あ、有難う御座います、なのです」
やってきたその男は紫のシャツに白ネクタイ、丈の長い黒い背広を着こみ胸元にはバッチがあり、そこにはキーストーンが埋め込まれている。眼鏡のブリッジのデザインのせいか、常に眉間に皺が寄っているように見える。笑ってこそいるが、その影響か何処か強面に見えるのかアンはそっと、相手が気付かないようにレイブンの服を掴んだ。
「如何やらそっちのお客さんらしいな、なってない、じゃないか」
「いやはや全く以てその通りや、今日のバトルで挽回するって言うとったけど……まさかこないな腐った手段に出るとは思わへんかった。迷惑かけて申し訳あらへん」
謝罪こそしているが、レイブンは気付いている、その瞳が自分へと向いている事に……。
「可能ならこのままバトルゾーンを出たいんだが、生憎こっちは逃げそこなったんだ」
「それならせやったらうちらが送るさかい安心してええで、但し―――オレと、バトルしてくれへん?カッコええお兄さん」
「はぁ……やっぱり俺ってば、悪い意味での運だけずば抜けてるよな……」
あれ、どっちなんだろうね、コガネ弁かエンジュ弁か。私の周りだとエンジュ弁って意見が多数だったけど……。