「という訳で、お前達の実力を測る事になったからよろ」
「「「「一体何がヨロ!!?」」」」
バトルゾーンでサビ組に絡まれた翌日、レイブンはMZ団のガイ、タウニー、キョウヤとセイカがいるタイミングでそんな言葉を口にした。突然すぎる実力把握要請に思わず驚いてしまった。
「まあ単純な興味心って奴だ、クエーサー社のマスカットと仲良くなって偶然MZ団の話題になってな、まさかホテルZにそういう組織があるってのは全然知らんかった」
「マスカットさん、なんで話しちゃったんだ……」
「そ、それで?」
「まあぶっちゃけちゃうとさ、俺ってば団って付いてる奴らに対して偏見染みた警戒心がある訳なのよ、それを晴らす為にも楽しくバトルしましょうって話な訳」
そこまで話すとガイとタウニーはあぁ~……と理解したように頷き、キョウヤとセイカは何とも言えないようなぎこちない笑いを浮かべている。各地方で名を轟かせた悪の組織は何たら団というのが大体なので、その関係で民間団体でもそういうのを避けて、意味合い的には同じでもチーム何々、というのにするのが多い。
「別に俺だけ宿泊してるなら全然許容するんだけどさ、アンがいると面倒なんだよ。ウチの人はアンの事クッソ可愛がってる、寝顔とか送ってやると鼻血出すレベル」
「ええ……それはそれで危ないのでは……」
「それな。まあという訳でバトルしてくれ、と言ってもそっちに利がないか……そうだな」
それを聞いてキョウヤとセイカは先日、探偵事務所のハンサムハウスに来ている一部依頼を自分達が委託される形でこなしているのを思い出した。これもその一部だと思えば―――と思っていると机の上にドカリと複数のケースが置かれた。
「これが報酬で如何だ?」
「えっと、あのこれって……」
「技マシンだが?」
「いやでも、いくつあるんですこれ……」
「全部で20種類だが、あれ足らん?」
「「「「いやいやいやいやいやいや!!?」」」」
パルデア地方では技マシンはポケモンが落とす身体の一部を利用し製造され、一度限りだったりもするがそれは再製造が極めて容易且つ使ってしまえば、技を封じ込めるディスク自体もゴミにもならず再利用出来る。他地方では一度使えばそれまでの方式ではなく、秘伝マシンのように永続性が持たせられているが……その分高くなっている。
「こ、これだけで一体幾らになるんだ……?」
「わ、技マシンって中の技次第で目玉が飛び出る位に高い事あるよね……」
「レイブンさんってもしかして……」「とんでもなく凄い人なんじゃ……」
「他地方のゲームコーナーで荒稼ぎした時の残りだから気にするな、全部使い捨て式の旧式だし」
「「「「ああそれなら……いやそれでもこの数なら10万超えない!!?」」」」
そんな事もありながらも、技マシンを餌にしながらも全員をバトルコートへと引っ張り出した。アンは置いていくつもりだったが、また拗ねられると困るので今回はちゃんと連れていく事にした。
「さて、それじゃあどういう形式で……」
「単純にいこう、お前ら纏めてかかってこい」
「「えっ?」」
バトルコートに到着してバトルの形式を決めようとしている時にレイブンはさっさと一人でトレーナーズサークルへと入るとボールを構えながらもそう言って見せた。
「方式は任せる、一人ずつだが手持ちを全て複合してもいいし、全員が纏めて掛かってきてもいいって事だ」
「でもそれってレイブンさんが凄い不利って事になりますけど……」
「俺が不利?ハハッ寧ろ対等だろ、生憎、まだXランクにもなってないお前らとじゃこういうのも必要だろう?」
そう言われてキョウヤとセイカは少しだけムッとした、確かに相手は上位ランカーだけどそれでもこの人数さを気にしない所か、それで対等だと言ってのける。自分達はこの街で漸くトレーナーになれた、それでも、強くなれている自覚はある。
「分かりました、んじゃ一斉でやりましょう」
「負けない……」
「う~んある意味ZAロワイヤル的な感じだな……」
「まあいいんじゃない?ZAロワイヤルでもなんか最近徒党を組んでる相手も増えてるって話だしその練習だと思えば」
「んじゃ始めよう、多人数でのバトルの感覚を確りと身体に刻めよ」
ガイ、タウニー、キョウヤ、セイカの4人対レイブンの変則バトル、その幕が切って落とされようとしている。
「よし、ラクライ行くぜ!!」「ラゥゥゥッ!!!」
「ミミロル、お願い!!」「ミミロ~!!」
「行くぞワニノコ!!!」「ワニワニャ~!!」
「ポカブ、お願い!!!」「ブゥッ~ポカッ!!!」
ラクライにミミロル、ワニノコにポカブ……まずはこの4体が相手か、さて此方も行こう。
「仕事だ、マフォクシー!!」
「……クスィ~……」
飛び出して来たのは何処か落ち着いているというよりも暗い雰囲気を持っているマフォクシー、そしてボールから出てきた直後に木の枝を銜えると指をスナップ、指先に炎を灯すとそのまま木の枝に火を移し、まるでタバコのように吸い始めた。
「うおっマフォクシーか!?」
「うっわぁこっちを叩き潰す気満々って感じ~というか煙草吸ってるマフォクシーって初めて見たよ……」
「いやこれはフォッコが好む元気の小枝を加工したもんで煙草じゃねぇよ、見た目はそれっぽいけどな、さて何処からでもどうぞ」
「フォッ……クスィ~」
煙を吐き出しながらも不敵に笑いながら手首を曲げて掛かって来いと挑発して来るマフォクシーにラクライ達もその気になっている。もう抑える事は出来ない、バトル、開始の合図だ。