「ホルビーマッドショット!!」「ミネズミ、噛み砕く!!」
「ボルルッルルウルルル!!!!」「ズッミイィィィィッ!!!」
「ああっやっぱりだめか!!?」
思わずガイが叫んでしまった、ホルビーは穴を掘るを発動させ、ミネズミは10万ボルトを発動させている、ポケモンがトレーナーの指示をガン無視している。
「ホルビーとミネズミ、全然キョウヤさんとセイカさんを見てないのです……」
アンからすれば有り得ない事だった、というのもアンは基本的にポケモンと直ぐに仲良くなる。それも相手のポケモンの本質を見抜いた上で今、何を求めているかを感覚的に理解出来るので相手が嫌がる事をせずに仲良くなることが出来る。が……あの二匹は完全にトレーナーからそっぽを向いている。
「熱砂の大地」
「……クッシィッ」
火球の一つを地面へと叩きつけると、火球は解けるように地面へと吸い込まれていく。そして直後に火山が噴火したような爆発と共に地面が炸裂する。
「ボッビイイイイイイッ!!!?」「ズミィィィッ!!!?」
地面にいたホルビーが熱砂の大地で掘り返されると同時にミネズミも噛み砕く為に突撃していた所が炸裂、両者と共に接近したマフォクシーを倒そうとしていたが為に纏めて技を受けてしまった。マッドショットの指示を実行していればこういう事にならなかったのに。
「ビィィイッ……!!」
「ホルビー落ち着いて!!相手は強い、今度こそマッドショット!!」
「ビイイイイッァアア!!!」
今度こそマッドショットと指示を飛ばすとホルビーはその言葉通りにマッドショットを発射するが、再び展開された火球がそれを防ぐ。だがキョウヤの顔は明るい。
「やった指示を聞いてくれた!!」
「いや……今のは違うのです」
単純にホルビーがマッドショットを打とうとしていた所にキョウヤの指示が一致しただけに過ぎない。一時的に思考が合致しただけの事。
「よぉ~し次は―――」
「ボルルルルルッ!!!」「ズ~ミミミミミミッ!!!」
「「ああちょっと!!?」」
「こりゃ」
「……クッスィッ!!!」
足元で火球を炸裂させ、その勢いを使って後方へと飛び退くマフォクシー。先程までいた場所は熱砂の大地程ではないが爆裂し、そこへ無数の弾丸のような種が撃ち込まれていく。大地の力と種マシンガン、悪くない技を覚えている。10万ボルトが使える事を踏まえると、矢張り親分ポケモンは潜在能力が高いのだろう。
「悪くはない、だが……随分とプライドが高いな」
親分個体とは文字通りの群れの親分個体がなる物ではない、例え一人っきりでもそう言われる。多く群れの中でも突出しているような存在の事を指す。だからこの二匹が群れの長という事ではないと思うが……此処までトレーナーを見下しているのはこれまで多くのトレーナーを返り討ちにして来たからかもしれない。
「まあドラピオンに比べたら可愛いもんか……」
「クスィ~……」
呆れたような目を向けて来るマフォクシー、あれは別だろ……と言いたげである。あとお前レイブンだろ、小声だとしても気を付けろよ……とダイケンキが居たら通訳していた事だろう。
「キョウヤにセイカ、一応言っておくぞ」
「なんです!?」「突然、降参ですか!?」
「戯け。そいつらを制御に置く為の手助けをしてやる―――ただし、失敗したらごめんな」
「「えっ!?」」
「サイコショック!!」
「ク~シァ!!」
掌にサイコパワーを凝縮する、が、直後にそれを全力でぶん投げた。それは衝撃波をだしながらも一瞬で音速を突破してミネズミの顔面に炸裂し、理解をさせるよりも前にミネズミを吹き飛ばし、バトルコートの金網へと叩きつけた。
「ズ、ミァ……ミ、ミィ~……???」
痛みが身体を貫く中、ミネズミは信じられないという顔をしていた。これまで多くの相手を葬った自分が一瞬で……視界の奥でマフォクシーは一瞬だけ鋭い瞳を作った。
『俺を馬鹿にするのは良い、だが……こいつを侮辱するのは許さねぇ』
その殺気を受けた途端に身体から力が抜けて意識を手放してしまった、プライドが高いポケモンの従わせ方は実はかなり分かり易い。
「火炎放射だ」
「クシィ~!!」
「ホ、ホルビー穴を掘る!!」
「ボッビィィィ!!!?」
「焦って忘れたか、熱砂の大地!!」
「あっしまった!!?」
「ホビイイイイイイイイッッ!!!?」
それは力の差を見せつけてその鼻先を圧し折ってやるという事である。幾ら親分個体だろうと、こういうのを連続で受けていれば……耐え切れずに体力も尽きるという物。
「ホ、ホルビー……!!?こ、降参ですレイブンさん、勝てっこない……」
「良い判断だ、引き際を間違わないのは良い素質だぞ。マフォクシー、お疲れさん」
「クスィ」
小枝を完全に吸い切ってからボールへと戻っていったマフォクシー、本当にこいつは……誰があの小枝を加工してやってると思ってんだ……そんな事を思いながらボールをベルトに装着し直すと、二人がホルビーとミネズミを抱きかかえる。
「やっぱり、私達が未熟だから言う事聞いてくれないのかな……」
「それはあるだろうな、そいつらはなまじ潜在能力が高いが故にこれまで多くのトレーナーを倒して来たんだろう。それなのに明確に未熟なトレーナーに捕獲されちまって、自分が許せなくて反発してます、って所だろうな。まだ自分は負けてないっていう意思表示でもある」
「よく分かりますねレイブンさん」
「伊達に長い事トレーナーやってねぇんだよ」
「いや、どうにも若ぇじゃん」
「色々あんだよ」
落ち着け悪意がある訳じゃないんだから……。
「だけどまあ、今回自分の全力が完全に通じない相手に叩き潰された事で多少は自分の身の丈を知っただろ。後はこれをどう活かすかだ、トレーナーにとって重要なのはポケモンと如何に心を通じ合わせるかだからな」
「通じ合わせる……」「ポケモン達と……」
「一度、とことん話をしてみるってのも有効な手だ。まあ試してみな、アン行くぞ」
「は~いなのです」
分かり易い所を上げればサトシのリザードンのようなものだ。あれだって敗北を経て、サトシが付きっ切りで看病をしたからこそ通じ合う事が出来た、それは他のトレーナーでも出来る事。
「だけどまぁ……それ以上に暴走メガシンカが出たら俺かアランで何とかするしかねぇな……」
「アンもお手伝いするのです!!」
「いやぁそれはあの人に色々言われそうだから遠慮したい……」
「お手伝いするの~で~す~!!!」
「分かった分かった!!何とか手段を考えよう」