「ホルビーとミネズミの様子、どうだ?」
「なんとかご飯は食べてくれたって感じ、でも今までの元気が全部なくなって、枯れ始めの植物みたいな感じになっちゃってる」
ホテルZへと戻ったMZ団だが、ポケモンセンターによってポケモン達の回復を済ませたが、親分個体でもあるホルビーとミネズミの憔悴具合が酷かった。体力は回復し、怪我も酷くはないし直ぐに良くなると言われこそしたが、二体の覇気が完全に消え失せてしまっていた。
「親分個体って言われてるあの二匹を一蹴しちまうなんて……レイブンさんってどんだけ強いんだよ……あのマフォクシーもとんでもないレベルだったぞ」
「私達が苦戦するような親分ポケモンを簡単に、だもんね……並のトレーナーじゃないよ」
親分ポケモンは、シンオウ地方がヒスイ地方と言われていた頃に存在していたとされる通常のポケモンとは一線を画したと言われるポケモン達。現在でもその血を受け継いでいるのか屈強なポケモンが各地にみられる事があるのだが……今、その親分がミアレで発生しており、ポケモン研究所のモミジはその原因究明に追われている。
そんな親分に遭遇したのは委託依頼の中の一つに異様に巨大なホルビーとミネズミがいたので調べて欲しいというものがあった。そこで遭遇したのがこの二匹、二匹同時に現れこそしたが、味方同士という訳ではなかったので上手い事同士討ちをさせて体力を削り、隙を見て捕獲する事に成功した。それゆえか、二匹はキョウヤと成果をトレーナーとして認めていない。
「ただいま戻りました、が随分と浮かない顔をしていますね」
そんな中にホテルZに入って来たのはMZ団のメンバーの一人でもあるピュール、今日はデザイナーとしての仕事の成果のの納品の為に出掛けていた。
「ああ、ピュールお帰り。満足して貰えた?」
「勿論です。それどころか次の仕事も貰えましたのでね」
「そりゃよかったね、今日は私が作るよ」
「謎の組み合わせでないなら頂きます、それでなぜキョウヤとセイカは落ち込んでいるのですか」
「実はね……」
タウニーが事情を話すとピュールは少し驚いたように目を大きくしながらも話を聞いた。新しくMZ団に加入した二人のバトルの腕前の冴えは自分も理解している。順調にZAロワイアルを勝ち上がって上位ランカーへとなれる事もあり得るだろうと思っていたのだが……そんな二人が捕獲したという親分ポケモンを一蹴したレイブンに腕を組んだ。
「……実は最近とある噂話があります、カナリィさんがかなり頻繁にバトルの特訓を行っているという話が上がっているんです」
「カナリィ……ってピュールが好きなあのカナリィさん?」
「……はいです、最後にさん付けしたので今回は勘弁して上げますよタウニー」
「面倒くせぇ……」
ゲーム配信でもその話は当人が零すような形で口にしており、とある人にバトルを挑んで見事に負けてしまった、だがそれが逆にいい刺激になって最近はバトルにも力を入れているんだ、という話の種にしていた。もしかしたら近々バトル大会開くかもね~、というのもあってDG4はその事で大盛り上がりとの事。
「まあ僕としてDG4には興味ありませんが、カナリィさんが出るとなれば話は変わってきます」
「あ、あはははは……そ、それでそのカナリィさん?でいいんだよね、そのうわさが如何したの?」
「見なさい、セイカはちゃんとさん付けするんです。敬意とはこのように表すんです」
「良いから話を進めろって……」
「その切っ掛けとなったのが敗北を与えたのがレイブンさんだったのではないかという話があるんです、未確定の情報ですがラシーヌ工務店の倉庫近くで3人を目撃したという話があります」
そうなると、レイブンはZAロワイアルの上位ランカーをも凌ぐ強さを持っているという事になるのだが……逆に一体何者なんだという事にもなるが……キョウヤとセイカはそれよりも優先するべき事があった。
「兎に角、俺はホルビーの傍にいようと思う」
「私も……トレーナーなんだから、ミネズミの近くにいる」
そう言って二人はエレベーターで自室へと向かっていった。そんな二人を見送ったガイは腕を組みながら壁に寄りかかった。
「なんていうか、二人ってちょっとポケモンに対してちょっと壁を敷いてるよな」
「壁?」
「いや、壁っていうか一線を引いてるって言うか……なんか意図的にポケモンから離れようとしてる感じがするんだよな」
「それは僕も感じましたね、ワニノコに対して今では凄く親し気ですが、なんというか……遠慮しているというよりも接し方が分からないという感じでしたね」
その意見にはタウニーも同意見、そしてセイカも同じだった。何というか、ポケモンに対するスタンスが自分達とは全く異なっている気がする。なんというか……自分達はポケモンと触れ合っていいのか分からない、どうすれば良いのか分からない……ポケモンは怖い生き物だと言われていたヒスイ時代のそれとも違う何かを抱えている。
「しかし無理に聞き出すのもナンセンスです、急いで聞き出したい訳でもない。ならば少しずつ、情報を取っていくしかないでしょう」
「……だな、よし今日の夕飯は俺が作るぞ!!」
「いや、私が作るって言ってんじゃん自称兄」
「僕はあれでなければいいですから……」
「ホルビー、大丈夫大丈夫。お前はもっと強くなれる、というか既に十分すぎる強いんだ。後はその強さをどうやってうまく使っていくだけなんだ、少しずつ進んでいけば問題ないさ」
「一緒に、頑張ろうミネズミ。一緒に、一歩一歩……」