「お、終わったぁぁぁぁ……」
「ギ、ギリギリセーフ……だった……」
「つ、詰め込み過ぎた……」
「やり過ぎた、べ……」
相変わらず蜜入り林檎を食べているラビの所へとやって来た若者4人組、林間学校で提出する課題としてヒスイの時代のバスラオについての生態調査と進化方法の解明……という本来ならば研究者がやるような事をやったのであった。
「それで上手く行きました?」
「な、何とか……や、やればできるもんなんですね……」
「ラビさんがナナカマド博士を紹介してくれなかったら絶対できなかったよね……」
とこしえの森周辺でヒスイの時代に生息したバスラオの捕獲には成功したものの少年少女たちが気になっていた進化方法については全く分からなかった。レベルアップなのか、それとも特定の技の習得なのか、石なのか、アイテムなのかを可能な限り調べたが……何も分からず、手掛かりすら見つけることが出来なかったのだ。
「(まあ、あの進化方法は分からねぇよなぁ……)」
バスラオを進化させる方法とは端的に言えばダメージを受けまくる事である。ヒスイバスラオは川を遡上する中で倒れていった多数のバスラオの無念が取り憑いたことによって進化するとされている、バスラオ自身が魂を感じる条件というのが瀕死になることなく多大な反動ダメージを受ける事、という事らしい。それによってバスラオはイダイトウへの進化を果たす。
「でもバスラオの進化の可能性は進化の輝石で証明出来ましたし、希少種のポケモンを発見出来たってのはポケモン学会でも大きな話題になること間違いなしだってお墨付きは頂けました。というか、ブルーベリー学園には連絡しておくからその資料を送って欲しいって言われちゃいました」
「ナナカマド博士にそこまで言わせるとは……如何やらかなりの完成度のようですね」
「い、いやぁ……お、俺達博士にレポートの書き方とか、教えて貰っただけだべ……色々丁寧に教えて貰っちゃって……」
「最初はイッシュのアララギ博士と違って凄い威厳のあるお爺ちゃんって感じだったけど、話してみたら結構お茶目な人だったわよね。こっちのポケモンにも凄い興味持ってたし」
ナナカマド博士は見た目こそ強面な博士だが、実際は子供好きな上に甘党というギャップがある。そんな博士に好かれたのだから余程良い物が書けたのだろう。
「それで俺たちはそれぞれ一匹ずつなんとかゲットできたのでこれからも色々やってみようと思います。4人で色々やってたら進化出来るかもしれませんし」
「楽しみですね、さてと―――それじゃあ……スグリさん」
「はっはい!!?」
突然名前を呼ばれたので思わず驚いてしまった、そんなスグリに笑い掛けながらも一つのボールを取り出した。
「貴方との約束を果たしましょう。カミッチュさんの進化した姿を見せてあげましょう」
「ほ、本当だべ!!?」
「ええ―――折角ですから配信でね」
「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。本日ご紹介するポケモンさんは此方」
「カ~ロラァ!!」
「此方のカミツオロチさんです」
| ・おっ林檎だ ・って事はまたカミッチュ ・っておわわあああああ!!!? ・なんかすげぇいっぱい出てきたぁ!!? ・1、2、3、4、5……五匹も入ってんの!? ・ナにまた増えたの!? |
|---|
「此方のカミツオロチさんは以前ご紹介したカミッチュさんの進化した姿です。タイプは変わらず草とドラゴン。カミッチュさんに特定の技を覚えさせた上でレベルアップするとこの姿へと進化します。因みに顔を出しているのはオロチュと言います、角があるのがリーダーで他に六匹います。二匹は尻尾担当ですね」
| ・ぎっちぎちやん!!? ・そんなにいんの!? ・オロチュって蛇? ・ドラゴンなのか蛇なのかどっちかにしろよ ・どっちも同じようなもんじゃろ。 ・そうはいかんのじゃ |
|---|
「カミツオロチさんはこの角のあるオロチュさんが司令塔を務めます、基本的に統率は取れてますけどそれぞれが気まぐれな性格をしております。しかし、それらが一つになった時の力は尋常じゃないです。その象徴とも言える技がきまぐレーザーと言われるドラゴンタイプの技です」
| ・なんだそれ名前wwww ・名前からも分かる気紛れ具合 ・おい本当に大丈夫か? ・タイレーツを見習えお前ら。 ・おう指導して貰え。 |
|---|
「このきまぐレーザーですが、オロチュさん達の心が一つになって全員がレーザー攻撃に参加すると威力が倍になります。通常のきまぐレーザーの威力はそうですね……簡単な比較は難しいですが、龍の波動よりも少し弱い位ですかね」
| ・は~それでも偶に龍の波動以上の威力をぶっぱするのか ・ってなると流星群を超える威力か……? ・それ凄いな!!!龍の波動より弱いって割と高威力だぞ ・寧ろ威力が安定しない事を利用して相手を惑わす事も出来るかもな。 ・フン幾ら撃とうと、その程度の威力など、何ッ……!?みたいな ・なにその噛ませ的な台詞。分かるけどwww |
|---|
「能力的にはカミッチュさんから更に特攻を伸ばしたような感じですのでよりドラゴンタイプらしい活躍が期待できますね。と言っても草ドラゴンタイプですのでタイプ相性には気を配る必要があります、能力的に言えば素早くないのが欠点ですがそこは逆にトリックルームなどで補強すると良いかもしれません」
| ・あ~タイプが鬼門かもな…… ・そこにテラスタルがあるじゃろ? ・あっそっか成程。 ・それこそ鋼とか水にすりゃ解決よ。 |
|---|
「カミッチュさんと特性は同じ、ですが食いしん坊が再生力に変化していますのでサイクル向けのポケモンになったとも言えますね。さらに自己再生や身代わりなども覚えますのでタイプを工夫でカバーできれば想像以上の耐久が出来ます。欠伸も覚えますので欠伸で相手交代か眠りかを強制しつつも引いて、後続のポケモンで制圧するなどもいいですね。私としてはママンボウさんとのタッグで場を掻き乱したいですね」
| ・エッグいwwwwエッグいわぁwwww ・願い事したらクイックターンでカミツオロチに引いて回復するのかwww ・しかもオロチはその気になればレーザーの火力押し付けも出来るしなwww ・想像以上にひどいコンボだ……。 ・再生力コンビでぐるんぐるん回りやがるwww |
|---|
「加えて、のろいも出来ますので更に素早さを下げてトリックルームで上を取りつつボディプレスとジャイロボールで押し潰す物理型もいけますのでかなり多様な型が出来ます」
| ・ホント素早さがなくても活躍できるもんだよなぁ…… ・強いトレーナーって高速ポケモンが中心とか珍しくないもんな。 ・それでガンガン押しておくのも見栄え良いもんなぁ…… ・重戦車型もカッコいいのに……。 |
|---|
「素早いポケモンを否定する気は私はありません、唯自分がポケモンさんを活躍出来るように頑張ればいいだけの事ですから。それぞれの個性を大切にすれば活躍させることは容易ですから、因みにこのカミツオロチさんの個性は兎に角きまぐレーザーをぶっ放したがる所です。なんか、一回心が揃って撃ってみたら想像以上の威力が出て感動したみたいで……ああダメ撃っちゃだめです!!!」
「カロォ~……?」
『ブ~ブ~!!!』
「やかましいブーイングすんな!!!ほら、ボールに戻って、あっこら逃げるな!!戻れ、戻りなさい、戻ってください―――ああもうキレた!!アーマーガアこのバカにブレイブバード!!!」
「ガアアアアアアアア!!!!!」
「カァァァァァァ!!!」『ンロォォォォッ!!!』
「『チアアアアアアアアアアアア!!!!!』」
| ・司令塔オロチュすげぇ不満げな顔してやがるwwww ・他のオロチュが一斉にブーイングしてるwwww ・って主がキレた!? ・久しぶりに出たよキレ芸www ・ってアーマーガア色違いっていきなりブレイブバード!!? ・おいおいタイプがって既にチャージ済み!!? ・撃ったぁぁぁぁぁ!!!? ・いやいやいやブットすぎぃ!!!? ・いやふと、マジでふっと!!? ・アーマーガアこれ無事じゃ、ってそのまま突っ込んでレーザーを斬ってるぅぅぅぅ!!? ・そのまま、ブレイブバードが炸裂ぅ!!! ・あ~あ……オロチュ全員アフロ頭になって目まわしてるわ……。 ・いやなんでアフロ……? |
|---|
「全く……毎回最低1回でもきまぐレーザーを撃たないと戻ってくれないんですよ……アーマーガアすいませんねいつも」
「ガアアア、ガアアアアアアア!?」
「ああはいはい……今度ちゃんとバトルの場を設けますから……」
配信を切ってカミツオロチをボールへと戻す、アーマーガアが全くダメージがない様子。少なくとも反動ダメージはある筈だがそんな様子すらないから本当に如何なっているのやら……取り合えずアーマーガアにはエリアゼロで捕まえたパラドックスポケモン達を大人しくさせる任務を与えておくとしよう……特にあの6体の相手は垂涎物だろう……全く以て理解出来ないが。
「さて、スグリさん。この技マシンに入っている技をカミッチュさんに覚えさせてレベルアップさせてください。それがカミツオロチさんへの進化する方法です」
「はっはい!!あ、あのラビさん俺……ラビさんに貰ってばっかりだべ、グライガーにカミツオロチの進化のさせ方だったり……だ、だから何かお礼をしないと……」
ラビとサザレは既にこの里に来た目的を果たしている、なのでもう引き上げるつもり。故にスグリはずっと思っていた事を打ち明けた。それに笑って返す。
「そんな気を回す必要なんて、いえそうですね……ブルーベリー学園には私の弟や妹がいますので友達になってあげてください。そして―――今度パルデアに来たらバトルをしましょう。貴方が育てたグライガーやカミツオロチとね♪」
ウィンクを交えながらそう言うとスグリは笑いながらも頷いた。
「ゼイユさん、お世話になりました。どうぞお元気で、アカデミーに転校するならば声を掛けてください。力になりますから」
「ええ、割とマジで転校は考えてるから。その時は何だったらラビさんの弟妹を纏めて連れてくからその時は宜しく」
「ハハハッそれは賑やかでいいですね」
「ね、それじゃあ最後に皆で写真撮ろっか!!」
サザレの提案によって、最後は全員で写真を撮る事にした。その写真はスグリとゼイユの宝物となって彼らの自室に飾られることになるのであった。
「ラビさん……待っててほしいべ」
どんなトレーナーになりたいか、スグリはそれについてあまり考えた事もなかった。何かのタイプを極めるのか、それとも育成に秀でたトレーナーを目指すのか……それらとも違ったものを目指す事をスグリは決めたのであった。
「俺……ラビさんみたいに、ポケモンと凄い仲良しなトレーナーになってみせる」