「つまりそういう事、って認識でいいんだろ」
「はい……申し訳ございません……」
「はぁぁぁぁぁぁぁ……いつか来るとは思ってたが想像以上に早かった……これが金持ちパワーか……」
場所を変えて人の付きにくい場所へと移動してからいざ口を開いたのだが……ハルジオの返答からレイブンがラビであるという事はバレている、という事が分かってしまって頭が痛くなった。いや何れは公表するつもりだったし、何時かバレるとは思っていなかったが……まさか一か月程度でそれが訪れるとは……流石に侮り過ぎていたか……。
「申し訳、ありません……私も主には理由があるからこそお忍びな訳なのですからそれを邪魔するのは失礼だと申し上げたのですが……」
「アンタも苦労してるんだな……」
「恐れ入ります……はぁ……」
アランの言葉に溜息を吐くハルジオ、思わずアンも何だか可哀そうになって来たのか、同情のまなざしを送っている。
「改めまして……我が主のユカリ様が是非ともお話、可能であればバトルをしたいという仰っておりまして……それに伴って最高級のホテルを手配するからと……」
「今の所で満足してるしそれは良いかなぁ……」
ホテルの移動とかは全然考えにない、ホテルZで十分すぎるサービスを受けている訳だし……それにそれだってバトルをすぐに行う為の下準備のようにしか思えない。
「ハルジオ、と言ったか。アンタから見て主はどんな奴なんだ?」
「……端的に申し上げますと、妖精です」
「フェアリータイプなのです?」
「ああいえ、そういう意味合いではなく……いやお使いになられるのもフェアリータイプではありますが……自由気儘に振る舞い、周囲を振り回すという意味での妖精です」
つまるところ、無邪気に人を振り回す本来の妖精像を持っている人間が金を持っているという事か……超厄介な人間では?と思わずレイブンが口に出してしまうとハルジオは全く否定する事なく、仰る通りで御座います……と深く低いテンションで言ってのけた。これはマジで苦労してるぞ……。
「そのお嬢様が俺達に用がある……と」
「はい、十中八九、いえ十中十、確実にバトルのお相手を依頼する為だと思います。ユカリ様は、心の底からバトルを愛しておられますので……」
「ネモみたいなものか……」
「いや、ネモは割と良識はあるぞ……あいつはあいつでいい所のお嬢様だけど家の権力とか金持ち出さないし」
こう思うとネモが凄くいい子に思えて来る、ネモを連れて来てそのユカリ様とやらの相手をさせればいいのでは……と思わず思ってしまった、割と失礼な発想だと思うが、お互いに喜んでくれそうな気がしてならないのは偏見なのだろうか。
「それで俺はどうしろっていうんだ?」
「ああそのすいません言うのが遅れてしまいまして!!今回、お呼びが掛かっているのはアラン様なのです!!」
「俺?」
「はい、実はクエーサー社にはユカリ様のシンパがおりまして、そこから近々メガリザードン使いのアラン様を招待した事を公表するという事が入りまして、ユカリ様は待てないから先に呼びましょう!!という事になりまして……」
「つまり、俺については?」
「レイブン様につきましては、私自身が竜の里の出身ですので……」
そこかぁ……そう言えばPWCSで優勝した事を里で大々的におめでとうパーティをやったって聞いたな……それを思えば出身者が自分に気づき易くても可笑しくはないか……。
「加えて、以前サビ組とのバトルを観戦させて頂きましたが、その時のギャラドスの強さを総合して間違いないと私は確信いたしました。ですがこれに至りましてはユカリ様にはまだご報告上げておりませんのでご安心ください」
「それ、アンタは大丈夫なのか?」
「ユカリ様も私が何かを言っていないという事には気づいているでしょうが、私としてやられっぱなしなのは性にあいませんので」
不敵に笑うハルジオの笑みは仕返しにはちょうどいいネタだよ、と言いたげだった。中々にいい性格をしているメイドだ。
「分かった、兎も角俺は一度顔を出そう。そうしないとハルジオの迷惑にも繋がりかねんだろうからな……」
「恐れ入ります、それとは別に―――レイブン様、私とバトルをしてくださいませんか?」
「俺と?」
そこには既にメイドとしての目ではなく、ドラゴン使いとしての輝きを瞳に宿している一人のトレーナーとしてのハルジオがいた。
「竜の里の長老がアンタの事をべた褒めでな……一ドラゴン使い、これでも昔は不撓不屈のドラミドロ使いと言われたもんでな……そんなウチの魂が叫んでしょうがねぇんだよ……ドラゴンの本能を剥き出しにして挑め、上位の龍に挑みたいってよ……頼むよ、ウチの細やかな頼み……って奴だ」
「……手持ちの入れ替えを認めてくれるならいいぜ」
「ハッ当然!!!!」
『また濃いのを呼ぶねぇ……呼んだ時に出番か!!?って喜んでた子となんでじゃぁあ……って落ち込んでる子がいてなんか悪い事しちゃった気になったよボク』
「そりゃ悪い事したわ、んじゃ送ってくれ」
『ホントこの人……』
「さて、始めようか……レイブンとしてだが、割とまじでバトルの相手をしてやるよ」
「望む所だ!!いいいよっしゃぁ!!!久しぶりに、魂まで焦げ付くような熱いバトルが出来そうだぜ!!!さあ行くぜ、轟かせ、オンバーン!!!」「バアバババババアアンッ!!!」
「さあ仕事だ、下剋上だよクリムガン!!!」「ガアアアアアアァァリムッ!!!!」
下剋上だよ、が分かったら作者と握手できる人。